# 自分にできること
今日で9年経ったのですね.
誤解を恐れずに何か発言するとすれば,僕にはあまりあの日に対する実感がわいていない,というのが正直な感想である.ボランティアで足を運んで実際にその目で現地の悲惨さを目の当たりにしたわけでもないし,募金活動を積極的に行ったわけでもない.
僕は僕で今まで経験したことのない地震を経験し,一晩家に帰れないという非日常を過ごした.でもそれはたった一晩の出来事だったし,被災地にはさらに長い時間自宅に帰れない日々を過ごした人だっている.一晩でも大変だと思ったのに,さらに長くあのような時間を過ごす人たちの苦労はいかほどだっただろう.
僕には理解できていないことがあまりに多すぎる.このテーマを取り上げて発言すること自体間違っているとも思う.
でも,たった一つ,思ったことがある.
何故,この人達が,この人たちだけが悲惨な目に合わなければならなかったのか.
震源地の話をしているわけではない.それをコントロールできるようになるには人類はまだまだ進化を遂げなければならないのだろう.
僕が疑問に抱いたのは,発電所が置かれた場所や経緯である.
自分の生活とはほとんど関係ないと知っていて,危険を承知で発電所の設置を了承した自治体.
自治体からしたら町興しの一環でもあるが故,簡単に否定できる話でもない.でも僕の意見は,もっと平等にエネルギーは生産されてしかるべきだ,ということである.
自分のエネルギーは自分でつくる,そんな日がくればいいなと本気で思っている.
そして今,そのおぼろげな想いは徐々に形になりつつある.自身の研究を通じて.
僕一人の力はごく小さなものかもしれない.でもそうして小さな思いがいくつも集まることによって人はいつでも大きな目的を達成してきたはずだ.
僕が一人で考えることだって,きっと無駄にはならない.
そう信じて,明日も研究に真摯に向き合いたいと思う.
自分のちょっとした力で何かが変わると思うから.