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サウジアラビアの王族に飯おごってもらった話

こんにちは。今回はサウジアラビアの王族に飯おごってもらった時の事を話題にしたいと思います。文末の「なぜ優しいのか?」という項目は絶対に読んで下さい。

石油王って?

まず中東・湾岸諸国において王族=石油王です。中東の多くの国は君主制であり、その国から算出される物はすべて王族=国のものです。1970年代に資源ナショナリズム運動が起こり、1900年代から英米の石油メジャー(シェル石油やエクソンモービル、BP)により支配されてきた石油資源を中東諸国が国有化し始めました。1970年代~1980年代にかけて中東諸国で石油王が爆誕しまくります。

中東の中だと今回登場するサウジアラビアの石油算出量が最も多く世界2位です。その分サウジアラビアの石油王や王族のレベルも違います。サウジアラビアのサルマーン国王の個人総資産は36兆円です。ビルゲイツが10兆円くらいです。サウジアラビア王族全体で考えると半端なさそうです。なんかの記事で見ましたが「ドバイに行けば石油王に会えるかも」。残念ながらUAEの石油産出量は世界7位で大したことないです。しかもUAEはアブダビで石油が算出されます。ドバイ=石油王という概念は間違えてます。

石油王に出会うまで

私はワディムサからアンマンへ戻ってきました。飛行機の時間まで6時間あったので、安くて美味しいケバブを食べにアンマンの町へ繰り出しました。タクシーの運転手に店を伝え、ケバブ屋に到着すると「CLOSE」の文字。残念ながらケバブ屋はしまってました。偶々隣がレストランだったので、つられるように入店すると、入店時に金属探知機を持ったガードマンに入念にチェックされ、店に通されました。丁度イスラム国の偉い人が50㎞先くらいで殺害されたみたいだったので。

入店後周りを見渡すと、ビジネスマンやコリ裕福そうなロシアンファミリーしかいなくて、無精ひげを生やした小汚い短パン小僧が1人で、乗り込む店ではないと察する事ができました。元々500円くらいでケバブを注文する予定でしたが、メニューを見るとスターターとメインで5000円くらい掛かる計算。流石払えないので、退散する事にしました。するとまだ注文していないのに、ボトルウォーター、パン、オリーブ、チーズが出てきました。ハイレベルなお通しに衝撃を受け、ここで引き下がれなくなったのである作戦を立てて、店員に注文しました。

「アイアムベジタリアン。オンリーサラダプリーズ。ソーリー。」

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もうこれしかないのです。店員さんはOKといってくれました。しかし「その心笑ってるね!?」と問い詰めたいくらい恥ずかしかったです。奥に座っているロシア人ファミリーに指をさされて笑われてしまいました。仕方なく、注文した草とパン、チーズを食べ終えて会計をお願いしても自分は1時間待たされて、自分より後に会計を頼んだビジネスマン達が続々と退店していきます。舐められて当然の行動をしているので仕方ないと思いながらボーっとしていると店員がざわつき始めた。。店の奥を見てみると

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あれ?なんかヤバい奴入場してきたんだけど?

店員3人にエスコートされて写真の恰好をした貫禄のあるTHEアラビアン2人が入場して、自分の横に着席しました。店員はこのアラビアンにひたすらワインを紹介していました。必ず3人がかり。ワインを持つ係2人、ワインを説明する店長みたいなトリオでアラビアンに紹介してました。この時は店のオーナーが来てんのかな程度にしか思っていませんでした。ジロジロみてると店員に「てめえは余計な事すんなよ」みたいな目で睨まれてしまいました。そして会計を待ち続けていると店内はすっかりこのアラビアン2人と私の3人だけになりました。するとアラビアンの1人が酔った勢いで絡んできました。私に向かってなんか言ってきます。「التحويلمرحبًا」意味が伝わる訳もないアラビア語を何度もこちらに投げかけてきました。すると一人のアラビアンが英語でこっちにこいと言ってくれました。なすがままそのテーブルに着席するとワインを渡されました。飲めとジェスチャーしてきます。ワインのボトルを持つと突然

アラビアイッキが始まりました

全部アラビア語で手拍子をしながら、コールをふってきます。意味が解らなかったですが、ここで飲まなきゃ「漢」いや「日本」がすたると思い、飲みかけで半分くらい余ってるワインを一気飲みしてやりました。(ちょい残し)「お前ナニモンだ?」と聞かれました。こっちが聞きてえよと思いながら「学生で旅してます」と伝えました。すると1人のアラビアンが「何か食いたいもんない?貴様サラダしか食べてないだろ」と言ってきました。これはご馳走になろうと思いステーキやアイスクリームを注文してもらいました。するともう1人のアラビアンが飯代に現ナマ2万円くらい渡してきました。意地の張り合いですかね?パパ活女子みたいな気分です。ここで職業を尋ねると「サウジアラビアガバメント」と言っていました。法律でサウジアラビアでは酒が飲めないからヨルダンに毎週飲みに来てるそう。酒の為に国境を超えるなんて次元が違うぜキング。そして会計の時がやってきました。頂いたお金で支払うつもりでしたが、全部奢ってもらいました。

