# 掘り下げる

”計画通りになんて行く研究なんて存在しないし,計画通り行っていたらそれは研究ではない”

これは僕の指導教員の持論である.半分一般的に言えることで,半分はあの人の生き方そのもの,という点で当てはまらない人もいると僕は思っている.

ところが,研究室のボスは彼なので,彼から学位を頂く許可をもらうためにはある程度この概念を理解し,行動に反映させる必要がある.

幸いこの考えは僕によくフィットしてくれている.計画なんてどうせ上手くいかないことの方が多いし,ある程度大枠だけ決めてあとはあまり考えすぎずに目の前のことに集中すべき,というのが僕の行動のベースである.いやもっと言ってしまうと,計画なんてほとんど存在したことなくて,思ったことがあればその次には行動しているのが自分である.

研究テーマを仮説し,その仮説を検証するために周辺知識/文献を調べ尽くす.ここではある程度幅を持っていていい.

そしてあるとき,手応えにたどり着く.”あれ,この手法いけるかも”,”この仮説実証できるかも”といった手応えにたどり着いたら,一気にターゲットを絞って調査を進める,実証に移行する.

掘り下げる.とにかく一つの事象に着目し,そのことだけを考える時間が続く.Google検索の履歴は関連事象でいっぱいになる.

今週は一週間,一つのテーマについて考え抜いた.朝起きて夜寝るまで,考え続けてもまだ結論には至らない.

でもその過程は,確実に僕のことを押し上げてくれている,と思う.考える力を養うとはこういうことか,とある種の実感を伴って成長を身に染みて感じることができた.

あとは科学的に有益な結果を導き出すことができれば何も問題ないんだけどなぁ.”この3年間で,考える力を養いました!”では博士という学位には到底及ばないわけで,ここは拘る必要がある.

何にもなれないはずだった自分が,何者かになろうとしている挑戦.専門性を高めて,自分の得意なことはこれです,と胸を張って言えるようになるための大切な時間の記録.

※ 事象,テーマ,仮説,この辺りの用語は粒度を揃えて用いたつもりですが,一般化されていない部分で感覚で用いているので,伝わりにくい部分が多分にあるかと思います.ご容赦ください.

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