「地方移住 x リモートワーク」 オンライン勉強会 vol.3ー高知のWさん
「地方移住 x リモートワーク」 オンライン勉強会
2019年5月11日(土)に開催したオンライン勉強会です。オンライン勉強会は今回で3回目(2回目はこちら)。今回は「地方移住xリモートワーク」をテーマに、ご夫婦で地方移住をした山本みずとさん、ちるちるさんご夫妻、二拠点居住を実践している高知のWさんの話をお伺いしました。
「高知のW」です。36歳です。私は高知県出身です。浪人時代は大阪に住み、大学時代は京都に住み、社会人からは東京からはじまり、一度大阪に転勤し、東京に戻り、いまは高知と東京の二拠点生活をしています。
仕事は、インターネット広告代理店、SNS/アドネットワーク企業を経て、いまは渋谷にあるスタートアップの執行役員として、開発以外の全般を担当しています。
地元は、日本の高齢化を先取りしている町
なぜ、高知に帰りたいかというと、もともと高知出身で、高知で生活したいからです。ただ地域が衰退しているので、踏み込めないでいます。地元では家業もあるのですが、地域衰退と同じく厳しい状況なので、現状は東京のスタートアップで働いています。
出身の高知県安芸郡安田町の人口推移ですが、2015年で約2,600人程度でしたが、来年の2020年には約300人減少してしまいます。その後も、毎年10%程度減少して、2040年には約1,500人まで減ってしまいます。
そして、人口が減るだけでなく高齢化も進んでいて、安田町の2015年の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口割合)が、全国平均の2040年の高齢化率よりも、高齢化が進んでいます。日本の高齢化よりも進んでいて、高齢化を先取りしている町になっています。
地元の衰退している状況は厳しいですが、地元の課題を解決をすることで、事業チャンスの可能性もあると考えています。たとえば、高齢者の生活の足となる自動運転バスのテクノロジーは、高齢化率の高い地域での導入が必要とされるはずです。また、中小企業や個人商店などの事業承継などを解決するための手段も必要となります。
安田町で発生している課題は、他の地方や時間差で全国でも発生してくるので、色んな展開ができそうだと思ってます。
事業機会を見つけるために、高知ー東京の二拠点居住を始める
いまは、東京のスタートアップで働いていますが、高知で事業開発できるスキルを身に着けたいいと思っていますが、まだ高知に帰れるという状態ではありません。
ポジティブにいうと東京の仕事が充実しているからなのですが、ネガティブにいうと高知での事業機会を見つけられていないです。
ずっと高知に帰りたい、新しい事業機会を見つけたいと考えていますが、東京で働いていて、正月や夏休みに、ちょっと帰るだけだと事業機会なんて見つからないですね。といってもいま帰っても仕事もないので、いきなり飛び込まずに、高知でリモートワークをしながら定期的に帰ることにしました。高知に定期的に帰ることで、人脈ができるし、地域の現状を把握できます。
最初は100%高知に帰ることを考えていたが、いまは東京と高知の二拠点居住もいいんじゃないかと思えてきました(笑)
高知での人脈作りは、高校の校友会のお世話役をやったり、高校OBの県庁の職員を頼ったり、高知県主催のビジコンに参加したりしている。小学校・中学校の友人にあったりして聞きに行ったりしている。東京Uターンのイベントに顔を出して企業担当と話したりしている。現状はまったく新しい人とコンタクトして会いに行くということはなく、高校の知り合い経由や既存の付き合いを掘り起こしているうちに新しい人との出会いが起きています。
▼このプレゼン中のチャットでのやり取り
・Oさん: 個人的に、地元に帰って事業機会発見とか、人脈作るってのはすごい大事だと思うんです。自分はいきなり帰って、何もつながりがなくてつらいなと思ってます。
・Mさん: 今日、キャンプ場併設の公園遊びに行って、たまたま売店のオーナーと話してたときに、「予約はほぼ満タンで全然問題無いけどキャンセル多いのと問い合わせが多くて大変、なんとか出来ない?」って話になって。地方の人脈で仕事するってこういうことかーーって少し実感しました
・Oさん: こういうつながり大事ですよね。地方だと、ほんとうに直接のつながりが大事だなーと思います
・Sさん: 地元の仕事はたまにもらいますが、子供の親つながり、嫁の副業つながり、地元の商工会つながり。結局コミュニティだなと
・Tさん: 地方だと人との繋がりが、東京より密ですからねー
・Mさん: 今日の話とかも、課題が死活問題ではないから表面化しないのかなーって思いましたねー「普通に生活できてるし」っていう。首都圏は課題抱えておくと競合につぶされちゃいますからね
午前中は家業、午後は東京の仕事、土日は人脈作り
