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自分の不便を解消した度付きスイミングゴーグル

度付きのスイミングゴーグルは自社では開発したものではなかったのですが、30歳の頃に企画開発の一環で商品化しメガネ店ルートで展開したのが、始まりになりました。

自分は目が悪く、プールで見えにくい不便を感じていて、日ごろから何とかしないとと思っていて、度付きのスイミングゴーグルの事が頭にありました。

プールでは見えないと安全性が問題になります。
足元が見にくく・段差が分からない・滑る・ターンの時のタイミングが分かりにくい・プールの底が見にくいのでラインがハッキリとしない・大時計の文字盤が見えない・友人が判別できない。等々、安全面や不都合な事が沢山起きてきます。


度付きスイミングゴーグル

・自分が考えていた度付きスイミングゴーグルが他社から新発売になる  
   チャンスだと思ってOEM生産の交渉をする

そんな時に小さな新聞記事で度付きのスイミングゴーグルが新製品として発売されたと報じていました。
私は上司に、これは是非OEMで当社のラインナップに取り入れたいと提案しました。
会社としても、色んなジャンルでメガネを掛けている人の不便をなくすのが、大きなコンセプトととらえていたので、直ぐに同意を得ました。

早速に発売元となったところへ電話をしてアポイントを取りました。
訪問したのは、東京の当時輪島総業社長だった山中 毅さんの事務所でした。
話を聞くと、山中 毅さん、眼科医師、ダイビングの輸入代理店、大野プラスチックさんと4者が組んで、開発、商品化をしたとの事。
私は、OEMでの生産依頼を行い、その仕様の打ち合わせを行い、商品化を進めました。

余談ですが、山中 毅さんはあこがれのスイマーでした。
父親が和歌山出身で、紀ノ川の国鉄の鉄橋から飛び込んで遊んだ程、水泳が得意でした。
水泳の大会があると、連れられて見に行ったものでした。
当時は大阪の扇町プールが大会の場所でした。
1956年のメルボルンオリンピックでの1500m自由形、マレーローズとの一騎打ちは真空管ラジオで手に汗を握り聞いたものでした。山中選手は銀メダル獲得。 私は9歳でした。

・度付きスイミングゴーグルの発売と同時に度付きダイビングマスクも併せてラインナップして度付きシリーズで新たなマーケットを創造する。

この時に同時にダイビングマスクの度付き品も商品化して新発売しています。
販売ルートは眼鏡店でしたが、度付き商品なので、視力検査出来るお店の強みがあり、また、新たなジャンルの異なる新製品と言うことで、一気に日本全国のお店に広がりました。

この状況を本社の社長が知って、この商品は自社生産でなければならないと、既存のスイミングゴーグルの金型を改造して度付きのラインアップを急遽作ったエピソードがありました。
この度付きスイミングゴーグルの新製品はその後、会社の大きな売り上げ要素となっていきます。
プールでメガネを掛けないといけない人が30%以上は存在するわけで、大きなマーケットが登場し、開拓できたわけです。


・ 不便が事の始まり、不便を解決するには

小さな新聞記事がこの商品開発の始まりでしたが、常に、自分の不便、自分の欲しいモノを把握していないと、見逃していたかも知れません。
企画マンは世の中の情報には常にウオッチしている必要があります。

オズボーンのチェックリストからは、「他からアイディアを借りられないか?」 になりますが、この場合、自分たちが持っていたコンセプトに合ったものが登場したので、それをOEMで商品そのものを作ってもらった事になります。

眼鏡店ルートを既に持っていたので、素早く商品を市場に導入できた訳です
同時に同じカテゴリーの商品を本社では自社開発し、自社ブランドとして翌年に市場に投入しました。
競合他社に一歩先んじて商品化が出来たわけです。
この度付きスイミングゴーグルは瞬く間に世界に広がり、大きなマーケットを形成しました。

マルチミラー(フラッシュミラー)のスイミングゴーグルの誕生秘話は別記事で公開します。

問題意識をもって生活していると、その問題を解決してくれる情報が不思議と目に飛び込んでくるのです。
どうして探している情報が次から次へと入ってくるのか?不思議に思うことがあります。
展示会を見に回っても、何を見るか、何を探しているか、何を問題意識として持っているか? それが無いと、展示会に行っても、何もなかったとなります。

今では、ググれば、情報は沢山入手できますが、何をググるかという問題意識がないと、探すことはできません。
また情報は一期一会の一面を持っています。
必要な情報は出会った瞬間に、探している情報と分からないと、その情報は通り過ぎて行きます。
もちろん、後からでもその情報を探すことは出来ます。
情報もタイミングが大事で、古い情報は役に立たなくなることが多いのですね。

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