新人セラピスト向け!脊柱管狭窄症の発症要因!!
こんにちは!
町田市つくし野の慢性腰痛専門整体院、
院長の川田 絵人(かいと)です!
今回は新人のセラピストさんや、実習生さん向けに記事を書かせていただきました。
「分厚い整形外科の教科書読んでる時間がない!」
「ハンドブックとは名ばかりで、こんな手軽じゃないハンドブック!?読んでる時間ない!」
「脊柱管狭窄症の概要をまとめた物を手っ取り早く見たい!」
「とにかく早くポイントを絞って、患者さんに結果を出したい!」
そんなあなたにぴったりの内容となっております♪( ´▽`)
それではさっそく記事をどうぞ!!
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【脊柱管狭窄症の病態って!?】
主に腰椎椎間関節への伸展ストレスまたは回旋ストレスにより、脊柱管、あるいは椎間孔が狭くなり、神経根が圧迫される症状。
※見逃されやすいのが、回旋ストレスによる神経根の圧迫!
じゃあなんで上記の様な病態になってしまうの!?
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【脊柱管狭窄症の発症要因】
発症要因は、噛み砕いて言うとズバリ腰椎の過前弯による、椎間関節への伸展ストレス障害です!
その前に、大切な考え方として・・・
痛みや痺れを伴う症状に対し(怪我・外傷を除く)臨床上自分が大事にしている考え方があります。それは・・・
代償運動による他部位へのストレス増加!
つまりある部位における関節可動域制限により、他関節に過可動性が生じてしまう。
→過可動性による力学的ストレスの蓄積
→痛みや痺れの大きな原因
といった流れになります!
大前提として、ある一つの動作を遂行する際、一つの関節しか機能しない訳ではありません。
必ず身体全体の各関節が機能し、合理的に目的となる動作を遂行しています。
例えば身体を後ろに反らす動作を例に挙げると、体幹の伸展だけでなく、
頸部の伸展、胸郭の拡張、股関節の伸展、
ひいては膝関節が軽度屈曲し、
足関節は背屈位となっているはず。
つまり動作というのは身体全体を使って行っている!
↑
この時、何処かしらの関節にエラーが生じると、他の関節が過剰に動くことによって、身体全体の可動域を保とうとします。
(例えば頚部の伸展可動域に制限が生じれば、その制限を補う為に腰椎が過伸展し、腰痛を引き起こす)
脊柱管狭窄症の場合、他関節のエラー・可動域制限により、腰椎の過前弯・過伸展を引き起こし、椎間関節にストレスを与えている場合が非常に多いということです!
※(腰椎は胸椎のように、胸骨や肋骨に守られていない。また、股関節のように可動性に富んでいる訳ではないので、代償的な痛みが生じやすい。)
腰椎そのものを診ることも大事ですが、なぜ腰椎へストレスがかかっているのか!?そこを考えていきましょう!
【他関節による腰椎前弯への影響】
①股関節
股関節に関しては、屈曲拘縮がキーポイントになります。
とりあえず屈曲拘縮から腰椎へ影響を及ぼすことを覚えておきましょう!
股関節屈曲拘縮(伸展制限)が残存したまま直立姿勢を取ろうとすると、※股関節を伸展させて立位を保持できないので・・・
→骨盤前傾、腰椎過前弯による代償によって、直立姿勢を保とうとします。
大切なのは骨盤前傾を伴わない、
純粋な股関節のみの(寛骨大腿関節の)伸展可動域
を獲得することです。
歩行の際、骨盤の前傾を伴う歩行を繰り返していくことにより、腰椎前弯が増強し、椎間関節へストレスが蓄積されることになります。
しっかりと股関節のみの蹴り出し、歩行ができるようにしましょう。
(※人間の歩行というのは本来、足を前に持ってくる動作の連続・・・❌ではなく、
足を蹴り出す動作の連続
で成り立っています。
その為、後ろに蹴り出す際に働く大臀筋やハムストリングスの筋力も大切ですが、
それ以上に股関節前面についている
腸骨筋・大腰筋の柔軟性が重要
になってきます!
②足趾のMP関節
「なぜ足趾の関節が、腰椎の前弯に関係あるの!?」
と思う方は多いと思いますが、
きちんと理由があります。
ポイントは足趾MP関節の伸展です。
歩行は後ろに蹴り出す動作が重要
というのは前述した通りです。
股関節の伸展とともに、後ろに蹴り出す時に重要になる要素が
足趾MPがしっかりと背屈し、地面を蹴ること
なのです。
上図のように、
足趾をしっかりと背屈させ、蹴り出すことができないと、
代償的に股関節を屈曲させ歩行する
ことに繋がってしまいます。
この状態が積み重なることで、
腸腰筋・大腰筋の過活動
が生じ、硬くなりやすくなります。
特に大腰筋は腰椎に直接付着していますから、
硬くなることで腰椎の前弯を引き起こします。
「腰椎の過前弯は→椎間関節への伸展ストレス」
ですので、しっかり足趾の背屈角度もチェックしてあげましょう。
チェックする際のポイントは
足関節背屈位での足趾の背屈角度
です。
底屈位ですと、長母趾屈筋・長趾屈筋が緩んでしまいますので、
しっかり足関節背屈位で足趾の柔軟性をチェックしましょう!
