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SNS集客が上手くいかないお店の共通点

SNSが世の中に浸透してきて、10年あまり。
SNSを集客や求人の募集に活かそうと、積極的に事業に取り入れるお店も多く増えました。

ところが、同じSNSを使って同じように発信をしているはずなのに、なぜか『SNS集客が上手くいっているお店』『SNS集客が上手くいかないお店』に分かれています。


なぜ、SNSを使った集客が上手くいかないのか

結論から申し上げますと、SNSを使った集客が上手くいっていないお店は複数の要因、原因が絡み合っています。

SNS集客が上手くいかない原因は「これだ!」と、かんたんに特定ができるものではありません。また、原因が単一であるとも限りません。

お店の背景や、お店があるエリアの環境、お店に来店されるお客様の状況、お店のスタッフの様子、SNSを使っている目的と、利用しているSNSがマッチしているか、…など。ひとつひとつを挙げていくと、キリがないほどに複雑に絡み合っており、その原因はお店ごとに違っているからです。

SNS集客が上手くいかない原因は複雑化しているものの、その根底にはある共通点が隠れています。

技術的なことではありません。

その共通点とは…思い込み

今回のnoteは、特によく見られる5つの思い込みと、なぜSNS集客が上手くいっていないのか、その理由をまとめました。


SNS集客が上手くいかない、5つの思い込み


①飲食はInstagramですよね、という思い込み

SNSの壁打ちやご相談を受けている中で、多く聞かれる思い込みのひとつです。

「飲食業をやっているから、Instagramをやりたいんですけど…」「飲食店は、やっぱりInstagramですよね!」「自分のクライアントが飲食をやっていて、Instagramを勧めているんですけど~」…誰が言いだしたのか、飲食といえば、Instagramという風潮。

事実として、Instagramとの相性が抜群に良い飲食店もあります。

しかし、すべての飲食店がInstagramから発信をして、集客効果を上げられているのかというと、けっしてそうではないのです。

実は、SNSのご相談を受けていると「飲食はInstagramですよね!」と同じくらい、「Instagramをやっているけど、どうにも上手くいかなくて…」という声があがります。

つまり、『飲食はInstagramですよね!』と思い込んで始めたInstagramですが、『やってみたけれど、思うように集客ができていないな…』と感じているお店が多いことも、また事実なのです。


少し考えてみましょう。多くの飲食業が「飲食はInstagramですよね!」と思い込み、Instagramを使って発信をしています。ということは、Instagramは飲食の激戦区とも言えますよね。

どれほど発信をしても、どれほど見栄えの良さそうな写真を撮っても、どれほど美味しそうに動画を録っても、もはや入り込む余地がないほどに、Instagramの中は競合がひしめいています。

その中であなたのお店をInstagramユーザーに見つけてもらう自信はありますか?

見映え、動画、LIVE、毎日の投稿、DM、コメントへの返答…どこのお店も当たり前に取り組んでいることと同じことを毎日繰り返して、そこから一歩抜きん出ることができると思いますか?

実際のところ、それが難しくて心が折れている飲食業の方が大変多くいらっしゃいます。


②○○が増えたら集客できますよね、という思い込み

「SNSのフォロワーが増えたら…」「SNSの再生回数が伸びたら…」「SNSの投稿をたくさんのひとに見てもらって、表示数が増えたら…」集客ができる!

あなたも、そう思ってはいませんか?

