20. 〜肩関節周囲炎のリハビリ 後編〜
こんにちは。
荒木魁人(あらきかいと)です。
今回は肩関節周囲炎のリハビリについてもう少し詳しく書きます!
・可動域訓練
肩の可動域を改善するためには、主に3つの関節や動きを改善する必要があります。
・肩甲上腕関節
・肩甲胸郭関節
・脊柱/胸郭・肋骨
肩関節は360度さまざまな方向に動かせるため、挙上や屈曲といった単一の動きだけでなく、多方向に動かせるようにすることが求められます。
そのため、リハビリテーションでは、関節に対して伸張や牽引などの徒手的なストレスをかけていくことが重要です。
さらに、どの部分や組織に制限があるのかを明確に判別することも、可動域改善のために重要です。
・肩甲上腕関節
肩を構成する関節の中で最も大きな可動域を持つ肩甲上腕関節は、拘縮が生じるとその可動域が大幅に制限されます。
肩関節の炎症や、肩甲上腕関節周辺の組織に問題が発生することが多く、これにより肩関節の拘縮が引き起こされます。
また、肩甲上腕関節には筋肉、靭帯、関節包といった軟部組織があり、これらの拘縮や癒着が問題となります。
そのため、肩甲上腕関節の前方、後方、上方、下方に位置する組織を全周的に改善することが必要です。
・肩甲胸郭関節
肩甲胸郭関節の制限は主に筋肉の影響によるもので、具体的には広背筋、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、前鋸筋、大胸筋、小胸筋が関与しています。
一方、肩関節周囲炎は肩甲上腕関節の制限が中心で、肩甲胸郭関節に著しい制限が見られることは少ないです。
肩甲胸郭関節の動きが不足すると、肩甲上腕関節に過剰な負担がかかるため、互いに補完し合いながら可動性を向上させる必要があります。
また、肩甲上腕関節の機能を代償する役割も果たします。
拘縮がある場合に挙上すると、肩が異常にすくんだ状態になり、これは肩甲胸郭関節が代償的に動いていることを示します。
さらに、肩甲胸郭関節の可動性を確保するためには、その基盤である胸郭の役割が非常に重要です。
・脊柱/胸郭・肋骨
肩関節の可動域に、重要な項目のひとつです。
例として、猫背姿勢だと手は挙上しにくくなります。
肩関節周囲炎により直接的に拘縮が起こることはありません。
肩の炎症や痛みなどによる不動から、2次的に固さが出現する場合があります。
脊柱は、全体がしなる様に動くと非常に良いです。
動きで言えば前屈・後屈を中心に側屈、回旋などです。
肩関節の動きにあわせて様々な動きが求められます。
胸郭は肋骨の動きが重要となります。
しっかりと胸郭が開いたり閉じたりする必要があります。
肩甲胸郭関節同様に、肩甲上腕関節の制限を代償する役割もあります。
固さは、日常姿勢からの習慣的なものが多いです。
また腰痛があると、脊柱が制限され肩関節に負担がかかることがあります。
・筋力訓練
肩関節周囲炎の発症後、筋力低下は直接的な筋損傷によるものではなく、主に二次的な要因や廃用によるものであると考えられます。
痛みや炎症による安静が長期間続くことで、全体的な肩の筋力が低下し、肩が疲れやすくなったり、重い物を持ち上げることが難しくなる場合があります。
肩の筋力を改善するためには、個々の筋肉を訓練する必要があり、特定の筋肉が不十分な場合でも、他の筋肉を鍛えることで全体の筋力を補うことが可能です。
・三角筋
三角筋は肩を挙げる時に大きく作用します。三角筋の繊維は3つに分けられ、前部:前方・挙上、中部:側方・外転、後部:後方・伸展に作用し、それぞれ主な役割が異なります。特に横に90度挙げた状態、外転運動が有効です。
【重りを持って外転(手のひら下向き、手のひら前向き)】
・腱板筋
肩のインナーマッスルと別称されています。棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の総称です。特に回旋(肩を捻る)動作で訓練できます。
【棘上筋トレ】
【棘下筋トレ】
【肩甲下筋トレ】
・肩甲帯周囲筋
肩甲胸郭関節に作用する上記記載した筋群と同義語です。土台である肩甲骨周囲筋が安定していることで、肩関節がしっかり機能します。 また力強く動かす動作や重量物を持つなどの高負荷な動作で重要です。背面の僧帽筋や菱形筋、前面の前鋸筋などそれぞれ訓練する必要があります。
【僧帽筋(うつ伏せでの挙上)】
【前鋸筋(腕を肩から天井方向に)】
・予防
普段から適度な運動を行い肩関節を動かすことは、拘縮や筋力低下の予防に重要です。また、肩の血液循環を促進するために、肩を温めることや適度に動かすことが求められます。
具体的には、入浴時に肩を十分に温めたり、肩掛けを使用して冷やさないように工夫することが効果的です。さらに、体操や腕を振るウォーキング、ストレッチを行い、良い姿勢を意識することも推奨されます。
しかし、強い痛みがある場合は無理に動かさず、医療機関を受診することが大切です。
拘縮の予防は重要ですが、炎症や痛みが悪化するリスクを避けるためには慎重な対応が必要です。
ここまで読んでいただきありがとうございますʅ(◞‿◟)ʃ
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