【再編|絶望三部作】第1話 ①:Evermore(第2章:ガッタ・メイク・イット(ライフ))
第2章:ガッタ・メイク・イット(ライフ)
◆ 第1話:まつりばやし ①
サトシとは、オンラインの掲示板で知り合った。
当時、ゲイの出会いと言えば、新宿二丁目のようなゲイタウンへ繰り出すか、同性愛者向け雑誌の文通コーナーを経由してピンとくる ” 相手 ” とコンタクトを取る、というやり方が主流だった。
インターネットというものが市民権を得る遥かに昔から ” オンラインで相手を見つける ” というスタイルを嗜んでいた二人は、ちょっと先を行く、未来人っぽい感覚を身につけていた、と言えるのかもしれない。
限られた人間同士が閉鎖された特殊な空間でコミュニケーションに興じる…。
黎明期のサイバースペースなんて、そんな変わり者たちの ” サロン ” だった。
俺がそこにいて、サトシもそこにいたっていうことは、きっと、そういうことなのだ。
二人は知り合ってすぐに ” 意気投合 ” した。
互いの素性が知れていないにもかかわらず、最初からやけに ” 会話 ” が弾んだ。
相性が良い、というのはこういうことを言うのだろうか。
寝る前にちょっとだけチャットしよう…、が、気付くとすっかり夜が明けていた。
そんなことも二人の間ではザラだった。
そんな関係がしばらく続いた数ヶ月後、突然彼から、
「今度の金曜の夜、会えませんか?」
というメッセージが送られてきた。
俺も「会ってみたい」という思いが募りに募っていたこともあって、素直にその気持ちをサトシにメールで伝えた。
*****
もし、万が一、間違って(!?)梶のサポートをしてしまった場合、いただいたサポートは、なにかウチの「ネコチャン」のために使わせていただきたいと思います。 いつもよりも美味しい「おやつ」を買ってあげる、とか…^^にゃおにゃお!