知事選に際し、外野から─ メディアの在り方が問われる知事選でした。 「義」についてSNSを基準とし判断した若年層。 サインまで求める様子を見て、「地下鉄サリン事件」後の中核にいる人物があたかもスター扱いされ、ファンクラブまで創設された件を思い出す。 殺人鬼・酒鬼薔薇聖斗にしても然り、熱烈な崇拝者が存在した。 確かにアンチの心理とファンの心理は表裏一体に似通っている。 メディアは法規制の許、中立的なスタンスからエビデンスを示しながら明確な事実を淡々と報じるが、規制の無いSN
待ち侘びて 一年(ひととせ) 芳(か)を 待ち侘びて やっと 「秋」を放ち 束の間に散る それでも いい いや それがいい 焦がれの丈(たけ)は その分 笑みに代わる そうだね 募れば 募るほど 愛しみは その量(かさ)を 増す 集めた この 黄金(こがね)の 財(たから)を ポプリにしよう 今 分け合える ふたり切り 心の内(なか)に 仕舞い込めば きっと 次の秋 その明くる 秋も ずっと ずっと 僕と 君の 恋の香が 潰(つい)えはしない─
─「記念日」ではない。 「終戦の日」に先駆け─ 「はだしのゲン」─凄惨な戦争を原子爆弾の投下を基点に描いた名作。 まさに語り部に値する作品。その作品が排除されつつある。こともあろうに、教育者サイドからである。 描写があまりにも写実的過ぎ、現代の教育にそぐわぬ云々─ 現代─? 重ねられた例えば理不尽であまりにも凄惨な史実の上に成り立つ平和な現代? それとも戦争等、垣間見たことさえない平和呆けしたまだ若き君らの曰(のたま)う、銭儲けの巧い人種が肩で風を切る「今」を指しているのか
昭和20年8月9日 広島に続き 長崎の悲劇─ 戦争はどんな言い分も正義ではありません。 弱者が例えば武力をかざした時、その時点からその言い分は正義ではなくなる。 今も現前に起きている紛争─ 呼び掛ける「支援」は軍事力強化のためだ。 詰まりは「殺戮」のために仰ぐ強力─ 違うよね? きっと違うと思う。 万別の考えはある。 けれど、きっと「正」はひとつ切り。 生きること、生かされること。 この大地は海は空は、誰のものでもなく、身体や心と同じく「天」からの借り物である真理を
─昭和20年─8月6日 広島に原子爆弾が落とされた日。 朝8時15分─ 戦中の恐らくは貧しい朝餉(あさげ)の時間を襲った、未知の破壊の脅威─。 数多(あまた)のあまりにも尊い生命たちを瞬時に奪い去った。 生命を繋ぐ大切な食事。 例え貧しかろうが、少ない食材を工夫しその日、生き抜くための糧。 爆風で飛び散る茶碗、味の薄い汁物、漬け物に少ない麦飯─。 目玉焼きに赤出汁の味噌汁、好物の赤ウィンナに炊き立てのご飯を 目の前にし、画面の向こうでその日を語るご老人の声に思わず箸が
♡あなたの真剣な恋活・婚活のために♡
「ありきたりの風景」 深夜の住宅街は静寂に満ちていた。 木枯らしが時折、朽ちた落葉樹の葉に吹きつける。 乾いた路面にカサカサと擦れる音がもの寂しい冬の訪いを告げていた。 「─美樹ちゃん、ここが俺ん家だ。」男が深い酒の匂いを漂わせて言った。美樹が目を上げた。 立派な真鍮のがっしりした構えの門扉にその向こうには広い庭が広がっている。 家自体も最新の工法で建てられたと思われる三階建てのものだった。 「─ま、大した家じゃねえんだけどよ」言葉とは裏腹に十分自慢を含んだ物言いで男が言
恋の詩の朗読です^ - ^♡
「占う女」(うらなうひと) 一事が万事だらしないのだ。 飲み残しのビールの缶、食べた食器はそのまま、汚れた靴下は脱ぎっ放し、何度言っても洗濯物の下着は裏返したまま籠に入れ、歳のせいもあってか頻繁に口にする疲れが癒える様にと苦心して夕飯を支度すれば外で済ませてきたから、と帰宅してからの事後報告。 挙げれば切りのない不満は心の内で今にも爆発しそうになっている。 結婚当初はそれでもまめまめしい程にあった思い遣りの欠片(かけら)も感じなくなってから久しいが、ここ数年は特に圭の気に染
シナリオ「さくら色の落陽」 ─波音。 ─波間に揺れる月明かり。 ガス灯の明かり。 回っている灯台の明かり。 ─男の嗄しゃがれ声が入る。 声「─綺麗だね。久しぶりだ。港 も─」 婦人。妻、燈子(すみこ)ソフト フォーカス越しの様な映像。以 下、ずっと。 老齢の男。究(きわむ。78歳) ─薄いサングラスを掛けてい る。 ─燈子に眼差しを移し、 究「─君も─いや、むしろ君が美 しい」 燈子。にこやかに微笑む。 燈子「─ありがとう。いつも優し いのね。
「盗む女 」(ぬすむひと)後編 狭いベッドが置いてあるだけの余分な装飾も備品もない部屋は余計無機質に感じた。 麻酔はとうに醒さめている様子だが麻耶は壁際に横を向いた切り身動(みじろ)ぎもしないでいる。 看護師たちの控え室があるのだろう、明るい談笑の声が廊下に反響し間近に聞こえて来た。 一箇所あるだけの開き窓の外に針葉樹が見えていて、時折雀類(からるい)の混群(こんぐん)が賑やかに餌を求め纏(まつわ)りつきながらその小さな頭を覗かせていた。 「─エナガやったっけ、あん小ちゃ
盗む女(ぬすむひと)前編 喧(かまびす)しい蝉時雨が硝子越しから聞こえてくる。 「─ふぅん。都心にも蝉はおるもんやなあえ」つい先刻、周囲を憚(はばか)らず大きく泣き声を上げぽろぽろと涙を流したことなど忘れてしまったように麻耶はそう呟くと徐(おもむろ)に黒目勝ちの円(つふ)らな瞳をこちらに向け、笑みを浮かべた。 「─なあ、なんで?─」その様子が不遜(ふそん)に思え腹立たしく、なんべん同じこと繰り返せば気が済むのやで─とそんな詰りを吐き出そうとしたが危うく呑み込んだ。 「─なあ