「集客をするために、フォロワーを増やしましょう!」「集客をするために、動画の再生回数を伸ばしましょう!ひとに見られやすい動画を録りましょう!」「集客するために、投稿の表示数を上げましょう!」…あなたも、こんなセリフを営業してきた業者のひとに言われたことがありませんか。

確かに、SNSのフォロワー数が多いと実際のお店も盛り上がっているように見えますよね。投稿がたくさん表示された数字が出てくると、情報が拡散されているように感じますよね。

ですが、ここに断言します。
SNS上の数字は、実店舗の集客とイコールではありません。


実店舗集客において、お客様は写真や動画のクリエイティブの良し悪しで判断をして来店を決めるわけではありません。まして、ユーザーのタイムラインに投稿が表示されても、情報はあっという間に古くなって濁流のように一瞬でタイムラインを流れていきます。

このような状況下では、写真や動画にこだわってもユーザーには見向きもされないでしょう。

ではなぜ、ユーザーはあなたの投稿に目も手も止めてくれないのか。あなたの投稿が見向きもされないのか。

それは、あなたのことも、あなたのお店のことも、ユーザーは知らないからに他なりません。ひとは、自分が知らないものには基本的に興味関心を持たないのです。


そもそも、SNSを利用する多くのユーザーの目的は暇つぶしであり、「行きたいお店を選ぶ」という明確な目的や意図を持ってSNSを眺めているわけではありません。目的なくSNSを眺めているところに流れてくる情報。ユーザーの心にとどまる、ユーザーがお店や料理に興味を持つには、画像や動画とは別のところに理由があります。

では、どのようにしたら写真や動画を見ているSNSのユーザーに興味を持ってもらえるのでしょうか。

ここを突き詰めて考えなければ、一生懸命に録った動画も、こだわり抜いて撮った写真も、暇つぶしで時間を埋めていくだけの産物になってしまいます。

店舗のSNS集客で大切な考え方は、1000回の動画再生数を目指すよりも、たった1つでいいのでお客様の行く理由を見つけ、お客様の行く理由に絡めて来店を訴求すること。

「家が近く」「職場の帰り道にある」「犬の散歩コース」「子どもの習い事をやっている教室の近く」というように、ユーザーの生活圏内にお店があることは【お店に行く理由】のひとつになりえます

反対に、どれほど写真がきれいでも、どれほど動画の再生回数が伸びていても、通常はユーザーにとって生活圏外のお店は物理的にお店に行く理由から排除されます。

SNS集客において大切なことは、フォロワーが多いことではありません。

フォロワーは少数であっても、確実にお店に来られる見込みのお客様とSNSでつながりを持てていること。これが、SNS集客では大切な考え方となります。


③インフルエンサーに来てもらえば集客できますよね、という思い込み

ある飲食店からお話を聞きました。「インフルエンサーが食べに来てくれたら、しばらくお客さんの入りが良かったんだよ」と。確かに、地域情報を積極的に発信しているインフルエンサーやグルメ系インフルエンサーは、飲食店とも相性が良く集客の一助となりえます。ですので、集客に置いても有効な手法のひとつと言えます。

ただ、インフルエンサー集客には、大きな落とし穴もあります。インフルエンサーに集客の何から何までを頼りきろうとすると、失敗をします。

大前提として、インフルエンサーのSNSを見てお店に訪れるお客様は、お店のファンではなくインフルエンサーのファン

お客様の来店の動機が「推しのインフルエンサーが行った飲食店を体験してみたい」に起因している以上は、リピートの来店も期待ができません。一度体験ができれば、大抵は満足してしまいますから。

