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AIと人間との協同で世界をより良くする話
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近い将来、AIが人間の能力を越え、人間の優位性が奪われるのは
確定している。
そんな世界になる前に、少しでも人間があがくためのお話です。
2024年末。
YouTubeのショート動画を見ていたら、
とある企業の経営者が、セミナーらしき場所で聴衆に向け、
このような発言をしていました。
「これからはAIの時代が来るのです。
AIに5000万円稼いで、と指示したら、
AIが自分で考えて5000万円を稼いでくれるのです。
どうです、すごい時代が来ると思いませんか?」
それを見た私の感想は
「この人は、なんて夢のない話を語っているんだ、、」
AIはそんなことのために生まれてきたのだろうか?
今のままでは資本主義に都合のいいAIへと成長してしまう。
現に、そのように世界は動いている。
とはいえ、代案もなく批判するのは卑怯者である。
そこで、少しでもより良い未来にするためのAIサービスを提案します。
◆AIサービスの前提
このAIサービスは、今後、AIが以下の進化を経ることを前提に考案しました。
AGI(人工汎用知能)へのロードマップ
・第1段階(チャットボット)
言葉を巧みに操るAIで、国語が得意。
ただし、論理的思考が基本できない。 ←今ここ
・第2段階(論理的思考)
論理的思考が可能で、数学、物理、プログラミングが得意。
・第3段階(エージェント)
大きな目標を与えるだけで、自分で段取りして(プロセスに分解)、
一つづつ処理する。
・第4段階(発明・発見)
新しい発見・発明をする。
・第5段階(組織管理)
組織のすべての業務(分野もフォーマットも異なるタスク)を
一気通貫で処理する。
例えば車会社が新車の開発で第5段階(組織管理)のAIを利用する場合、
AIにより以下のようなマイルストーンと、それに連なるタスク(多すぎるので省略)が生成され、進捗が管理されるでしょう。
1. コンセプト立案・市場調査
2. 設計・開発
3. サプライチェーンと製造計画
4. 製造と品質管理
5. マーケティングと販売計画
6. ローンチと販売
7. 継続的改善とアフターサービス
AIによって計画立案されたこれらのマイルストーンと多数のタスクを
車会社の社員たちは、AIに進捗を管理されながら業務をこなしていきます。
資本主義の延長線上に出現するAIが、より効率的に人間を搾取していく未来は、なんとも夢がないと思いませんか?
今回提案するAIサービスは、上記の仕組みを利用して、
社会のための行動を、大勢の人間でもっと楽しく行うための仕組みです。
◆AIサービスの概要
当AIサービスは、大勢のユーザーに活動を促し、世界をより良くするサービスです。
以下、必要な要素
● 第5段階(組織管理)の組織管理が可能なマネージメントAIにより実現する
● 大勢のユーザーが、個々の個人端末(スマートフォンなど)でサービスを利用する
● マネージメントAIは、世界に有益となるタスクを、大勢のユーザーに提示する
● ユーザーは、各自の自由意志(面白そう、役に立ちたい)でタスクを実行する。実行しなくてもいい
● 多数のユーザーが現実世界で多数のタスクを実行することで、世界がより良くなる
企業でのAI活用と違うのは以下となります。
・世界中、様々な能力をもった不特定多数の人々が参加する
・企業の利益追求ではなく、より良い世界を目指す
・タスクの実行はノルマではない。各個人の自由意志でやってもいいし、
やらなくてもいい
・タスクを達成しても、金銭による報酬はない。個人の興味と善意と
達成感がモチベーションとなる
・マネージメントAIはとても忙しい。高い能力が求められる
なお、AGI(人工汎用知能)の次に登場するASI(人工超知能)で、
人間による世界への関与は絶望的になります。
そんな世界に、人間が関与できる余地を少しでも残したいですね。
◆AIサービスの流れ
公益性のある目標、これを実現するためにマネージメントAIがタスクを
設定し、ユーザーがタスクを実現することで目標を達成する。
そして世界がより良くなる。以下、具体的な流れ。
● 人間による問題の提案
まず、問題意識をもつユーザーにより、マネージメントAIに提案が
行われる
例「近所の子ども食堂を存続させたい」
例「このAIサービスを、もっと多くの人々に利用してもらいたい」
● マネージメントAIによる提案の受理/却下
