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MESON流 リーダーシップの教科書

空間コンピューティング技術を用いたサービス開発を行うMESONでは、Netflix的な能力密度の高い組織を志向しており、すべてのメンバーが高いリーダーシップ能力を持っている状態を目指しています。

企業形態やビジネスモデル、カルチャーによってあるべきリーダーシップは変わりますが、このnoteでは、どの組織でも共通して大切なリーダーシップのOS的な考え方や、テクノロジーを使った未来志向のサービスづくりをするMESONという企業において大事にしたいリーダーシップのあり方について書きました。

記事末尾には自分自身がリーダーシップ能力を開発する上で特に勉強になった書籍のブックガイドもつけておきました。

気づいたら7000文字以上の超大作となっており、みなさんがより良いリーダーになるためのヒントが1つはあるかと思うので、ぜひご一読頂ければ嬉しいです。


人は性善なれども弱し。性弱説で人と接する。

性悪説は人を信じなすぎていて論外だが、性善説で完全に相手に期待しすぎると、いざ期待と結果にギャップが生まれた際にお互いアンハッピーな状況になりやすい。

「人を信じ切る」と「人を信じきらない」という相反する2つの状態が矛盾なく自分の中に存在している状態がリーダーのあるべき心のありかた。

バランスの取れた相手の捉え方として、「人は生まれながらに美しい善なる心を持っているが、特定の環境によっては弱みが出て易きに流れてしまう」という"性弱説"で人と接する。

なので、人の心をコントロールしようとするのではなく、その人を取り巻く環境や構造をプラスの方向にデザインすることを考える。


自分の雰囲気でコントロールできるメンバーの士気は常に最大化する

リーダーがどういう雰囲気で働くかはチームメンバーの士気に大いに影響する。

したがって、以下の4つを強く意識しながら仕事をする。

1. 常に機嫌よく仕事をする
2. メンバーを頻度高く褒める
3. 小さな成功でもめちゃ祝う
4. どんなに小さいことでも何かしてもらったら感謝する


徹底的に悲観的になり、その結果としての楽観主義を獲得する

楽観主義には2パターンある。

1つ目のパターンは、生来の楽観主義で、あまりよく考えなくても全てがポジティブに映る人。言い換えると、能天気。

もう1つのパターンは、徹底的に悩み、心配し切り、最悪のケースを想定し切ったので、もうここまで考えきったらあとは運に任せるのみだと翻って楽観主義に到達する人。

プライベートにおいては前者でもいいが、多くのメンバーの時間や人生を預かるリーダーは後者の楽観主義者でありたい。


しつこいくらいにWHYを語ろう

有名なサイモン・シネックのゴールデンサークル理論にあるように、リーダーはとにかくWHY、なぜやるかから語ろう。

WHYへの共感がないと、どんなに合理的な指示でも本当の意味では人は動かないし、創意工夫も生まれない。

そして、一度WHYを伝えるだけではダメで、メンバーは日々の仕事でHOWに集中する中でWHYへの意識が薄れていってしまう。

なので、リーダーはとにかく頻度高く、しつこいくらいWHYを語るべき。


周りはあなたが内心どう思っているかはわからない。自分の身体が出しているシグナルと内面を一致させよう。

あなたがたとえどんなに熱心に相手の話を聞いているとしても、あなたが下を向いていたり、頬杖をついていたら、相手はちゃんと聞いてもらえていないという風に感じ取ってしまう。