つまり、インフルエンサーを起用した集客は、一時的な集客は期待できたとしても継続的な集客とはなりません

また、このようなケースも起こりえます。

例えば、あなたのお店が地元のひとに愛される小さなお店だったとします。

たまたまインフルエンサーが食べに来てくれたことをきっかけに、これまでに来店がなかったお客様が殺到したとします。

元々がこじんまりとした小さなお店。突然来られた大勢のお客様に対応ができる状態ではありません。

お店の普段の様子を知らない初めてのお客様は、待たされることに不満を抱き、怒り出すひとも中にはいるかもしれません。

よくお店に来てくれていた常連のお客様は気を遣ってしばらくお店に入れなくなり、やがて足が遠のきます。一時のお客様のために、常連のお客様を失う可能性もあるのです。

インフルエンサー集客は、集客ができないわけではありません。

一時的に増えるお客様にお店側が対応ができるならば、効果的な手法とも考えられます。

ただし、インフルエンサー集客があなたのお店に合った方法かどうかは、よく検討された上で導入されることをおすすめします。


④お金を出してやってもらったら集客も上手くいきますよね、という思い込み

ある地方の飲食店をご支援していた方が、Xにこんな投稿をしていました。

「お客様からお話を聞いた。関東のSNSの代行会社から営業電話を受けた。SNSを代わりにやってくれると言うので20万円をお支払いした。蓋を開けてみたら、投稿は1回分だけ…。お客さんもお店に来ない。非常に困っている…どうしたらいいのか分からない」と。

わたし自身が直接お話をお伺いしたわけではないため、実際の契約内容や深い事情までは分かりません。しかし、このように業者にSNSを丸投げするつもりで契約を交わし、期待していた動きや成果につながらずに困っているというお話は大変多く耳にします。

このような状況に陥ってしまう要因は、大きく2つ考えられます。

1つは、SNSの代行業者は基本的に商いを知らないこと。

そしてもう1つは、SNSの代行業者に依頼をしたいお店が、どのような視点で業者を選べば良いか判断の基準を持っていないこと。

SNSの代行業者はSNSのプロですから、SNSを見た目よく整えることには長けています。しかし、お客様相手の商売については何も知らないケースがほとんどです。そのため、SNSは見た目よく整っても、実際的には店舗への集客につながっていないといったトラブルも頻発しています。

SNSの代行をお願いしたいお店側は、SNSのことやオンラインに関して全般的に疎いことが多く、自分の考えで判断をすることを苦手とします。それゆえに、たまたまお電話をかけてきた営業に言われるがままに契約を結んでしまい失敗してしまうケースも多く見られています。

飲食業というお仕事が忙しいのは分かっています。
しかし、現実問題としてSNSを丸投げにしよう、お金を払って全部やってもらおう!と安易に決める前に、実際に何をどこまでやってもらえるのか、代行なのか、コンサル(アドバイス)なのか、実店舗の支援事例があるのか、実際にSNSを操作するひとは過去にどんな成果を出しているのか、などしっかりと調べることを強くおすすめいたします。


⑤SNSで発信できているし自分の発信は何も問題ないですよね、という思い込み

これは、過去にわたし自身が陥った失敗例でもあります。

SNSは基本的に無料で利用できる発信ツールです。
スマホやPCを持っていれば、かんたんにSNSを始めることができます。

かんたんに始めることができるのですが、かんたんに発信ができてしまうが故に、自分の発信を客観的に見ることができないという側面があることに多くのひとは気付いていません。

SNSを事業に活用するには、SNSを利用して直接顧客と交流・発信し、購買行動(店舗への来店)に導くために専門的知見や技術を要します。(ソーシャルセリング)

しかし、SNSにも知識や技術が必要ということを知らないまま問題なく発信はできてしまいます。誰も指摘をしてくれるひとはいません。そのため、自分のSNSの発信が目的を叶えられる発信になっているか、あるいは適さない発信となっているか、自分ではなかなか気付くことができません。

その結果、目的にそぐわない発信をしていたとしても、「自分の発信はちゃんとできている、問題ない」という思い込みが起こり、発信を改善する発想にいたらないのです。過去のわたしは、この傲慢さゆえに自己流で結果につながらない発信を繰り返し、ただただ時間だけを無駄に溶かしたという苦い経験をしています。

幸い、わたしはXと真剣に向き合い始めたことをきっかけに、SNSの発信そのものを見直す機会に恵まれました。InstagramとXの役割や発信のやり方が根本的に違うと気付いたのも、客観的に発信を見てもらうようになり改めてSNSと向き合う機会を得たお陰です。