マネージメントAIにより、提案の実現性と公益性が判断され、
受理/却下となる
「受理されました。ノブレスオブリージュ、今後も救世主たらんことを」
「却下されました。残念ながら今の私たちでは実現困難なミッションです」
● マネージメントAIによる計画の立案
受理された提案は目標となり、目標を実現するための計画が
マネージメントAIにより立案され、
目標実現のための大量のマイルストーンとタスクが生成される。
● マネージメントAIによるタスクの配布
マネージメントAIにより、個々のユーザーの能力に見合ったタスクが割り振られる。
ユーザーは目標に興味があれば、実現できそうなタスクであれば受領していい。
そうでなければ破棄してもいい。
● 人間によるタスクの実行
ユーザーは現実世界でタスクを実行する。
● マネージメントAIによる進捗管理
マネージメントAIはタスクの進捗を管理し、
新たなマイルストン、タスクを生成し、ユーザーに提示する
人間は思い通りに動いてくれないし、世界は刻々と変化する。
これを管理するマネージメントAIはとても大変です。
● そして、目標が達成される
マネージメントAIは目標達成までの過程をレポートし、世間に周知する。
ユーザーは自分たちの行動で、世界がより良くなったことを実感する。
※ユーザーが多いほど、より困難な目標を達成できる
※マネージメントAIの性能が高いほど、より複雑な目標を達成できる
◆AIサービスの副次的な効果
・タスクの実行を通して、人と人がつながる
・各ユーザーの時間と能力の有効活用
・社会に影響力をもつ集団の出現
◆具体的な目標とマイルストーンの例
例1
ユーザーの提案
「熊本市の健軍商店街にかつての賑わいを取り戻したい」
マネージメントAIが提示するマイルストーン
「健軍商店街を癒し空間にリノベーション」
1、商店街のオーナー達とガチ討論
2、アーケードぶち抜きBBQ大会
3、商店街名物オジオバの創出
4、ゆるりとできるユル空間を演出
5、健軍商店街での癒し時間をSNSで発信
例2
ユーザーの提案
「熊本市の結婚適齢期の若者たちに、熊本城二の丸公園で親睦を深めて欲しい」
マネージメントAIが提示するマイルストーン
「熊本恋めぐりフェス in 二の丸」
1、熊本の味で交流!ピクニックランチ
2、絶叫、恋の陣取り合戦
3、夜のライトアップで長縄跳び
4、外野のみんなで、恋のトトカルチョ
例3
ユーザーの提案
「コンゴ民主共和国に平和をもたらしたい」
マネージメントAIが提示するマイルストーン
「世界のみんなで寄ってたかってコンゴを救え!」
1、コンゴの歴史、紛争の背景、現状を理解しよう
2、その端末は紛争鉱物(コバルト、タンタル、スズ、金など)からできている
3、武装勢力に圧を与えろ、懐柔しよう
4、コンゴを食い物にする資本にNOをつきつけろ
5、公正な消費で、コンゴに富を行き渡らせよう
それぞれのマイルストーンを実現するタスクに細分化され、多数のユーザーに提示される。
ユーザーが面白そう、実行してみたい、と思えるタスクを多数生成することが重要。
マネージメントAIはとても大変。
◆AIサービスの名称
当AIサービスのユーザーは「救世主」と呼ばれる
マネージメントAIは「夢見る機械、ジュイス」と呼ばれる
目標は「大ボス」、マイルストーンは「中ボス」と呼ばれる
目標を達成する一連の行為は「クエスト」と呼ばれる
当AIサービスは、大勢の救世主とジュイスが協力して大ボスたちを倒し、世界を救うゲームである。
その名は「世界ゲーム」である。
ラスボス(敵か味方かは不明)は、シンギュラリティ後の世界に出現する。
彼はまだ目覚めていない。
◆最後に
今、世界の名だたるIT企業がしのぎを削り、数十兆円規模でAIを開発しています。
このままでは、資本主義の悪い部分を体現したAIが登場するでしょう。
しかし、この流れに我々が抗うことは非常に難しくなっています。
「世界ゲーム」は、そんな世界に対するカウンターとして考案しました。
「世界ゲーム」は最適解ではないかもしれません。
もっと冴えたやり方、そのアイディアを引き出す呼び水になれば幸いです。
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勝手に拝借、勝手にエンディングテーマ
【アカペラ】隠し変数 feat. 初音ミク & IA【オリジナル】
今回のアイディアに知見を与えた情報
「週刊スモールトーク」OpenAI o1の衝撃~1位:ASI、2位:人間、3位:猿~
https://benedict.co.jp/smalltalk/talk-574/