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【再編|絶望三部作】第1話:Evermore(第1章:猫のいる風景)

こちらの物語は『メニー・クラシック・モーメンツ ~ Many Classic Moments ~』の ” スピンオフ作品 ” になります(期間限定公開)。

本作品は「2024年11月5日 12:00」をもちまして限定公開終了しました。
読んでいただいた読者の皆様には、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました^^

梶モード

第1章:猫のいる風景

◆ 第1話:急患「ハル」


 その日は、朝から「ハル」の様子が、どうもおかしかった。
 
 普段なら、彼のお気に入りの黄金色こがねいろしたお皿にキャットフードを入れると一目散に駆け寄り、底砂に残った有機物を吸い込むコリドラスの如く、もふもふと無邪気に食べ始めるのだが、この日、彼と黄色い円盤状の食器が互いに顔を合わせることはなかった。

「どうした、ハル?」

 そっと、彼に声をかけてみた。顔色がとてもよくない。
 とにかく無性に…、苦しそうで、痛そうにしていた。低い声で小さく鳴いて、しかめっ面までしている。
 どこか「ほっといてくれ」という感じでもあった。

 しばらくそんな彼の様子をみていると、突然、嘔吐おうとし始めた。その状況に俺はぞっとした。戦慄を覚えた。
 吐瀉物としゃぶつはやけに水っぽく、ほとんど胃の中には何も残っていないようだった。
 それにもかかわらず、口から反射的にモノを吐き出そうとしている。そんな彼の辛そうな姿を見るのは、これが初めてのことだった。

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