メンバーはリーダーがどう思っているか常に不安に思っている。

本来の意図と違うネガティブなシグナルを出してしまっていないか、常に自分を3人称視点のカメラを通して見つめるようにしよう。


成功したら全部メンバーの手柄。失敗したら全部自分の責任。

成功したらメンバーの手柄としてみんなに伝える。なにか失敗したら自分が悪かったと素直に謝ったり改善すべき点をみんなに伝える。

短期では注目を集められなかったり、恥ずかしい思いをするが、長期ではそうした行いができるリーダーに優秀なメンバーは付いていく。

チームに成功を語るときに、メンバーの名前をどれだけ出しながら話せているかを考えよう。

何かが失敗したときにその説明をメンバーにさせるのではなく自分がしているか考えよう。


恐怖心や臆病さを自分より下のメンバーには見せてはならない

自分がマネジメントしているメンバーには基本的には恐怖や臆病さを見せない方が良い。

なぜなら、その姿を見てメンバーの方が当のリーダーより強く恐れや心配を感じてしまうから。

ただし、感情と切り離して課題として扱い、これを解決する策を広く集めたい、としてメンバーに相談することはむしろ積極的にするべき。

要はなにか困難に対して後ろ向きな姿勢はメンバーに見せてはいけない。


自分はエネルギーの塊だというイメージを持って活動する

エネルギーの枯れたリーダーについて行きたいと思う人はいない。

それが優秀なメンバーであればなおさらだ。

逆にエネルギーの塊のようなリーダーの元には、その人の能力の器を超えた優秀なメンバーが集まってくれる。

したがって、リーダーは高いエネルギーを絶えず持って活動し続けなければならない。

そして、そのための最もシンプルな方法は、自分自身をエネルギーの塊だというイメージを持って活動することだ。

これは、ある種自己暗示をかけることでもある。

しかし、エネルギーや元気は筋肉のようなもので、多少負荷をかけて使っていると、だんだんと強化されていくものなので、自己暗示をかけてしばらく生活していると特段意識しなくてもメンバーをモチベートできるだけのエネルギーを日々纏えるようになってくる。

※ もちろんこれは辛い環境でも逃げずに頑張れという話ではなく、前提としてブラックな労働環境下や、メンバー同士の信頼関係が崩壊している場合はとっとと環境を変えた方が良い。


気が引けるなと思った時こそ、一歩踏み込む。

気が重いなーとか、ここぐいぐい行くの気が引けるなーと思ったら逆にチャンスだと強く思う。
99%の人がそこで「やっぱいいか」と思って行動に移さない。
そこで行動に移す事ができれば、他と強烈に差別化できる。


自分をマネジメントできてない人が、人をマネジメントできることはない

自分が自分にした約束、例えば早起きするとか読書を継続的にするとか、を守って習慣にできているかを振り返ろう。

自分との約束を守れない人が、相手が約束を破ったときに怒るのは筋違い。

同時に、自分と約束しすぎないのも大事。

やる気ある人はあれもこれもと欲張って自分と約束してしまうが、いざそれが達成できないと自己肯定感が下がってしまい、リーダーシップも低下してしまうので、無理のない約束を自分と結ぼう。

そして、自分とした約束は必ず守ろう。


意思決定のスピードはリーダーシップにダイレクトにつながる。そのために自分の軸を言語化しておく。

意思決定の速さは、判断や価値観の軸が明確に定まっているかに依存する。

自分の中で抽象度高いレイヤーでは判断軸を決めておく。

そして何か意思決定をすべきタイミングでは、その判断軸に照らし合わせてシステマティックに、かつそれによって瞬時に意思決定する。

ちなみに自分の場合の意思決定の軸は以下。

基本はそれらの判断基準から順に用いていって、どれかの判断軸では結論出せるシステムを自分の中に持っておく。

- より険しくても、より高い成果を得られる方を選ぶ
- 同じ結果を得られるのであれば、より楽ができる方法を探す
- 常にユーザーにとってより良い方を選ぶ
- 迷ったら今の苦労と無縁な10年後の自分だったらどっちを選ぶかを考える
- 他人がどう思うかではなく、自分がどれをやりたいかを自問する
- 議論しても答えが出なさそうであれば、すぐに両方ミニマムに試して検証する
- 自分で考えて答えが出なさそうであれば、すぐ切り替えて誰に聞いたら前に進めるかを考える
- 9割の意思決定は後戻りできる意思決定なので、60%くらいの確信度でも開き直って意思決定する
- 綺麗事のみで何かを決めない。本音や泥臭い部分も込みで決める。
- 常に一番早い奴に合わせる。遅い奴に気を使ってスピードを緩めない
- 10分以内に終わることは後回しにせずすぐやる
- クレイジーなエピソードが詰めそうであればちょっと大変でも後で得するからやる


発想や意思決定は直感・右脳で考え、その決定のダブルチェックとコミュニケーションで論理・左脳を使う

発想や意思決定をいきなり論理や左脳でやろうとすると、理解できるが面白くない結論になりがち。

基本的に何かを考えたり決めるときは自分の直感・右脳をフル活用する。

そして、その直感・右脳で決めた内容が間違っていないかのチェックや、それを自分以外の人が納得する形で伝えるために論理・左脳を使う。

左脳偏重のリーダーになってしまっていないかを常に自分に問いかける。


恥をかいた回数 ≒ 挑戦した回数であり、成長の先行指標

リーダーになるとメンバーからの尊敬を傷つけないように失敗を恐れるようになってしまう。

しかし、失敗を恐れて挑戦をやめた人に成長はない。

最後に恥をかいたのはいつだろうか?