退店

退店時にWhatsAppを交換するために名前を尋ねました。カリームとムハンマドです。二人にホテルへ来いと誘われましたので、OKと伝えてホテルへ向かう予定で店をでました。メルセデスGクラスとランクルに乗って待機してました。どうやらカリームとムハンマドの車らしい。私にカッコイイ所を見せようとしたのか、運転手を引きずりおろして「自分で運転するから!」と言ってます。そしてカリーム車のランクでホテルへ向かいました。その後は3人で談笑し、また食事とウイスキーが運ばれてきました。もうお腹も一杯で酒も飲みたくありませんでしたが、胃の中に押込みました。

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サウジアラビア料理らしいです

そろそろ飛行機の時間だと伝えると「もうちょっといろよ!明日帰ればよくね?」と大学生ノリみたいなのが始まりました。「いや渋いからタクって帰るは」と伝えるとまた現ナマを渡してきました。もういらねえと伝えるもこれがアラビア・イスラムのルールなんだよと言ってきました。最後に記念撮影をして、いつか私がサウジアラビアを訪れる約束をしてお別れしました。帰国後ちょいちょい連絡きますが、エッチな画像をめちゃめちゃ送ってきます。


パスポートコントロールにて

フラフラの状態でタクシーにのり、空港へ向かいました。タクシーの中で爆睡しました。空港につき、長い列に並びようやく税関職員にパスポート見せ照合が始まると

猛烈な吐き気が襲ってきました

税関でパスポートを見せている間に、「トイレ行きたいとか」ホントにテロリストだと勘違いされると思いました。テロリストじゃなくても運び屋として別室で取り調べを受けるクソ面倒な状況に追い込まれると思いましたが、人前で嘔吐する勇気がなかった私は、もう口の半分くらいまで出かけている吐しゃ物を必死に抑えながら、出国処理をしてる税関職員に「トイレ行きたい」と伝えました。すると税関職員「NO!」と言ってきました。そりゃそうだ。怪しく思ったのか無線で応援呼び出しました。こりゃえらいことになったと、アラビアイッキを心底恨んでいると、「行っていいけどパスポートは預かっとく。」といわれトイレに駆け込みました。トイレの外に出ると税関職員が2人待機していてパスポートコントロールまでエスコートしてくれました。まわりからは多分「運び屋の逮捕劇」と思われてた。因みにヨルダンで運び屋すると極刑です。するとさっきの税関兄ちゃんが「大丈夫か?」と心配してくれたので、謝るとお咎めなしで解放されました。そのあと水が欲しかったので、出国エリアで水を探しましたが何処にもなかったので、生まれて初めてマクドナルドで水だけを注文しました。

体調は最悪ですがアテネ-ローマでの乗り継ぎを含めるとあと10時間は移動していなければなりませんでしたので、離陸後すぐに寝てしまいました。食事の時間になり起床するとまた吐き気が襲ってきたので、飛行機の中で吐きました。ここで思いましたイスラム教禁酒なのにアイツらクッソ飲むし飲ませるじゃん。イスラム飲みサーっていう超対義語が爆誕しました。そして無事アテネに到着しました。


なぜこんなに優しいのか?

イスラム教のバイブルブックであるコーランの1節にはこのような教えがあります。「自分が得た金銭は、神、使徒、近親、孤児、貧者、そして旅人に属することを知れ」※パパ活とか安易な考えをしていた自分をぶん殴りたいです。

他は分かるけどなぜ旅人が家族と同等の価値なんだ?と思った方も少ないくないと思います。イスラム教には「聖地巡礼」というサウジアラビアにあるメッカを目指し世界中のイスラム教徒が訪れます。メッカ巡礼はイスラム教徒において義務です。そのため飛行機のない大昔には、命懸けでメッカを目指したそうです。そのためメッカ巡礼を行うものは救うべき存在であり、歓迎すべきだとされてきました。つまりメッカ巡礼を行う物=旅人という概念です。今回であった2人はサウジアラビア人でメッカのある国出身です。そして私は旅人として歓迎されました。昨今イスラムや中東の概念がメディアを通して悪いイメージになっていますが、実は世界で一番旅行しやすい地域は中東・イスラム教圏内にある国なんです。

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