過去にSNS集客でやってきたこと①
今から6年前。神奈川県の中でも高齢者世帯が比較的多いエリアで、わたしは個人店を開業するために準備を進めていました。
顧客ターゲットは「未就学児を子育て中の20~40代の女性」「空き時間にハンドメイドで作品を作り、販売をして副業で収入を得ようとしている層」
この時点で、そもそも高齢者世帯の多いエリアへの出店、飲食店のような大衆に向けた事業でもない趣味のお店の出店は、完全にミスマッチでした。 そこでわたしは、地域エリアに絞った集客ではなく、敢えて商圏エリアを「全国区」に拡大したのです。
着目をしたのがInstagram。 ちょうど「インスタ映え」という言葉が流行語大賞に輝いた年でした。
1.起業を決めたと同時に、Instagramアカウント開設
「よし、起業しよう」と思い立った時。 まず最初にしたことは、お店の発信を行う、【Instagram公式 アカウント】の開設でした。
開業をするにあたり、何かしらのアクションを起こさないとお店の存在を誰にも知られようがありません。 そこで、「こんなお店を作ります」とInstagramの中で宣言をし、何も形が決まっていない状態から『発信』を始めたのです。
ーー 今、お店を開業するにはどうしたらいいか、調べているところです。
ーー 実はわたしも、手作りで作品を作ってメルカリで販売しています。こんな作品が並ぶお店を開店したいんです。
ーー 今日は、物件を探しに不動産屋さんに行きました。
ーー お店を開くためにお金がどれくらいかかるのか、計算をしています。
ーー 創業融資を受けるために、事業計画書を作っています。
ーー 申し込みにあたっての、利用規約を作りました。
この時点で、確実に決まっていることなど、何一つありませんでした。
何も具体的に形になっていないのに、「こんなことをしました」「あんなことをしました」と発信し続ける。
今でこそ「プロセスエコノミー」や「ストーリージャーニー」も当たり前に語られるようになりましたが、2017年当時のわたしはそんな言葉を知るはずもなく。 ただひたすら、妄想のような夢物語を発信する、わたしのInstagramアカウント!…狂気の沙汰か、はたまた頭のネジがぶっ飛んでいたのでしょう(笑)
もちろん、初めは発信しても発信しても無反応。 それでも、何も決まっていないけれど「こんなことをやりたいんです!」「こうなるために、今こんな準備しています!」その経過を、発信し続けました。
2.開店直前、全国から届いた作品
創業融資の審査に通り、準備は着々と進んでいきました。 内装が整い、レジ回りを揃え、少しずつ、少しずつお店は完成されていきます。
この頃になると、InstagramのDMから『利用について詳細を教えてください』そんなメッセージをチラホラいただくようになりました。
開業直前、全国から寄せられた作品と、どこからやってきたかを照らし合わせる作業。 涙が出る程、嬉しかったことを今でも思い出します。
「オープンおめでとうございます!わたしは三重県なのでお店には遠くて行けないのですが、オープンに参加できて嬉しいです!」
「開店おめでとうございます!〇〇(屋号)と申します。鹿児島から大事な作品を送ります。よろしくお願いします」
「広島です。実際にお店に行けなくてすみません。でも作品だけでもお店に行けて本当に良かった」
中には、オープン直後にこんなお客様もいらっしゃいました。
「今日は埼玉から4時間かけて車で来ました。どうしても、実際に見てみたくて。朝4時に起きて、高速を使って来ました」
はじめから全国展開しようと決めていたので、オンライン回りは比較的初期の段階で整えました。
ネットバンキングやアプリ決済で、遠方にいながらでもスマホ操作1つで決済ができる仕組みを導入。 遠方でもお客様にお店を利用していただけるよう工夫を凝らし、ハンドメイド作家さんの作品に興味を持った” お客様 ”に見てもらいやすいように、Instagramは作品カタログに見立てて発信。
LIVE配信では連日テレビショッピング…いえ、インスタライブショッピング! ハンドメイド作品に興味を持つ「ハンドメイド作家さんの”お客様”」に照準を絞った発信を繰り返しました。
その結果、本来のターゲットであるハンドメイド作家さんたちから「あんなに発信力のあるお店は他にはない!」「LIVE見たら分かる!作品の扱いが丁寧で、愛がある!」「かじぃさんがLIVEで紹介してくれたら、LIVE中、お客様にわたしの作品を” 欲しい ”ってコメントもらえて嬉しかった!!!」このような評価を数多くいただきました。
もし、わたしがお店の純粋なお客様。つまりハンドメイド作家さんたちに向けた発信ばかりを繰り返していたとしたら、このような結果にはならなかったでしょう。
4.SNSを事業に活かしていくために考えたいこと
事業者さんの発信の多くは「お店に食べに来てください」「インターネットから注文する場合はこちら」「今すぐ予約できます」というような、発信側の目線に寄った発信がほとんど。
これだと、お客様はどうしても「売り込まれているような」圧を感じてしまいます。 お客様とお店の関係性によっては、例え売り込まれている発信だったとしても喜んで情報として受けとるでしょう。
売り込まれているような発信を受け取ってくださる理由は、発信を受けとるお客様が売り込みの情報、もしくは発信者のあなたに価値を感じてくださっているからに他ありません。
しかし、これが初見のお客様だった場合。 まだお店の価値も、あなたのことも、何も伝わっていないまっさらの状態なのです。 そこに売り込みの圧が強すぎる発信を出したとき、初めて発信を見たお客様は、あなたの発信に何を感じるでしょうか。
もし、「あ、これ自分やっちゃってるかも…?!」とドキッとしたあなたは、この機会に少しだけ発信を見直してみてはいかがでしょうか。
実はわたしも、毎日発信と発信後の反応とを照らし合わせて「何が良かったのか」「どこがマズかったのか」「なぜ、こうなったのか」そんな振り返りと反省会の連続です。
日々の繰り返し、積み重ねの果てに、『昨日よりも今日、前に進めるように』そんな気持ちで取り組んでいます。 長くなりましたが、このnoteが「何をどう発信していいか分からない」そんな事業者さんへの、発信のヒントになれたら、嬉しいです。
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