③頸部、胸郭
頸部は大きな伸展可動性を有していますので、その可動性にエラーが起こることにより、腰椎の過可動性が引き起こされ、伸展ストレスを与える事になります。
また、胸郭の拡張制限(胸を張るような動作)があると、胸椎の伸展可動域がしっかり確保できない為、腰椎の代償運動が引き起こされやすくなります。
【その他の脊柱管狭窄症による間欠性跛行の原因】
① スウェイバック姿勢、後方重心
胸椎後弯、骨盤前方偏移の姿勢。
この姿勢も腰椎椎間関節に伸展ストレスを生じさせる大きな原因です。
股関節の外旋筋(お尻の後ろ)が硬くなり、グッと骨盤が前方に押されている感じです。
おへそが前に出て腰椎前弯し、猫背(胸椎後弯)→頸部が前方突出(ヘッドフォワードポスチャー:HFPと言います。)します。
※姿勢を真似て見てください!
この姿勢で歩くと、オラついてる感じになります(笑)
バイオメカニクスを用いて説明すると・・・
胸椎後弯により重心が後方となり、支点は前方偏移している骨盤となります。
→ポイントは胸椎後弯部位から、前方偏移している骨盤までの距離!
この距離が長ければ長いほど(骨盤前方偏移が著明であるほど)腰椎への伸展モーメントが強く働き、椎間関節へ大きなストレスを与えることになります。
②骨盤傾斜による神経根圧迫ストレス増強
腰椎の前弯増強が、神経根圧迫のストレス因子というのは有名ですが、
腰椎前弯増強だけが神経根圧迫因子ではありません。
腰椎前弯の他に、側屈、回旋のストレスも加わることでさらに神経根圧迫を強めてしまいます。
歩行時の立脚期において、骨盤が反対側へ傾斜する「トレンデレンブルグ歩行」は有名ですが、実際には、骨盤の傾斜だけが起きている訳ではありません。
例えば、右の立脚期にトレンデレンブルグ兆候が現れたとしましょう。
すると骨盤は左に傾斜します。
その際脊柱は立位バランスを保つため、
右に側屈します。
またこの時、多くの場合骨盤は前傾し、(骨盤が前傾すると、腰椎の前弯も起こる)
右立脚側の寛骨は内旋に入る動きを伴います。
右寛骨内旋→つまり相対的に脊柱の右回旋が起こる。
まとめると、
右の立脚期に筋力低下がある場合
骨盤左傾斜
↓
脊柱の右側への側屈
↓
骨盤の前傾、右寛骨の内旋
↓
相対的に脊柱の右回旋
が起こります。
そのため、骨盤傾斜が起こると
腰椎に前傾+側屈+回旋のストレスが加わり、神経根を圧迫しやすい環境になることがわかります。
③血流の循環障害による間欠性跛行
筋肉・骨格、神経系にアプローチをしてみても、なかなか改善に向かわない方は
「循環障害による間欠性跛行」
も疑ってみてください。
動脈硬化に繋がる糖尿病などの基礎疾患がないか、循環器系に問題がないか、
カルテを良く見たり、しっかり問診するなどして情報収集しましょう!
また、単純に筋肉の硬さによって動静脈が絞扼され、間欠性跛行をきたす場合があります。
以下、循環障害に繋がりやすい筋肉です。
1)多裂筋
脊柱の深部を走行している筋肉。
脊柱にベターッとくっ付いてるイメージですね!
腰椎の前弯が繰り返されることにより、多裂筋が短縮し、硬くなりやすくなります。
(※腰椎の前弯が繰り返されるのは二次的な現象であることが多く、多くは他の関節の影響により、代償的に腰椎前弯が生じています。)
(余談ですが・・・
良く脊柱管狭窄症の患者さんに対して、多裂筋のトレーニングを単純思考で行っているセラピストがいますが、正直悪化させる可能性の方が高いと思っています。)
下の解剖図を見るとわかりやすいですが、
ここの筋肉が硬くなること(過剰収縮)によって、神経根や動脈・静脈の絞扼が起こりやすくなります。
しっかりとリリースをかけていきましょう!
2)内転筋群、内側広筋
下の解剖図を見ればわかる通り、
大腿動脈〜膝窩動脈は、
内転筋群と内側広筋の間を縫うように走行しています。
内転筋群と内側広筋が硬くなると、
大腿動脈、膝窩動脈は絞扼されやすくなりますので、
筋肉の硬さをそれぞれチェックしてみましょう!
☆筋骨格系による間欠性跛行と、
循環障害による間欠性跛行の鑑別方法
→入浴やホットパックなど、温熱効果によって
症状が緩和するなら、
「循環障害による間欠性跛行」
の可能性が高いです。
是非チェックしてみてください!