【公務員】会計検査・税務調査の質問の仕方 〜現職・志望者向け〜
筆者は、元会計検査院調査官&国税職員であり、大手監査法人で会計監査も行っていました。15年以上のキャリアの全てが調査等に関するものです。
会計検査も税務調査も得意でしたし、そこそこの成績を挙げていました。かなり控え目に言って。
さて、今回は、調査・検査における質問の仕方を記事にしました。現職の方でも参考になるでしょうし、公務員受験生にとっても採用されたら是非意識していただきたいと思います。
なお、会計監査に関しては、相手からお金をもらう立場であるため、また違ったアプローチが必要です。本稿は、あくまで公務員の立場で調査等を行う場合の話です。
それでは本題です。
単刀直入に質問しよう!
これに尽きます。
英語で会計検査はAuditとといいます。監査も同じくAuditです。参考として下記を引用します。
監査の英語での用語はAuditないしAuditingであり,これはたとえばオーディオと同じ語源であって,すなわち「聴くこと」,「聴取すること」から展開された用語である。Auditが我が国で監査と翻訳された 理由は諸説あるようであるが,一方でこの用語は検査とも訳されている。いうまでもなく,会計検査院の「検査」には,英文ではAuditをあててあり,英文で見る限り,それが日本語で会計検査であっても会計監査であっても,その差はみられないことになる。
https://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j23d07.pdf
すなわち、相手に喋らせて、それを評価していく作業が会計検査です。もちろん書類も検証しますが、書類に表れていることを相手にストーリー立てて言葉で表現してもらうので、やはり相手に喋らせることが重要です。
税務調査はExaminationをあてることが多いと思いますが、Tax Auditともいいます。まあ役所の検査・調査という意味ではあまり変わらないです。
さて、質問の良い例と悪い例を比べてみましょう。
良い例①
○○はしましたか?
なぜ○○をしていないのですか?
より具体的に
擁壁の安定計算をしましたか?
なぜ擁壁の安定計算をしていないのですか?
悪い例①
○○が必要だと思うのですが、○○をしないでよい状況等もあると思うので、もしそのような状況等がありましたら教えてください。
より具体的に
擁壁の安定計算が必要だと思うのですが、擁壁の安定計算をしないでよい状況等もあると思うので、もしそのような状況等がありましたら教えてください。
自信がないと回りくどい質問をしてしまいがちです。その背後には、無知を悟られて馬鹿にされたくないという心理があるのでは思っていますが、これでは求めている答えが返って来ないかもしれません。
ハッキリ言います。
大いに馬鹿にされましょう!
取り繕ったところで役人は所詮素人です。聞くべきことはきちんと聞きましょう。
最後に指摘できればこちらの勝ちです!
悪い例②
△△の場合、○○をしなくてもよいということがあるのは理解しています。○○をしていないのは、△△の場合だからでしょうか。△△に該当するかどうか確認させてください。
より具体的に
標準図どおりに設計する場合、擁壁の安定計算をしなくてもよいということがあるのは理解しています。擁壁の安定計算をしていないのは、標準図どおりに設計する場合だからでしょうか。標準図どおりに設計する場合に該当するかどうか確認させてください。
自説を披露しながら質問するパターンですね。会計監査では、クライアントに馬鹿にされると信頼関係を損なってしまうので、このような質問の仕方をすることが多いです。
ですが、相手に逃げ道を作ってあげて、そのストーリーに誘導していくような質問は、役人の検査・調査では不適切です。フラットに、ありのままの事実を確認すべきだからです。
さて
こうやって並べてみると本当に悪い例みたいな質問してるの?って疑問が出るかもしれませんね。悪口になってしまうので明言は避けます…。
おわりに
特に若手の現職の方、調査等を行う公務員を志望されている方は参考にしてください。ご活躍を祈念しております!
参考記事
会計検査院の検査イメージ
税務調査関係
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