中学生最後の1日。
卒業。前から書こうと思っていたが、書けなかった。
書いては消し、また書き、すべて消す。中学の思い出を書こうか、決意でも書こうか。でもすぐに、消してしまう。
1つだけ、理由がわかった。
書けない理由
:きっと私は、大人になりたくない。
もしこれを書き終えれば、私は中学生と名乗れなくなってしまう。
もしこれを書き終えれば、すべてなくなってしまう気がする。
もしこれを書き始めてしまったら、書き終えなければなくなってしまう。
終わりたくない。終わらせたくない。
だから、正直書きたくないのだと思う。
だから、書かなければいけないのだと。
私が、書かなければいけないことなのだと思う。
3年間、いろいろなことがあった。そのうち1年間は特にありすぎたせいで、なくなってしまった。
先輩の卒業式、後輩の入学式、体育祭、学校祭、合唱コンクール。修学旅行やレクなどは先生方が何とかしてくれて形を少し変えてできた。
(初日で420km・8時間バス移動は少しきつかったけど、ありがたい)
在校生がいない、卒業式。
校歌の1番を黙って聴いて、「はい」の返事1回しか話すことのない、卒業式。
誰1人泣かなかった。
悔しいのを我慢してるとか寂しいのをごまかしてるとか、決して強がっているわけじゃなかった。
全校集会な気分だったんだと思う。
明日、またみんな会える気がした。おはよって言って、笑って、喧嘩して。また明日ねって言える気がしていた。
あれだけ終わらせたくなかったのに、簡単に終わる。全く終わった気がしない。今はなんだか不思議な気分だ。あの時、書いておけばよかった。
lineの通知が届く。今までありがとうとか寂しいねではなく、「今日の写真」「ほーい」という会話。もう会うことのないであろう、友人からだった。
卒業証書が手元にある限り、もう私は中学生ではない。
あの学校に登校することもない。
卒業したんだな。
義務教育が終わって、これからは自分で選んでいかなきゃいけない。やりたいことはいっぱいあるけど、自分自身に追い付ける気がしない。
楽しみより、恐怖が勝ってる。
きっと、私が思い描く世界なんてどこにもない。
社会はそんなに甘くないし、私の居場所があるのかすらわからない。
だから、創りたい。
そのために、私は書く。これからも。
きっとそう思いながら明日、
会えない友達に会うために、6時半に起きるんだろうなぁ。
(ずっとつづく)
KaiTO