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魔女裁判 #2「或る見聞」
翌朝、僕たちは旧市街の外れ、アスラリ・オデュ地区へと足を運んだ。
朝の爽やかな風は心地よいが、太陽が昇っているにもかかわらず街灯がちらほらと灯る街。狭い路地に無機質な建物がところ狭しと並んでいるこの街には、昼も夜も関係ないように思える。実に不思議な雰囲気だ。
その中を歩くうち、周囲はより一層暗くなり、静まり返っていった。
「お前、怖くないのか?」僕はふと才奨に尋ねた。
「何が?」と、予想通り怪訝そうな顔をしている。
「この辺り、あまりにも不気味すぎるだろ」僕は言った。細い路地が続き建物も密集しているせいで、なんとなく不安を感じる。
「不安がってるのはお前だけだろ」才奨は肩をすくめた。
「昔からこういう場所に足を運ぶのも俺の得意分野だ。無駄にビビるな」
「ビビってなんかないけどさ」僕は強がりながらも、足元に視線を落とした。
「ただ、雰囲気がな」
その時、前方から人影が近づいてきた。気配を察知した僕たちは一瞬足を止め、すぐに周囲を見渡した。灯りが少なく辺りは静まり返っているせいか、物音一つで普段は見逃してしまいそうな足音も今ならよく聞こえてくる。
「おい、見てみろ」才奨が耳打ちした。
同じ方向へ視線を向けると、そこには一人の男が歩いていた。顔はぼんやりとしか見えないが、どこか異様に歩き方が怪しい。
「待て、こっちを見てる」僕は呟いた。
男は足を止め、数秒僕たちを見つめた後、何かに気づいたようにそのまま歩みを進めた。だが、その後ろ姿にはただならぬものを感じざるを得ない。
「行くぞ」才奨は低い声を出す。
僕たちは急ぎ足で男を追い、少し距離を取る。しかし、相手はすぐに振り返り、こちらを見た。その瞬間、男の目が鋭く光った。
「待て!」才奨が叫ぶと、男はまるで予期していたかのように足を速め、路地を曲がっていく。
「追うぞ!」才奨の声が前方で響く。僕たちはすぐに駆け出すが、途端に路地が急に入り組んできた。
「くそっ、どこだ?」
呟きながら、次々に曲がる道を追っていく。その瞬間、僕は昨夜の地図の形をおぼろげながらも思い出していた。
「才奨、こっちの方が早い! 多分、この道なら追い込める」
先導が僕に替わり、男の進行方向を予想しながらさらに入り組んだ道に出る。寝起きの猫や犬たちが僕たちの駆け足を横目で見ている。すまんな、朝から騒がしくて。
そうして、後方に僕たちがいないことに安心したのか、足を緩めていた男を路地の奥で発見、僕たちは文字通り男を袋小路にした。
「なぜ逃げた?」
こういう時、運動不足がたたって口が動かない僕はまるで役に立たない。その横で相棒は、ほとんど息を乱すことなく男に問い詰めている。すると男は、才奨の問いには応えず鋭い拳を振ってきた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」と思わず日本語が飛び出しながらも、相棒はすぐに状況に適応し臨戦態勢。五年間やっていたらしいキックボクシングの要領で、才奨は瞬時にその背後に回り込み、一発蹴りをお見舞いしたのち、相手を押さえ込んだ。
「動くな」
男はしばらく抵抗しようとしたが、二対一の分の悪さからか、すぐにそれを諦めた。街灯により彼の顔が明るく照らされた瞬間、僕たちはその顔に見覚えがあることに気づいた。
「お前は確か」
男は静かに口を開いた。「君たちも、彼らの後を追っているのか?」
「『彼ら』? 誰のことだ」才奨が鋭く尋ねる。
「我が同胞だよ」男が言い放った。
「あの家族は、我々の仲間だ」
「お前、クルド人コミュニティの人間だな?」才奨の声が、静かな路地に響き渡る。昨夜見た写真の中に同じ顔があったからだ。
男は一瞬、息を呑んだように見えたが、すぐに冷静さを取り戻すと、無表情で答えた。
「俺は、クルド人難民を支援している者だ。だが、今はその立場ではなく、別のことをしている」
彼の言葉にはどことなく重みがあり、一瞬でも隙を見せたら気圧される雰囲気すらある。
「別のこと?」僕が尋ねると、男はしばらく黙り込み、そしてゆっくりと話し始めた。
「我が名はオマール・アッサド。昔、シリアで医者をしていた。だが、戦争が激化する中で自然とクルド人コミュニティと関わりを持ち、その後難民を支援するためにトルコに来た」
彼は言葉を選ぶように続ける。「だが今の目的は、あの家族を追い詰めている者たちを探し出すことだ」
「つまり、お前はあの家族の味方ってことか?」才奨が鋭く問いかけた。
オマールは短く頷いた。
「そうだ。あの家族は、かつてこの国で起きた悲劇の生き残り。彼らは、まさに生き地獄を生き抜いてきたんだ」
「悲劇?」僕はその言葉にすぐさま反応した。
「どういうことだ? 彼らはクルド人を迫害した側の親族じゃないのか?」
オマールは一瞬目を伏せ沈黙すると、やがて口を開いた。
