ターニングポイント
こんばんは。今、メキシコのグアダラハラは夜11時です。
さっき遅めの夕食に豚肉の味噌キャベツ炒めを作って食べたのだが、めちゃくちゃ美味かった。
やっぱり海外にいてもこういうご飯が一番落ち着く。
つくづく自分は日本人なんだなと感じる瞬間である。
今日は2022年4月2日。
ちょうど10年前の今日、僕は社会人になった。
以前にカナダへ留学して、1年の満期を待たずして帰ってきたという話をした。日本に帰ってきてから、就職をし、10年前の今日が入社初日というわけだ。
今日がちょうど10年前の同じ日ということなので、その日にあったことを書きたいと思う。
なぜなら、その日はただの一日ではなかったからだ。
今でもよく覚えている。
朝6時くらいに目が覚めた。今日は社会人一日目の大事な日。そんな記念すべき日なのに、なぜか全然「よっしゃ!やってやるぞ!」という気にならなかった。確か7時20分くらいの電車に乗らなければいけなかったので、朝ごはんを食べ、身支度を整え、自転車で駅へ向かった。
駅まではだいたい15分くらい。僕の家は割と地形が高いところにあるので、駅まではほとんど下っていくだけだった。
自転車に乗ってすぐのことだった。
家の前に大きい交差点があって、そこを渡ったあと、下り坂になっているのだが、
そこで自動車と接触事故を起こした。
一瞬のできごとで、何が何だか全然覚えていない。気がつくと、道に倒れていて、頭から血を流していた。その日は、初日ということもあって、スーツで会社へ行こうとしていた。そのスーツにも穴が開いたり、擦れたりしているところがあった。
最悪の社会人デビューだった。
意識はあったので、初日で遅刻は絶対にできないと思って、駅まで何とか自力で行った。入社するその会社は8時半に朝礼が始まると聞いていたので、7時45分くらいに電話をした。
誰も出ない.…
焦ったがとにかく遅れてはまずいと思い、駅に着いてすぐ来た電車に乗った。
電車の中でも頭から血が流れていたので、周りの人たちから変な目で見られた。それで、変な汗も出てきた。何とか早くこの状況から抜け出したい一心だったが、否応なしに血と汗が出てくる。
ようやく会社がある最寄り駅に着いたのが、だいたい8時40分くらいだった。
当たり前だが、もう朝礼が始まっていた。入社初日に遅れて会社へ行くことはとても嫌だったが、勇気を振り絞って何とか入った。
「遅れてすいません。今日からこちらでお世話になる者です。すみません、来る途中で事故りました(笑)」
他の社員の人たちの冷ややかな視線を一身に浴びた。
それが僕の社会人になって一番最初の日に起きたことだ。
実は、その会社に入社が決まっても、僕はどこかしらでまだ踏ん切りがついていなかった。大学を卒業して、逃げるようにカナダへ行き、特に何も得られないまま道半ばで帰国してしまった。だから、心のどこかでリベンジがしたいと思っていた。ただ一度日本で社会人をしてみるのもそう悪くないのかもしれない。そう思って腹を括って、入社を決めたはずだった。
でも、心のどこかでまだちゃんと括れていなかったように思う。
そして、そんな気持ちのまま家を出たので、事故にあったのではないだろうか。
もちろん何の因果関係もないが、僕はそう思っている。
そこで、ようやく決心がついた。
「よし!自分で決めたことだ。気が済むまでこの会社で働いてみよう!事故ったけど、運よく命は助かった。もう自分の人生に後ろ向きになるのはやめよう!」
実は、事故ったときに、左手首も少しけがをした。そして、その時の傷がまだ残っている。10年間ずっと傷は残ったままだった。
傷があるおかげで、見るたびにその事故のことをよく思い出す。
あの日の自分に笑われないように生きよう。
そう自分に言い聞かせることにしている。
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