『映画ドラえもん のび太の宝島』でわかる、悪巧みは3人からはじめよう(広げ人と畳み人と、もうひとり。)
『映画ドラえもん のび太の宝島』を見に行ったら完全に悪巧みは3人からはじめよう理論(W3理論)通りの展開になっていたのでW3理論の流れをドラえもん映画に合わせてご紹介します。
完全にネタバレしますので、これからご覧になる方はお読みにならないほうがいいです。
よろしいですかね。あとで怒らないでくださいね。完全にネタバレしますよ。
なお、映画館で1回見ただけなので、あらすじに若干の記憶違いがあるかもしれませんが説明したいのはドラえもんではなく悪巧みは3人からはじめようということなのでご容赦ください。
W3理論とは「悪巧みをするなら3人からはじめよう」の略で新しいことをはじめるときには3人が最適という僕の独自理論です。
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W3理論における3人は、風呂敷を広げる人(広げ人)、それを畳む人(畳み人)、ついていく人です。
<ネタバレ開始>
冒頭、帆船に乗って宝島を目指してさっそうと海賊と戦うのび太をみることができます。映画の予告編でもよく流れたかっこいいシーンです。
これが、のび太にとっての実現したい理想形であり、夢です。
映画の中では、まさに出来杉君が話す小説宝島のストーリー聞きながら見た夢オチだったのですが、その後のび太は宝島に行く!と勢いでみんなに宣言します。
その時に、いつもの公園にいるメンバーはのび太、しずかちゃん、スネ夫、ジャイアンと出来杉君です。
ここで、ジャイアンとスネ夫はのび太の宝島に行く夢を大爆笑してバカにします。しずかちゃんもそこまでバカにされている状態では流石に賛同できず話についてきてくれません。
トドメに出てくるのが映画版では登場が珍しい出来杉君です。
これは物語だから今の世の中には宝島なんか存在しないと、のび太は出来杉君に冷静な意見でたしなめてられてしまいます。
W3理論的に言うと、のび太はアピールするメンバーを間違えました。
宝島に行く!といった時に価値観が一緒で共感できる3人で話をしなければいけなかったのです。
ジャイアンはのび太とは価値観が違う人です。出来杉君は常識人でのび太の話に乗ってこない人です。 こういった価値観が違う人や冷静な人たちの前で思いついたばかりの初期の夢を語ってはいけません。映画の通りバカにされ、常識的な指摘をされアイデアの芽があっという間に潰されてしまいます。
では、しずかちゃんはどうでしょう。
彼女はついていく人なので、場の空気が完全に劣勢になってしまった状態ではいくら巻き込もうとしてもついてきてくれません。そうなっては手遅れなのです。
まずは、どんなアイデアを言ってもいいね!おもしろいね!と言ってくれる少人数の人の中で披露しなければいけません。
おすすめは3人です。
あなたが広げたいなら、畳む人と、ついてきてくれる人と話をしましょう。ドラえもんとしずかちゃんです。
実際には役割が固定していることではなく、なんとなく3人集まって広げたり、たたんだり、いいね!と言ったり役割がくるくる変わっていきながらアイデアが育っていきます。
いずれにせよ価値観が一緒であることが重要です。価値観が同じということは心の中のコンパスが指す方向が同じということです。
ジャイアンのように中身を吟味することなくバカにしたり、中身を吟味した結果冷静な指摘をする出来杉君みたいなタイプを最初からまぜるのはまだ早いです。何を言っても価値観があっていいねと言ってくれそうな人、価値観があって実行方法を一緒に考えてくれる畳み人にまずは話をしましょう。
さて、話が進んでのび太はドラえもんに宝島に行く方法を相談します。
ドラえもんの4次元ポケットから出てきた宝島生成地図で実際に島が海のど真ん中に突如として発生します。
この時点ではここが本当に宝島なのかどうかはわかりません。ただの地中から湧き出てきた火山として描写されています。
でも、のび太は宝島だと信じているのでここに行こうと宣言します。
そこで、のび太はしずかちゃんを呼びに行くんです。
