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【避難所生活をされている方へ】


台風19号で犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。
家屋、財産に被害を受けた皆様の一日も早い復旧をお祈りします。
私自身も東日本大震災で被災し、3か月にわたる避難所生活をしました。
避難所生活は落ち着く時間もなく、プライバシーも守られず、たいへんな時間が続きます。
しかし、あの東日本大震災でもすべての避難所に支援が届きました。
(見出し画像は2011年のものです)
人々はみなさんを見捨てません。
信じて待っていてください。

 ここに安定的な支援が来る前に避難所に集まっている人たちで、しておいたほうが良いことを書き記しておきます。

1、行政に頼りきりにならないように


避難所のルールを早めに決めて、掃除や物資配布などを被災者で行い、行政職員の手を減らしてください。避難所運営を行政職員に頼りきりだと、市区長村の役場の中が手薄になります。行政職員には、避難所対応の他に通常業務、被災の全体像の把握、罹災証明の発行の業務がのしかかります。

(熊本地震の時、罹災証明の発行の遅れが問題視されました。私自身、熊本県庁・熊本市役所・益城町役場に行きましたが、避難所運営に職員を配置したため役場の中に職員が半分もいませんでした)

行政職員を役場に帰すことが、罹災証明の早期発効の要です
これから、全国の行政や社会福祉協議会(以下、社協)や福祉施設などから応援職員の派遣が行われると思います。
被災対応経験のある行政職員は各被災建物の全壊、大規模半壊、半壊等の認定手続きをしてください。
被災対応経験のない行政の職員は、(避難所に行政職員をゼロにはできないとおもいますので)、避難所の運営の手伝いをお願いします。
社協の応援職員は、ボランティアセンター(以下、ボラセン)運営のお手伝いをお願いします。
被災者にボラセンへの申し込み方法やボラセンで出来ることのお知らせ、現地ニーズのとりまとめ、ボランティアさんへの情報発信、ボランティア受付、ボランティア保険の確認、ボランティア器具の貸し出しと管理、支援場所への案内、ボランティアさんがケガした時の対応、活動終了後の確認などを地元の社協をサポートしてください。
特に社協は普段から、自宅にいる人、避難所にいる含め、福祉の必要な人を支えています。
福祉の必要な人にも手を差し伸べてください。

2、運営役員を決めてください


避難所から行政職員を減らすためには、自治組織が必要です。
いろんな地区から人が集まっていると思います。
自主防災組織を作っている自治会があれば、その人たちに中心となってもらい役員を集めても良いでしょう。
観光や仕事で訪れていた人も含まれると思います。
その中から代表者を集め組織しても良いでしょう。
被災者の半分は女性ですので、役員会は、最低でも3分の1は女性にしてください。
役員として集まった人から会長、副会長、渉外、食事、衛生、環境改善、会計、監査などの役割を決めて班長として、協力できる避難者を書く作業班長の元で協力してもらってください。
医師、看護師さん、介護士さん、保健師さん、保育士さん、栄養士さんなど免許を持っている人はとても心強い味方です。
大工さんなどの職人さん、元自衛官や農業などの一次産業は何でもできる人が多いです。
他にも困ったことを避難者に伝えることで、「それならできる」という人を集めましょう。

3、設備の確認(トイレ)


第一に確認して欲しいのは、トイレを使っても良いのかどうか。
トイレが壊れているかどうかではありません。
避難所で排便すると流れていく先はどこか考えてください。
排泄物は地下の下水管を通っている場合が多いです。
水害だと、その下水管に雨水が入り込み、下水を道路に逆流させています。
その逆流している水は雨水に紛れて、あなたの自宅に流れこんでいるかもしれません。
その場合、大便器を覆うくらいの黒いビニール袋を用意してください。
大便器に3~4枚の袋をかぶせて袋の中に用を足して便の溜まった袋をとりだして口を閉じて保管してください。
そうすることでトイレを流さずに使うことができます。


4、設備の確認(ガス)