SNSで発信をするだけでは、目標、目的を叶えることはできません。
これは、わたし自身が体験をしてきたことだからこそ言えることです。

自分の発信のマズさに気付き始めた過去のわたしは、「何ができていないか自分で分からないけれど、何か上手くいっていない気がする…」という漠然としたモヤモヤを感じていました。誰かに聞いてみたい、教えてもらいたい。だけれど、自分で何が分からないかが分からないために、質問を言語化することができませんでした。

「分からないことが分からないけれど、自分の発信はどこかよくない気がする。何がマズイのか教えて欲しい!」とそのまま聞きに行けばよかったなと、今になって思います。

少なくとも知見を持っているひとは、過去のわたしのように質問を言語化できない相談があったとしても、目的から逆算して最適解を導き出すことができるのですから。

SNS集客が失敗した事例

SNS集客に失敗をして、ご相談にこられた方の事例をご紹介します。

その方は、「SNSのフォロワーを増やせば集客ができます!」という営業の言葉を信じきって、6万円相当するSNSのコミュニティへ入会をしたと話されていました。

コミュニティの中でお互いにSNSのフォローをし合い、発信に対してリアクションを行うことで、フォロワーも増えるしお店の認知が広がります。と、このような説明を受け、言われるがままに実行をしました。

確かに、SNSのフォロワーは増えたそうです。

しかし、ご相談にこられた方はこのように言いました。「フォロワーは増えたんですけど…実際は誰もお店には来てくれなくて…」

この方のSNSのアカウントをチェックさせていただいたところ、この方がお店を出している商圏エリアに通って来ることができないような遠方の方ばかりが、アカウントをフォローしていたことが判明しました。

フォロワーを増やせば集客ができると思いこんで失敗をしてしまった、典型例です。

まとめ


SNS集客が上手くいっていないお店には、思い込みをしているという共通点がありました。

特に多く見られるのが、5つの思い込み。5つの思い込みによって、どんな弊害があるのかを以下にまとめてみました。

  • ①飲食店はInstagramですよね
    → 思い込みによって、他のSNSの可能性に気付けない。他のSNSのお客様の来店機会を逃してしまう。

  • ②〇〇が増えたら集客できますよね
    →「フォロワーが増えたら」「閲覧数が増えたら」「動画の再生数が増えたら」「交流が増えたら」など。むやみにフォロワーを集めたり、意味のない交流に時間を使い、違う方向にむけて努力してしまう。

  • ③インフルエンサーに来てもらえば集客できますよね
    →力を借りる先、頼る先を間違えてしまう。常連のお客様にとって居心地が良かった環境を壊してしまう可能性もある。

  • ④お金を出してやってもらったら集客は上手くいきますよね
    →情報の正しさを判断できず、本来はしなくてもよい出費をしてしまう可能性がある。

  • ⑤SNSで発信できているし、自分の発信は何も問題ないですよね
    →今、やるべき施策の判断を間違えてしまう。発信のマズさに自分ではなかなか気付けないため、最悪の場合は炎上することも…。

SNSを上手く事業に活用するためには、自分はどこかで思い込みをしていないかという疑いを自分に向け、客観的に外から意見を取り入れて確認をしていく作業を取り入れられるとよいでしょう。


>>思い込みが外れると、これまでなかったアイデアも湧きやすくなります。

さいごに

SNSは、使い方次第ではあなたのお店を助ける優秀なツールになります。
一方で、使い方を間違えてしまうとあなたの大切な時間を消費し、本来のお店が思い描いていた理想の姿から遠くなってしまう危険性も持っています。

業種、業態、お店の規模感、SNSを操作するひとの特性、使っているSNSとお店がやりたいことの適正などを考慮し、自分のお店に合ったSNSの使い方ができることを心から応援しています。

お願い

あ、ご無理にとは申しませんが、できたらメンション付けてXからnoteのご感想などいただけると、泣いて喜びます。

Xの交流アカウント:牛、です。
美味しいものが大好きな、ただの牛です。特に牛ホルモンが好きです🐮

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