別にしずかちゃんはいなくていいですよね。
のび太が行きたい。ドラえもんが手伝ってくれる。必須の役割では無いはずなんです。
でも、のび太はしずかちゃんを呼びにどこでもドアを使ってしずかちゃんの家に迎えに行きます。そしてこの状態になるとさきほど乗らなかったしずかちゃんは当たり前のようについてきます。
細かく誘う描写はありません。どこでもドアを開けて、お風呂につながって、その次は出発準備ができたしずかちゃんとほっぺたに手型の付いているのび太がいるだけです。
W3理論では、ついてきてくれる3人めが重要だと思っています。
新しいアイデアを議論している時に二人だけで議論しているとそれが面白いのかどうかがわからなくなってきます。そんな時に、大丈夫、おもしろい!芽として育てていいんだよと賛同し、ついてきてくれる人がいることで前にすすむことができます。
価値観がいっしょだけれども普通の目を持って参加してくれる人がいるんです。
ときには広げ人と畳み人は対立する場合もあります。そんなときに2人だと膠着状態になります。両方に対して中立な人がいることで、多数決が成立し話をすすめることができます。
お笑いで言うところのボケとツッコミに対して、笑う人が必要なんです。
さて、3人で帆船(もちろんドラえもんの道具なので自動運転)で島に向かって進んでいると、ここでジャイアンとスネ夫が登場します。
しかも彼らはイカダで手漕ぎで島に向かっています。ある意味、のび太やドラえもんよりもアグレッシブでパワーがあります。
島が現実にできたことで、ジャイアンもスネ夫も宝島かどうかはわからないものの、島に向かって宝探しをするというアイデアに乗ってきています。このときには既に彼らはのび太をバカにしたことなど忘れています。
それどころか、のび太の帆船を乗っ取ろうとします。
実際には、急にアイデアを乗っ取ろうとする人を初期のメンバーに入れることはおすすめしませんが、ともかく初期の宝島に行くという芽が具体的に島が見えてくることによって、当初価値観が異なり反対した人もアイデアに乗っかってくるのです。
そうなってくると、プロジェクトチームができあがります。当初の小さい芽だったものがだんだん具体的になり方向性がみえ、一緒に楽しみ、一緒に苦労する仲間になるのです。
大事なのは価値観があう人とコアを作ることです。島を作ることです。
そうするとそれに賛同する人が増えてきます。逆にコアができていないうちにたくさんの人に晒してはいけません。潰れてしまいます。
悪巧みをするのに最適なのは3人なのです。
おまけ
風呂敷畳み人を説明しやすいエピソードもありましたのでご紹介します。
島が発生してそこに向かおうとする時に、のび太はドラえもんに道具をお願いします。
ここでどうやって行くかの議論が広げ人と畳み人のやりとりそのままでした。
のび太が風呂敷広げるタイプで、ドラえもんが畳むタイプです。
島に行けばいいので、ドラえもんは「どこでもドア」「タケコプター」など定番の道具を提示します。それに対しての、のび太の返事がひどい。
「気分じゃない」
自分が言い出して、人に助けてもらって、しかも楽な方法であっても気分じゃないという一言で却下するところがいかにも風呂敷を広げるタイプにありがちですよね。
それに対してドラえもんが出してくるのが、プラモデルの箱に入ったプラモデルキットになった帆船です。
それを見てテンションの上がるのび太。
プラモデル形式なので切り離して組み立てる必要があります。
当たり前のように何の準備もなく箱を開けて作りはじめるのび太に対して、「ニッパーあるよ」とすっと出してくるあたりもドラえもんが畳み人らしい。
出来上がった船はドラえもんが出してくるとビッグライトでドラえもんが人が乗れるようにしてくれます。
のび太が作りやすいように、小型のプラモデル形式でわたし、乗れる用にビッグライトで大きくするのです。なんという段取りの良さ、なんという畳み人スキル。
映画版ドラえもんでは毎回のび太が突飛もないアイデアを出し、ドラえもんが実現方法を提示します。
ドラえもんは究極の畳み人ではないかと思っています。
W3理論をぜひご活用ください。