【独立する前の基礎知識10】退職金にも税金はかかるの?
Question
会社を辞める際に退職金をもらえることになりました。退職金にも税金はかかるのでしょうか?
Answer
退職金は、給料や賞与(ボーナス)の「給与所得」とは別に、「退職所得」として税金が計算されます。ただし、退職所得は、給与所得よりも税金が安くなるように優遇されていて、勤務年数が長くなると、税金がかからない場合も多いのです。
まずは、あなたが会社からいくら退職金をもらえるかを確認してみましょう。退職金は会社ごとに退職金規程などで支給ルール(計算式)を決めています。あなたの会社の支給ルールを確認しながら、自分の勤続年数や役職を計算式に当てはめて、もらえる予定の金額を計算してみましょう。
次に、税金を計算する元になる退職所得の金額を計算します。
(①退職金ー②控除額)×2分の1=③退職所得
①のもらえる退職金にそのまま税金がかかるのではなく、②で一定の金額を控除することができます。そして、差額である(①ー②)に、さらに所得が小さくなるように2分の1を掛けるというルールになっているので、かなり税金を減らすことができます。
②の控除額は、勤続年数が長くなるほど、増えていきます。勤続年数が20年以下であれば、勤続年数×40万円が控除できます(ただし、計算した控除額が80万円未満の場合は、80万円控除できます)。
例えば、4年2か月働いた後に退職したとすると、年未満は切り上げとなるため、5年で計算します。その場合、②の控除額は、5年×40万円=200万円となります。つまり、5年間勤務した方は、退職金が200万円以下であれば税金はかからないのです。最低でも80万円控除できるので、短期間しか勤務していなくても、退職金が80万円以下であれば税金はかかりません。
実際に試算するときは、国税庁のホームページで、②の控除額や、③の退職所得に対応する税率表を確認するようにしましょう(国税庁パンフレット「暮らしの税情報」)
なお、退職金を受け取るときには、1つ注意点があります。退職手続にあたって、会社から「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出するように言われると思います。
この書類を出さないと、退職金の支払金額の20.42%という、本来の計算よりも高い税金が天引きされてしまうので、必ず会社に提出するようにしましょう。
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資
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