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「仕事」と「プライベート」ってわける必要ある? - 『今夜もウェブで会おう』 (第11通目)

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将軍川くんへ

やっほ!

コロナ禍で自粛生活が始まって3週間経った。

最初の頃に家の中を思いっきり掃除して、もうやることがなくなったと思って茫然としていたんだけど、さっき、おふろの排水管にゴミが詰まったらしくて、流れなくなったんだ。「やった、ゴールデンウィークにやることができたぞ」と嬉しそうな口調でつぶやいてみたんだけど、もう、完全に不貞腐れてる。

まあ、最初に浮き足立った自分が、弱かったのかもね。コロナ禍で変わったことを取材したり、遠隔でできる仕事を提案したりして、再起動していこうと思う。

さて、ときどきSNSを見ていると、テレワークを始めた人が「プライベートと仕事の区切りがつかなくて大変だ」という書き込みをしているのを見かける。
どうも、家の中では仕事と全く違うことをしているっぽい。おんなじ脳みそなんだから、外にあっても、家にあっても、同じなんじゃないかな?

それで、ふと思ったんだけど、プライベートと仕事を区切ったことって、ある?

例えば、わたしは、部屋のレイアウトを考えるときには、頭の中に図面を思い浮かべて、3D画像みたいに動かして、いろんな角度から、部屋の見え方を検討する。
身長150cmの人からはこう、180cmだとこう、っていうふうに、PCの画面でぐるぐる回したり、視点を指定するようなことを、頭の中でやるんだよね。

これは、20代の前半に、文章を早く書く訓練をしようと思って身につけた、「人工的な」能力で、実際に物事が動いているところを頭のなかで映像にして、たくさんのカメラで見ながら、その様子を文字で「撮影」するみたいな感覚なんだよね。文章も、構造物みたいに見ることがある。

こうやって、仕事をしながら面白がって身につけたスキルを、パチパチ切ったりつけたりしながら日常の中で使うこともあれば、料理をしていて思いついたことを、仕事のどこかに活かせないかと、無理やり考えて「ものを考える遊び」をすることもある。目玉焼きに水を注いで、跳ねている様子を見ながら、「これを2つの単語で表現して、新しい概念を作れ」とか。

だから、「仕事」の脳が回り出すと、生活サイクルから綺麗に切り離して、別のもののように扱うことは、わたしにはむずかしい。

将軍川くんは最近、「プライベート」って言葉を使っていたよね。
プライベートってなんだろう?なんか、うさんくさくない?




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📧将軍川→梶

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梶さんへ

こっちは1日2食お菓子で、誰とも喋らず、引きこもってゲームして遊んでるよ。
まるで数年前のニート時代に戻ったような感じだけど、まさかこんな生活を半強制される時代がくるなんて予想もしなかった。

ウチも昔から仕事と人生が一緒のタイプだから、時間とか頭の使い方という意味では、仕事とプライベートの境界線はひかない方だと思うよ。
特に、自分ひとりでやる、自分だけの企画に関しては、趣味と同じ頭の使い方になる。
だから、土日になると、何していいかわからなくなることがある。
時間を自由に使っていいなら、あのプロジェクトを進めようって思ってしまったりね。

それに、日常から着想を得ることもあるから、生活と仕事を切り離せないってことにはめっちゃ同意する。

けど、エネルギーを使う、使わないのオンオフは、意図的に作り始めたかな。
ヨーロッパに来てから、まわりの人たちは仕事とプライベートをしっかり分けていて、「生活の中での体験」もしっかり楽しんでいて、とっても羨ましいと思ったから。

だから、自分の中で基準を決めた。
オンはピンと張り詰めて、体からエネルギーが尽き果てるまで、制作やリサーチ、分析をする。
それに対して、オフは何の成果物も作らなくていい時間。純粋に心の赴くままにやりたいことをしたり、エネルギーを蓄えたりする時間にする。例えば、旅行をしたり、漫画やゲームを楽しんだり、家族と過ごしたり、そんな中で、ちょっとした風景に感動したり。単純に世界からさまざまないいものを受け取っていく時間と言ってもいいのかもしれない。

人は息を吐くだけじゃなく、吸うことも必要だよね。
うちの場合、オンはエネルギーを外に出しているから、そればかり続けているとエネルギー切れを起こすってことに気がついた。逆に、オフの時間でしっかり息を吸って、全体をバランスよく整えていった方がいいような気がするんだ。一旦、仕事をしっかり切り離すっていうやり方は、ドイツに来て、ヨーロッパの人たちから学んだことかもしれない。

生活にオン、オフをつけるために、ヨーロッパを旅し始めた1年半くらい前から、住むところとは別にスタジオを借りることにした。スタジオに行くことで、モードをオンに切り替える。場所の違いがオンオフのスイッチになる。

話は梶さんの疑問に戻るけど、テレワークを始めたばかりの人たちが、仕事とプライベートが分けられなくて困るっていう気持ちはちょっと分かる。

同じ空間にずっといると、どうやってモードのスイッチを切り替えればいのかわからないのかもしれないね。

とはいえ、色々やりようはあるんだよね。
例えば、仕事するときは寝床や休憩場所は避けて、棚から好きな物を隠す。逆に、休むときはプライベート用の携帯を使って、仕事用の携帯やPC端末は通知をオフにして見えない場所にしまっちゃうとかね。

結局は慣れだと思う。ウチも、オンオフの切り替えのコツが分かってきたのは、ようやく今年になってからだよ。

将軍川



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🍬おまけ

アイコン_かじ

フライパンの中でホットケーキミックスを混ぜてみた。洗い物をへらせるかなと思って。

第11通目  おまけ

焦げた特大パンケーキが完成した。味はまずまず...えっと、まあまあ?料理って色々やることがあって大変だね。

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