現職で、開発以外を全部やっていましたが、組織拡大にともない営業部分をメンバーにまかせるようになりました。営業は顧客にあわせてスピーディーな対応が求められたり、直接会う必要がありますが、営業以外は自分でコントロールしやすいので、リモートがやりやすくなりました。
そこで、高知で生活をしたかったので、リモートワークを社長に話したら、さくっとOKがでたので、昨年からリモートワークを始めています。
高知での働き方は、平日の午前中は家業を手伝って、午後は東京の仕事をリモートでやっています。土日で地元の人にあって、月曜日に東京に帰るというサイクルです。
リモートでの仕事は、東京と変わりません。MTGをして、作業をして、MTGをして、、と繰り返しですが、オフィスにいるときと同じ業務です。業務内容は、プロダクトの意思決定や、オペレーションフローを検討したり、営業のフォロー、契約書の確認などですね。
*下記は家業の紹介写真です
ツールをフル活用したリモートワーク
主に社内MTGでは、appear.in を使ってビデオ会議をしています。たまに社外MTGでも、社内の営業メンバーに直接いってもらって、appear.in で参加してます。社外の営業先からもappearによる参加でも不満はないですね。
社外の営業で、100%ビデオ会議(誰も訪問しない)で商談をするということはやってません。実施してない理由は、まだスタートアップなので、信用を得るために対面であってます。そこは移動時間を短縮できるメリットより大きいので、まだ対面で会いに行っています。
ビデオ会議は一般的には浸透していないので、ビデオ会議だけで、相手に信頼・信用してもらうのは難しいと感じています。信頼関係ができれば、コミュニケーションでは問題はないので、ビデオ会議のみでも問題はなくなっていると思います。
リモート時の社内連携方法は、フローのやりとりは、Slack のチャットでやりとりをしています。オフィスでも、リモートでも変わらないです。口頭で伝えたい場合は、appear.in のURLを送ってすぐに話します。
ストック系は、Confluence を活用しています。議事録や企画書、オペレーションフローなどです。
開発タスクは、JIRAで管理していますが、最近営業チームでもタスクをチケットで管理していて、asanaというツールを導入しました。まだ導入後に高知に戻っていませんが、チケット管理でタスク進捗が可視化されたので、リモートワークがしやすくなると思います。
勤怠管理は、KING of TIME でログを残しています。出勤・退勤はチェックするだけなので、リモートワークだと実態が見えないのですが、性善説にもとづいてやってます。
あとは、リモートだと席にいるかどうかがわからないので、ご飯休憩など、離席する際には、Slack で細かく発言するなどは気を使ってます。
リモートワークのために特別なことはしていません
リモートワークの作業環境は、リモート(高知)でも、リアル(渋谷)でも違いはありません。対面で話すことはありませんが、オフィスで活用しているツールは、リモートでも活用していますが、リモートのために特別なことはしていません。先に話したようなチーム内の連携するツールが導入されている会社であれば、リモートワークを開始する際の導入コストは低いと思います。
リモートワークをしていて、社内からはネガティブな話もありません。「定期的に高知に帰る高知の好きな人」だと思われています(笑)
リモートを理由に仕事のクオリティをさがってるとツッコまれないように、しっかりやるようにしています。
高知でリモートワークをして気づいた課題
リモートワークで気づいた課題は、オフィスで働いているときは、意識してなかったのですが、リモートだとメンバーの体調とかはわかりにくい。たとえば、顔色がよくないとか、寝癖がたってるとか、トイレにいく回数が多いとか、、、オフィスにいたら雰囲気で気づけたものがわからないなと思いました。これはテキストで質問しても答えなかったりするので、リモートでは気づくことができないです。
あとは、「教える」は、対面で説明するほうが効率がいいです。なので、リモートでジュニアメンバーをリモートで育成するのは難しいです。
育成では、業務だけではなく、仕事に取り組む姿勢とか、スタンスみたいなものは、対面で伝えたりオフィスの雰囲気がないと浸透しずらいと思います。一度対面で働いた社員やスペシャリストのような社員であれば、リモートワークも問題なくできるのではないですかね。
プレゼンター:高知のWさん
- 渋谷のスタートアップで執行役員やってます。顔出しNGです!2018年から東京と高知の二拠点居住を開始、高知にいる間は午前中は家業、午後は東京の仕事と二足のわらじ。高知に関することはご連絡ください。
Writer:小倉 研太
- Mail:ogura@6guild.net
- twitter : @kajyou
- 地方移住 x リモートのコミュニティはこちら
支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。