もしそれがずいぶん昔のことなら、挑戦ができていない証拠かもしれない。

恥をかいたら、その回数分だけ自分は挑戦している、やったねと自分を称賛してあげよう。

そして自分を成長させるために、日々もっと恥をかくように自分を追い込もう。

成長を最大化するために、挑戦の数を最大化する。そして挑戦の数を最大化するために、恥をかく回数を最大化する。

※ これはメンバーの理解も重要なので、自分はこういう考えで恥をかくよと伝えよう


メンバーに任せることと細部までこだわることを両立し続ける

リーダーはメンバーに積極的に権限を委譲し、仕事のスケールを広げていくことが大事。

しかし一方で任せすぎて細部へのこだわりの意識が薄くなっていくと次第に狂ったくらい良いものは生めない組織になってしまう。

ではこれをどうやって両立していくかというと、細部まで見るラインを意識的に引き上げていく。

最初は打ち合わせ資料のレベルで細部にこだわってメンバーにフィードバックが必要であれば、そこは細かく確認とフィードバックを執拗にし続ける。そうすると次第にそのメンバーは打ち合わせ資料のレベルでは確認が必要なくなってくるので、そのメンバーのさらに下のメンバーに打ち合わせ資料を作成してもらい、そのメンバーにはその資料の細部の確認と、さらに上のレイヤーの例えば対外的なPRの設計などを行ってもらい、そこを今度は細かく確認する。

そうやって細部へのこだわりは組織として保ちつつ、徐々にリーダーのスケーラビリティを上げていく。


サルのリーダーシップを見習おう

群れのボスは移動するときはもっとも危険な先頭を歩き、食事をするときは真っ先に食べることなく中央で危険を監視する。

日本の大企業のボスは全く逆で、食事をするときは先頭で食べ、移動中は中央の神輿に乗っているからメンバーがついてこない。

サルを見習おう。

苦しいときこそ先陣に立とう。

勝利の美酒はまずチームに与えよう。


優秀な部下にリスペクトされるために教養を磨き続けよう

リーダーとして高みに行けば行くほど、マネジメントするメンバーにはより優秀な人が入ってくる。

そして身も蓋もない話だが、優秀な人は教養がないリーダーを尊敬することはできない。

歴史・宗教・哲学・文化・科学などの分野で、中学高校で習うような内容は最低限身につけておきたい。

優秀な人を惹きつけ続けるために自分の教養レベルは絶えず高めよう。

いまはYouTubeなどで最低限の教養を身に付けるためのハードルはかなり下がっているので、あとは単に自分がやるかどうか。


不毛な多忙に気をつけよう

不毛な多忙、アクティブノンアクションに気をつけよう。

リーダーは油断するとメンバーからの相談や確認に追われて、忙しいが何も重要なことをやってないという状況になる力学が基本的に発生している。

リーダーにしかできない戦略策定などの高レイヤーを考える部分にしっかり時間を割けているかを常に考え、定期的に時間の使い方やメンバーへの仕事の任せ方を整理しよう。


お金で買える時間は即買いまくる

基本的に必要になったときに、時間はお金で買えない。

なので普段からお金を払って時間が短縮できたり、そもそもやらなくて済むような場面があったら積極的にお金で時間を買いまくる。

これは自分の時間においてだけではなく、メンバーの時間に関しても。

外部の企業やサービスに任せても仕事のクオリティが変わらないものについては積極的に外を活用する。

いつも頑張って作業している何かが、特定の商品を買うことで短縮されるならすぐに買う。


自分へのダメ出しが上がってくる"仕組み"を作る

自分に対するネガティブな意見が上がってこなくなったらオワり。

1on1のフォーマットの中でリーダーの続けて欲しいところに加えて、もっと良くできるところを毎回聞くようにするなど、リーダーである自分に対するダメ出しをメンバーが気合い入れなくてもできるようにする"仕組み"をちゃんと作る。


自己を客観視し、常に自己破壊とアップデートができるリーダーにのみ人はついていく

前提として完璧なリーダーはいない。

そして、優秀なメンバーを抱えれば抱えるほど彼らの成長スピードに合わせてリーダーもリーダーとしての成長を求められる。

そして、リーダーが自己成長するための最も効果的な手段は、自分で自分を客観視し、自己破壊とアップデートを行うこと。

したがって、一日、一週間、一月で自分を振り返る機会をしっかり設ける。

そのために日記をつけたり、自分で月次でKPT的な振り返りを行うようにする。


自分はリーダーという立ち位置による権限・情報・学習しやすさによる特権を得ていると認識してメンバーと接する。さらにその特権を可能な限り手放していく。

メンバーが何かをできなかったり、うまく学べなかったり、何かしらの組織課題は、メンバー個人のせいではなく、自分とメンバーが立っている場所によるものかもしれない。

リーダーは決められる権限を持っているから仕事も早いし、情報を広く持っているから意思決定精度が高く、指示を出しているからこそ習熟スピードも早い、などなどリーダーはリーダーであるからこそできているクオリティやスピードがあることを自覚する。

