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第十二話🧙‍♂️太陽が昇る前にやっておかないといけないこと

明け方、私の頭に咲いた“ハイビスカス”があきれた顔をしている。また頭の中が沸騰して、疲れてねむっちゃっているよ、困った人だね、この人は、、、と言いたいのであろう。表情を見れば分かる。
といってもこの時私は、まだ深い眠りの中にいたのだが、“彼女”には彼女の仕事があるのだ。私よりも先に身仕度をし、私が目覚める前にはもう出発してしまっている。全身赤のドレスと、「ゴードン」のワッペンを胸に付けて。

私が目覚めたのはその1時間後だった…。
美空川河口付近の川岸で、大きな「大」の字を描いて、仰向けになって寝ていた。濃い藍色の空にはオレンジの光が混ざり始めている。風は冷たい。西の空にはまだ月も見えていた。
「ここはどこだろう?」
私は自分のいる場所がわからなくなっていた。
「本当におぼれて、流されて、ここまで来たんだな…」
私は仕方なく、流れてきた川を逆流して、泳いで帰ることにした。事務所のある橋の下まで。

こうみえても泳ぐのは得意なんです。クロールができます。意外でしょ?(笑)
私は川に飛び込んだ。
しかし、その川は浅く、私は体を強打した。クロールどころではない。自分の足首ほどしか水深がないのだから、ジャバジャバと、水しぶきをたてながら歩いて帰るしか術がなかった。
このときの私はめちゃくちゃ不審だっただろう。


私が事務所に戻った頃にはもうすっかり日が昇り、朝になっていた。通勤ラッシュで橋の上の道路も車で渋滞している。私はのんびり、それを見ていた。
今日の記事はもう書きあがっている。あとはこれをWEBで投稿するのみだ。

え?あなた川でおぼれて、河口付近まで流されて、仰向けになって寝ていて、目が覚めたらバシャバシャと浅い川を歩いて帰ってきて、のんびり通勤風景を眺めていただけで、いつ原稿を書く時間があったの?
、、、と、不思議に思われる方もいるだろう。

それはね、

さっきの “ハイビスカス”が、

私の代わりにすべての記事を

書いてくれていたんですよ



私はその記事を、

ポチっ送信

するだけなんです、、、



私は今日も、上下黒のジャージに、42番の帽子をかぶり、中には白い「ゴードン」のTシャツを着て、選手たちの待つ練習場に行くのです。もちろんジャージは2本ラインで。

日本代表、Akatsuki Japan 新監督、

ジョブ・トーマスとして。。。



「み ち の り」第一部、完 🧙‍♂️