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チームビルディング1年生 1章


第1章: マネージャーの心構えと準備

初めてマネジメントを任されるとき、多くの人が「自分にできるだろうか?」と不安を抱きます。かつて私もそうでした。ですが、あのとき「準備」をしていたからこそ、乗り越えられたことがたくさんありました。ここでは、マネージャーとして一歩を踏み出すための基礎となる心構えと準備についてお話しします。


①自分を知ることから始める

マネジメントで最初に向き合うべきは「チーム」ではなく「自分自身」です。
チームの中核となるマネージャーが自分の価値観や行動の傾向を理解していなければ、周囲に与える影響をコントロールできません。

私が店長になったばかりの頃、すべてを一人で抱え込み、結果としてチームの信頼を失った経験があります。振り返れば、その原因は「自分を知らなかった」ことにありました。「自分ならなんとかできる」という過信があり、一方で「人に頼るのは弱さだ」という思い込みもありました。

この失敗から学んだのは、「自分の強みと弱みを冷静に見つめることの重要性」です。例えば、
• 自分が得意なことは何か?
• 苦手な部分を補うために、誰の力を借りられるか?
• 過去の成功や失敗から何を学んだか?

こうした問いを掘り下げることで、マネージャーとしての軸を見つけることができます。

②チームのための準備をする

次に大切なのは「チームを成功に導くための準備」です。チームをリードするというのは、船の船長として航路を描くようなものです。適切な準備がなければ、波に流されてしまいます。

1. 目標を明確にする

目標がなければ、どんな優れたチームも迷子になります。ただし、その目標が漠然としていては意味がありません。例えば、私が店長を務めていたとき、売り上げを「6,000万円から1億円にする」という具体的な目標を掲げました。さらに、その大きな目標をいくつかのステップに分解し、日々の行動計画に落とし込みました。
• 「今月の売上目標を達成するには何をすべきか?」
• 「この施策をやる意義は何か?」

こうして目標を具体化することで、チーム全員が同じ方向を向けるようになります。

2. メンバーを知る

目標が決まったら、次に取り組むべきは「メンバーを知ること」です。一人ひとりの強みや価値観、キャリアの目標を理解し、彼らがチームの中で力を発揮できる環境を作るのがマネージャーの役割です。

この段階では、対話がとても重要です。ただ業務の話だけをするのではなく、「どんなことにやりがいを感じるか?」「将来的にどんな仕事をしたいか?」といった、少し深い質問をしてみましょう。

3. コミュニケーションを設計する

チームが目標に向かって進むには、情報の共有と透明性のあるコミュニケーションが欠かせません。私が最初に失敗した原因の一つに、「言葉にせずとも伝わる」と思い込んでいたことがあります。
• 定期的なミーティングを設定する
• フィードバックを具体的に伝える
• 1対1の時間を持ち、個々の悩みや課題を聞く

これらを積極的に行うことで、チームの信頼感が高まり、目標への進捗もスムーズになります。

③嫌われることを恐れない

初めてマネジメントをする人がよく陥る罠の一つが、「嫌われたくない」という思いから厳しい判断を避けてしまうことです。かつての私も、嫌われたくない一心で、何度も言うべきことを言わずに問題を先送りにしてしまいました。しかし、そこから学んだのは「本当に大切なのは、好かれることではなく信頼されること」だということです。

1. 嫌われる覚悟を持つ

「嫌われてもいい」と思える勇気を持つことで、必要なことを冷静に判断できるようになります。ただし、ここでのポイントは「嫌われてもいい」という無責任な態度ではなく、「チームのために厳しい選択をする覚悟」を持つことです。

2. 信頼を築く行動をする

厳しい決断や意見を伝える際には、相手への敬意とチームのための誠実さを忘れてはいけません。「この人はチームのために行動している」と思われるような信頼を日々の行動で積み重ねることが重要です。

以下に参考になりそうな書籍をジャンルごとに分けてリストアップしました。これらは、マネジメント、リーダーシップ、心理学、ストーリーテリングの観点からインスピレーションを得られるものです。良ければ参考にしてみて下さい。私は漫画が好きなので漫画から入るのもいいかと思います。

1. 漫画
『エンゼルバンク』三田紀房
元教師が転職エージェントとして成長する物語。組織内での人間関係や自己成長を学べます。
『島耕作シリーズ』弘兼憲史
主人公の島耕作が平社員から社長へと成長していく過程で、マネジメントやリーダーシップのリアルを描く作品。
『プロジェクトX~挑戦者たち~』監修: NHKプロジェクトX制作班
実際のビジネス成功例をドラマ仕立てで漫画化。チームでの挑戦やリーダーの役割が分かりやすい。
『コウノドリ』鈴ノ木ユウ
医療現場でのチームプレイやリーダーシップ、コミュニケーションを考える題材に。

2. ビジネス書
『リーダーシップ・チャレンジ』ジェームズ・M・クーゼス & バリー・Z・ポズナー
リーダーシップの基本原則を科学的に解説。新人マネージャーに最適。
・『人を動かす』デール・カーネギー
読者に「人と信頼関係を築く」技術を伝える古典的名著。
・『ザ・ゴール』エリヤフ・M・ゴールドラット
ビジネスの問題解決やチーム運営の視点がストーリー形式でわかりやすく学べる。
・『1分間マネジャー』ケネス・ブランチャード & スペンサー・ジョンソン
新任マネージャー向けに、効果的なマネジメント手法を1分間で実践する方法を解説。
・『ティール組織』フレデリック・ラルー
チームの自主性を重視する新しい組織論で、マネジメントの未来像を探る一冊。

3. 心理学
・『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ
人が動くメカニズムを科学的に解説。部下とのコミュニケーションに役立つ内容が多い。
・『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン
感情のコントロールや共感力、ストレス管理がマネジメントにどれほど重要かを教えてくれる。
・『嫌われる勇気』岸見一郎 & 古賀史健
アドラー心理学の観点から、嫌われる覚悟を持つことで自由に生きる方法を伝える一冊。
・『フィードバックの法則』ダグラス・ストーン & シーラ・ヒーン
フィードバックをうまく伝えるための心理学的アプローチ。

4. リーダーシップ(実用書)
・『リーダーのためのストーリーテリング』スティーブン・デニング
読者を巻き込むストーリーをどう作るか、リーダーとしての伝える力を強化する本。
・『チーム・オブ・チームズ』スタンリー・マクリスタル
軍隊で培われたリーダーシップ論が、チーム運営に応用できる。
・『ファースト・ブレイク・オール・ザ・ルール』マーカス・バッキンガム & カート・コフマン
マネジメントにおける「型破り」な方法で成功するコツを解説。
・『5つの機能障害』パトリック・レンシオーニ
チームの失敗原因と解決方法を物語形式で解説。

5. その他ジャンル
・自己啓発
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー
リーダーシップの原則や自己成長について網羅的に学べる名著。
・哲学:
『マキャヴェリの君主論』ニッコロ・マキャヴェリ
リーダーの権力や戦略について哲学的に学ぶための古典。

次章では、具体的なリーダーシップスキルや実践的な手法についてお話しします。
この第一章を通じて、マネージャーとしての基礎を築き、次のステップへ進む準備を整えましょう。

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