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無職の障害者の学校(6)

前回から半年近くが過ぎましたが、ここで障害者の職業訓練校について、最後の総括をしようと思います。とはいえ、私は入所して半年間しかいませんでしたが、私が退所後に残った人たちから聞いた話なども織り交ぜます。

まず、入所期間は1年間ありますが、丸々1年間在籍するという人はほとんどいません。それまでに就職が決まり退所していきます。大抵は日商PC検定2~3級に合格したり、簿記3級に合格して、晴れて履歴書の資格欄に書き込めるようになると就職活動に動き出し、採用されるまで、だいたい7~8ヵ月くらいといったところでしょうか。

しかし、パソコンスキルが身についていない、苦手で覚えられないような人たちには、名刺作成や書類整理、封筒封入やシュレッダーかけなどの「雑務」をやらせ、アルバイトやパートなどの求人を強引に指導員が紹介させ、そのまま押し込むように採用させて追い出していきます。

パソコンスキルも簿記スキルもあるのに、ダラダラと過ごす人もいますが、半年過ぎたあたりから、「早く就職活動しろ」と進路指導部みたいなところから圧力がかかるようになります。どうやら、就職させる事がこの職業訓練校における「ノルマ」であるようで、丸一年しっかり居続けられる人は、そうした圧力にも屈せずに居直れるメンタルが無いとダメみたいです。

私は、入所してから4か月くらいから就職活動を開始しましたが、いずれも障害者枠での応募でした。しかし、どこも書類選考でダメでした。やはりオープンにしても年齢的に50近いおっさんを受け入れてくれる会社はそうそう無いのが現状なんだなと思い、クローズでの求職もし始めました。結局人材会社経由で紹介してもらった今の会社に採用されましたが、障害を持っていることや、職業訓練校に通っていた事は伏せての採用でした。

私と職業訓練校で唯一仲の良かった私より年上の男性は、私が精神疾患(うつ病)でしたが、彼は身体障害者で、オフィス系や簿記知識も持ち合わせていたのですが、中々就職活動をしていなかったので、先ほどのように「パートやアルバイトでもいいから働いて、少しでも稼いで、生活保護申請しろ」などと言われたそうです。結局彼は丸一年満期退所となりましたが、結局就職先は決まらなかったそうです。

「求人は、歩いて来ない、だから就活するんだね」

前のnoteに書いた通り、職員から「あなた向けのこのような仕事があるよ」とか、「この仕事はここの職業訓練校から数名障害者採用枠がある」などという事はなく、あくまで就職に有利になるスキルを学んで、自ら就活しないといけないのです。

ここで得られるものは、スキルだけではなく、自閉症などの人たちにコミュニケーションを通じて対人恐怖症を克服してもらうためのメンタルプログラムや、集団行動でチームとして仕事をすることの体感、そして定時に出所して定時まで訓練することで、会社員としての生活習慣に慣れさせる事でした。そして筆記試験や実技試験、面接をクリアさせる力をつけさせるのです。

訓練生の傾向としましては、これまで1度も就労した事の無い、いわゆる若者ニートが全体の半数近く、就労していたけど身体障害者となり、ジョブチェンジの為に訓練している人が3割、残り2割が私のような就労していたけど精神疾患でリハビリを兼ねて入所してきた中高年です。基本年齢制限はありませんので、中高年の障害者にも広く門戸を開いていますし、障害者手帳を取得していなくても、それに近い症状の人でも受験はできます。

もし、うつ病などの障害があり、手帳持ち、障害年金支給者であって、OAスキルやWeb・情報処理スキルをつけて就職したいと考えている人は、東京都だけでも10施設以上、全国津々浦々にありますので、検討してみてはいかがでしょうか?

最後に、私は障害者職業訓練校に通い、まずは朝出所して夕方まで訓練する事で生活のリズムを取り戻せました。メンタルヘルス講習も立派な訓練ですので、堂々と受ける事ができました。そして何より無料で受講できるだけでなく、失業給付者は延長して給付が貰え、そうでない人でも月10万円の支援給付金が貰えます。いい事尽くしですので、本気で社会復帰したいと考えているのであれば、ハローワークに行って入所の相談をされてみてはいかがでしょうか?

(このコンテンツは今回で終了いたします)

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