【再編|絶望三部作】第1話:Evermore(第1章:猫のいる風景)
第1章:猫のいる風景
◆ 第1話:急患「ハル」
その日は、朝から「ハル」の様子が、どうもおかしかった。
普段なら、彼のお気に入りの黄金色したお皿にキャットフードを入れると一目散に駆け寄り、底砂に残った有機物を吸い込むコリドラスの如く、もふもふと無邪気に食べ始めるのだが、この日、彼と黄色い円盤状の食器が互いに顔を合わせることはなかった。
「どうした、ハル?」
そっと、彼に声をかけてみた。顔色がとてもよくない。
とにかく無性に…、苦しそうで、痛そうにしていた。低い声で小さく鳴いて、しかめっ面までしている。
どこか「ほっといてくれ」という感じでもあった。
しばらくそんな彼の様子をみていると、突然、嘔吐し始めた。その状況に俺はぞっとした。戦慄を覚えた。
吐瀉物はやけに水っぽく、ほとんど胃の中には何も残っていないようだった。
それにもかかわらず、口から反射的にモノを吐き出そうとしている。そんな彼の辛そうな姿を見るのは、これが初めてのことだった。
*****
もし、万が一、間違って(!?)梶のサポートをしてしまった場合、いただいたサポートは、なにかウチの「ネコチャン」のために使わせていただきたいと思います。 いつもよりも美味しい「おやつ」を買ってあげる、とか…^^にゃおにゃお!