次にガス配管を確認してください。
長時間の強風でゆすられた建物はどこからガスが漏れているかわかりません。
ましてや、電気が止まっているとガス警報器が働きません。
ガスが漏れていても気づかないと大変なことになります。
食器用洗剤を水に溶かしてシャボン玉を作れる濃度にして、ガス配管の継ぎ目に塗ってください。
ガスが漏れていると、洗剤がシャボン玉になって教えてくれます。
もちろん、漏れている場合には元からガスを止めてください。


5、設備の確認(使ってよい部屋)


避難生活では、寝泊まりする部屋の他に多くの部屋が必要となります。
避難施設の管理人室や職員室のように一般の人が立ち入りできない部屋、学校などの建物だと理科室などのように危険性があり人を寝泊まりさせられない部屋があります。
(3番の)汚物を保管する部屋、着替えのための部屋、病人が出た場合に隔離する部屋、乳幼児連れの家族の部屋、介護が必要な家族の部屋が必要となりますので、確保しておいてください。


6、生活環境


支援が届く前に病気にならない環境を被災者が中心となり整えてください。
掃除と換気と寝具を干すことを全体で行ってください。
特にトイレの掃除は病気を蔓延させないために必要です。
便器周りだけではなく、直接手を触れる扉の拭き掃除も忘れないでください。
また、病気の蔓延を防ぐために全員がマスクをして寝てください。
マスクで寝ると最初は苦しいのですが、自分の息で保湿されるため喉が保護されます。
マスクを外して寝ると、喉がカラカラになり風邪をひきやすくなります。
これからの季節、インフルエンザのリスクがあがります。
熱が出た人でも避難所から追い出すことはできません。
災害発生時は、病院も満床でインフルエンザとは言っても入院は難しいでしょう。
別室を用意して隔離するしかないと思います。
インフルエンザの可能性がある人一人に一部屋ずつ用意することは難しいでしょう。
一つの部屋を一人ずつ囲い咳によるお互いの感染を防ぐしかないと思います。
(専門家のご意見を求めます)


7、支援物資の受け入れと管理


避難所の雰囲気は役員の方針で大きく変わります。
できるだけ、公平を心がけてください。
支援物資は、被災者全体に向けて届けられるものです。
早い者勝ちにしないでください。
必要な人に必要なだけ。
できるだけ皆が揃っている時に配布してください。


8、プライバシーへの配慮


女性や子どもなどへの配慮をお願いします。
着替えや授乳の部屋を用意して、男性立ち入り禁止を張り出してください。
私が避難所運営で失敗した例ですが、女性の着替え室は用意しましたが、男性の着替え室を用意しなかったために男性が皆の見える場所で着替えせざるを得なくなりました。
女性の着替えを見えない場所でできるようにすると同時に男性の着替えも見えない場所を用意してください。


9、要配慮者への対応


要配慮者はどれくらいいると思いますか。
乳幼児連れの家庭、妊婦さん、高齢者、身障者、けが人は思いつくと思います。
他にも判断を親権者にゆだねている子ども、日本語でコミュニケーションのとれない人、食物などのアレルギーのある人、宗教的に価値観の違う人、LGBT、女性、ペット連れの人が要配慮者として考えられます。
要は、心身ともに健康で、だいたい15才から70才位までの男性以外は要配慮者です。
役員に避難者の中から医療・福祉関係者に入ってもらい全体から意見を聞き取り、女性役員の意見を優先的に聞いてください。


最後に


ここまで、自分が関わってきた避難所の出来事を思い出しながら、思いつくことを書き記してみました。
すべての避難所で、これまで書き記したことができるかどうかは分かりませんが、できる限りの配慮をお願いします。
以下に自分が経験した避難所運営の記録を貼っておきます。
最後まで無料で読むことができます。
時間に余裕ができましたら、ご覧ください。
「東日本大震災 ~体育館避難所で起きたこと~」

長文、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

もっと書きたいことがありますが、被災した人が読むには長すぎると思い、一旦筆をおきます。
(どなたか、わかりやすくマンガにしていただけないでしょうか)

東日本大震災も終わりの見えない被災に思いましたが、全国からの支援により復興が見えてきました。
台風19号で被災地を受けた地の災害の収束と一日も早い復旧を心よりお祈りいたします