その前提でメンバーをマネジメントし、理不尽な指摘をしてしまわないようにする。

そして、可能な限り立ち位置による特権 = ギャップを手放していく。


メンバーへの称賛や不満を溜め込まない

フィードバックはメンバーにとって最高の栄養。

メンバーが素晴らしい仕事や言動をしていたら、すかさず褒める。

反対にメンバーがよくない行いをしていたら、すぐに指摘する。

フィードバックは鮮度が命。


メンバーがよくない言動をしていたら、フィードバックすると同時に鏡を見る

メンバーはリーダーの悪いところから真似ていく。

メンバーが何かよくない言動をしていたら、そうした言動をしても良いんだと思ってしまうようなリーダーの振る舞いが何かしらあったはず。

メンバーへのフィードバックすると同時に、自己反省と自己アップデートも同時に行う。


1流のリーダーのフィードバックへの向き合い方

メンバーに叱りも褒めもしないリーダーは4流

メンバーに叱るだけのリーダーは3流

メンバーを叱るだけでなく、うまくやっているところを見つけて褒めるリーダーで2流

メンバーを褒めるかつ叱って、なおかつメンバーから自分自身へのフィードバックを吸い上げて自分自身をアップデートして初めて1流のリーダー


リーダーとマネージャーは違う

マネージャーとリーダーは似た概念だが、実は大きく異る。

リーダーは、ビジョンとその頂への登り方としての戦略を描き、それによってメンバーを鼓舞することで達成を目指す。
マネージャーは、メンバーの定量的目標を設定し、それらを測定・管理することで達成を目指す。

リーダーは、メンバーとの信頼関係や動機づけによってチームを動かす。
マネージャーは、組織階層や情報の非対称性や、管理とコントロールによってチームを動かす。

リーダーは、現状の創造的破壊による非連続な成果を生むことが主なミッション。
マネージャーは、既定路線の最適化が主なミッション。



仕事において「まあこれくらいでもいっか」は自分にもメンバーにもそれを許さない

対外的なリリースや、エンドユーザーの目に触れる全ての仕事において「完全にやり切った」といえるクオリティまで妥協せず高める。

逆にリリースやアップデートまでの過程の実験段階ではラフなアウトプットを批評の場に晒すというのを勇気をもって高頻度で高速に行う。


他人と自分を比較しないことと、自分を客観視することを両立させる

他人と自分を比較してしまうと結果自分を苦しめることになる。

なぜなら、他人と比較をしている人は周りがダメな方が心地いい。

一方で、他人との比較ではなく自分の成功基準を持っている人は、周りに自分より優秀な人が集まっていた方が結果的に自分自身の成功確率が上がることを知っている。

その結果、両者の差は大きく開いていく。

なので、他人と比べることはせずに自分の中に成功基準を持とう。

その際に、単に自己中心的になるのではなく、上述のシグナルの話のように自分を客観視することも同時に大切。自分を強く持ちつつも、一方で自分を客観視する。

そうした主観・客観の両刀使いを目指そう。

※ 自分を客観視する際に、"自分が"相手の立場で自分を見たらどう思うかを考えるのがポイント。周りの人が自分をどう思うかを考えてしまうと他人の目線を気にしすぎて自分の考えを押し込めてしまって窮屈になってしまう。


[REFERENCE] 最高のリーダーになるための10冊

上から順に読んでいくのがおすすめ



[CREDIT] 薫陶を受けた人

金山さん

元VASILY CEO、現ZOZOテクノロジーズ 代表取締役CINO
VASILY在籍時にめちゃくちゃお世話になりました。自分の仕事の価値観のベースはほぼ金山さんに叩き込んでもらいました。


キヨさん

Chomp CEO
アメリカでサービスデザインのブートキャンプに入っているとき(人生に一番悩んでいるとき)に、キヨさんには頻繁にメンタリングしてもらい、その対話の中で自分の価値観が大きくアップグレードされました。


さいごに

MESONでは空間コンピューティング時代に欠かせないAR/VRサービスをつくるべく、積極採用中です。

この記事を読んで少しでもMESONに興味を持って下さった方は、会社サイトやTwitterから気軽にご連絡頂けますと幸いです!

以下のCULTURE DECKに、MESONの事業内容やカルチャーなどもまとめているので、そちらもよければ是非見てみて下さい。


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梶谷健人 / 新著「生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方」
AIやXRなどの先端テック、プロダクト戦略などについてのトレンド解説や考察をTwitterで日々発信しています。 👉 https://twitter.com/kajikent