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第三話🧙♂️ 新監督と私の最初の共通点
実は狙っていた。
新監督の名前や経歴は事前に聞いていたので、私は“ご縁”にあやかるつもりで あえてこの“トートバッグ”を選んだ。そこに手帳やら、書類やらを入れて、会見に臨んだ。。。
新米ながら「記者」という仕事に就き、この道に人生をかけると心に誓った私は、これは“運命”だと思った。
新監督の名前は ジョブ・トーマス。。。
昔、「ひらけ!ポンキッキ」というテレビ番組を見て育った私の頭には、すぐにこのキャラクターが浮かんだ。「機関車トーマス」。。。
我々の仕事と、バスケ日本代表 新監督の共通点、、、それは「記者(汽車)」であること。
私は自分自身を「汽車」へと寄せに行った。
しかし私は “ストレート” が投げられない性格でもある。周りの目が気になって仕方ない。自意識過剰なのだ。
「記者」だから「トーマス(汽車)」なんて、、、そのままストレートには表現できる訳がない。恥ずかしい。
私は “変化球” を投げた。
選んだのは「ゴードン」だった。。。
トーマスよりも少し大柄で、プライドが高く、一癖ある、お兄さんキャラクターの「ゴードン」。顔つきも少しイラッとする感じの“ドヤ顔”。少し横柄な態度。
真っ直ぐが投げられない 私の心も “一癖” 曲がっている。人生の判定は“ストライク”ではなく、“ボール”ばかり。
ひねくれ者の私が「ゴードン」のトートバッグを持っている…。 曲がった心を誰かに見透かされやしないか?… 恥ずかしかった。
私はこの事実に心が揺れ、平常心を乱し、誰にも気付かれない程度に赤面した。
(人生の “ストライク” をとるのは難しい…。
私はエースピッチャーにはなれないな…。照)
私はゴードンのトートバッグを足元に置き、阪神タイガースのペンケースと、仕事用の手帳と、さっき買った水(ペットボトル)を机に置いて、会見に臨んだ。
胸の鼓動が止まらない…。
ペンケースには『42』という数字が描かれている…。
阪神の助っ人外国人、パチョレックの背番号だ。。
「ワニを食べる男」の異名を持つ選手。
背番号『1』はつけられなかった、、、
「ハンシンファンハ、イチバンヤァァ!」と、心の中では叫んでいたのに…。
つづく🧙♂️