改めて「写真」というものを考える
自動生成AIの進歩
2023年。
昨今の自動生成AIテクノロジーの進化によって、複雑でリアルな精巧画像が誰でも気軽に生成できる時代が訪れています。
連日のようにSNSでは多くのリアルな画像が乱発され、リアルとフェイクの境目もよくわからなくなってきています。
ChatGPTの出現により、ホワイトカラー従事者の方々が注目をし、人によっては危機感を感じるように、Midjourneyなどの自動生成AIの出現により、フォトグラファーやイラストレーターなどのクリエイターがそのテクノロジーの出現に注目をしている状況ですね。
さて、前置きはこのくらいにして、今回こうしてブログを書こうと思ったのは、AI技術が日進月歩で進行する現代の時代において、もはやアナログと言っていい(ここは賛否両論あると思いますが)、「写真」というものについて、一応写真家として謳っている端くれとしてもう一度考えたいと思ったからです。
結論を言えば、「写真」には、人間というフィルターを通すことで、意図や感情を込めることができます。また、記録という特性も持ち、過去の記録を残すことで価値を見出し、その価値は人を感動させたりするものになります。
人間が撮る「写真」にしかできないことが確かにあり、これからも私は「写真」を愛し、撮り続けたいです。
以下にはこの結論に至った経緯が記されいます。ポジティブな内容ですので是非ご一読ください。
「写真」と「画像」の違いは?
「写真」と「画像」の違いを今一度考えてみました。
この二つの間に確かな距離を感じていますが、ここ最近はその距離感が近いように思えてきました。
ですが、確実に二つの間には距離は存在し、それぞれの良さがあるはずです。
今回は、「写真」に偏った内容ですが、各項目別に考えてみました。
★創造の動機
人間が写真を撮影する際には、特定の目的や動機があります。感情の表現、記録、伝達、芸術作品の創造など、その動機は多岐にわたります。一方、AIが写真を生成する際の動機は、プログラマーによって設定された目標に従っています。例えば、特定の主題を表現する、特定のスタイルを模倣するなどの指示に従うことが多いです。
人間が写真を撮影する動機は多岐にわたり複雑です。一方、AIは設定された目標に対して、過去のリソースを用いてアウトプットするだけです。
★意図と感情
人間が撮影した写真には、撮影者の意図や感情が込められています。それがどのような角度から撮影され、どのようにフレームに収められ、どのように編集されるかは、すべて撮影者の意図によるものです。しかし、AIが生成した写真には、AI自体の意図や感情は含まれていません。AIは人間の指示や学習したパターンに基づいて行動しますが、自己意識や感情を持つことはありません。
「写真」には、写し出されたもの以外にも撮影者の意図や感情を捉え、そこに価値を見出せる可能性があります。
自動生成AIが作成する画像には、アウトプットされた画像の価値しかありません。
★ランダム性と計画性
人間が撮影する写真には偶然性が含まれています。例えば、光の変化、偶然通りかかった人々、予期せぬ出来事など、写真はその瞬間の一部を捉えるものです。一方、AIは特定のパラメーターや指示に従って結果を生成します。その結果、AIが生成する写真は計画的で、偶然性が少ないかもしれません。
「写真」の希少価値の一つには、偶然性があります。再現性が低いものほど「写真」としての価値は高いのかもしれません。
想定できる写真を撮り続けることも重要ですが、人間が撮影することで、予期しない事が起こったりした際に不意にいい写真が撮れたりすることもあります。
それが写真の面白さでもありますよね。
★個人性と普遍性
人間が撮影した写真はその人の視点や個性を反映します。
同じ場所やオブジェクトでも、撮影者によって得られる写真は全く異なるものになります。しかし、AIが生成する写真は、訓練データとプログラムに依存します。その結果、AIの生成する写真はより普遍的な特徴を持つ可能性があります。
人間にしか撮れない写真がありそうです。
こうして項目を挙げて改めて考えてみると、「写真」の価値は、綺麗に撮れた描写にもありますが、この写真を"誰"が撮ったのか、"どこで"撮ったのか、"いつ"撮ったのか、"何"が写っているのかという付加価値をつける事で、「画像」から距離を離すことができ、「写真」としての価値を高めてくれるのかもしれません。
自動生成AIは、数あるリソースをもとに最適な画像を作成します。
そこには、誰も写っていませんし、どこでもありません。
ですが、用途によってはそれがメリットになりますし、自動生成AIの登場によってPhotographerの仕事が減っていくことは自然であり、これは受け入れざる負えない事かもしれませんね。
ですが、写真家として作品を残すって意味合いにおいては、属人的な要素を高めていき、見た目以外の付加価値が訴求できる写真を撮り続けることで、写真家としてのプライドを維持できるでしょうし、Photographerとしても、そこは同様に競合との差別化を図る意味合いでは重要な要素であるでしょう。
「写真」とは?
自分自身でも振り返りがとれて良かったです。
あなたにとっての「写真」とは?
そんなことを少し考えてみるのいいかもしれませんよ。