「あの一族は、クルド人迫害の生き証人。トルコ政府に脅され、クルド人でありながら同じ民族を迫害しろと脅迫され続けてきたんだよ。そして、あの事件は、この国で起きた最も恐ろしい出来事の一つだった。あの家族が目撃したのは、まさに人間の悪意そのものだ」
そう言い、オマールは思い出したくない過去だとして、これ以上は口を重くした。いくら捜査だとはいえ彼が犯人側でないと主張する以上、乱暴に問い詰めるわけにもいかない。事実の確認は後からでもできるはずだ。
「つまり、あの家族は今度は迫害される側として、今も追いかけられているってことだな?」疑問が残らないよう、才奨はひとつひとつ言質を取っていく。
オマールはゆっくりと頷く。
「恐らくあの家族を追っている者は……トルコ政府の元高官。しかし、俺でもその名前は情報が錯綜していてわからない。でも、これだけは間違いない。彼は過去の戦争でクルド人を迫害した中心人物で、今もなお強い影響力を持っている」
「元高官?」僕はその響きに少し怖気づく。これまで相手をしてきたどんな犯人像よりも巨大なその肩書きに。しかし、そんな僕を見て才奨はニヤリとしている。
「面白くなってきたじゃないか。あの惨劇の内実は、加害者も被害者も同じ民族。裏には、その様子を見て下衆な高笑いを浮かべる一国の権力者たち。考えるだけでも吐き気がするから、全部明らかにしてやろうぜ」
苛立ちつつも興奮しているその言葉に、僕は小さく笑う。もちろん、状況は決して簡単ではない。だが、少なくとも、今の僕たちには一つの目標ができた。あの家族を守り、そして真実を掴み取るという目的だ。
「君たち、刑事ではなさそうだな」オマールが言う。
「なぜ他国の君たちがこの事件を追っているんだ?」
「元々は観光しに来たんだ。でも、コイツが」
僕の声色が急に暗くなったのがわかったのか、オマールは僕たちの顔を交互に見た。
「なんかすまん」と謝られる。いや、君のせいじゃないよ。気にしないで!
「その『元高官』のことだが」
そのやり取りにあえてノーコメントを貫く相棒は話を元に戻す。
「あの人物に情報提供を頼んでみるのはどうだ?」
この街にやってきた第二の目的でもあるツテ。そもそもその人物に会いにきたのだから、頼んでみない手はない。
「行こう、早速」
僕は言い、そしてオマールに向かって頷いた。「その『家族』の足跡を追って、事件を解決してみせる。だから、あとは任せてほしい」
◆
僕たちは足早にその「元高官」の情報を求め、アスラリ・オデュ地区の裏通りを歩いていた。
オマールが言った通り、この国の影の部分に潜む力は計り知れない。かつて彼らを迫害した連中が、いまだにこの土地で影響力を振るっているという現実は、無性に腹立だしい事実でもあった。
やがて、通りの端に見える小さなバーを相棒は指差した。「あそこだ」
その店構えを見るたび僕は緊張してしまう。情報屋としては優秀だが、下手なことを言うと問い詰められるので、僕はどうしても彼女に苦手意識があるのだ。
「だいぶご無沙汰だけど……中身丸くなってないかな」
相棒の後ろで、思わず願望が口をついて出てしまう。
クローズドの看板を気にすることなく、僕たちはドアベルを鳴らし中に入る。店内は静かで、カウンターの隅に座っている女性が一人。開店準備をするにはまだ早すぎるからか、朝からカクテルグラスを傾けている。そして相変わらず、四十近くとは思えぬ美貌とその鋭い目つきで、僕たちを見つめてきた。
「ここで話すには難しいことだ」才奨は静かに言った。
この店の女店主、リリーはしばらくの沈黙の後ひとつ大きなため息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。
「『客がいないんだからいいだろうが!』。ひとまず、そういう言葉は飲み込むよ。裏の部屋で話をしよう」
彼女の声は静かだったが、それに内包されている威圧感は衰えるどころか増しているようにも思える。彼女の男勝りな性格、僕は決して得意ではないが、相棒はやはり気にしていない。どんな人間に対しても事件解決のためなら、ドライでクレバーに接する。僕には生涯できそうにない芸当を、この男はいとも簡単にやってのける。
案内された裏の部屋は薄暗く、ひときわ静寂に包まれていた。木目調の四人掛けテーブルの前で、無言で席を勧められる。と同時に、彼女は机上にある細い煙草に火をつけた。
ここからが勝負だ。僕の横で才奨はそういう顔をしている。情報屋といえど、彼女は興味のある話しかしたがらない。一筋縄ではいかないのがリリーという女だった。
「クルド人を狙う元高官の情報が欲しい」
「そんな者はごまんといる。その言いぶり、お前、わざとはぐらかしているのか?」
才奨の単刀直入な依頼に、彼女はすぐさま返す。これまでもそうだったが、一言二言で交渉が成立したことは、もちろん一度たりともない。
「ではこれではどうだ? かつて『クルド人を迫害していたクルド人』を狙う元高官」
「曖昧すぎるよ。今度は頭の中の検索にも引っかかってこない」
そう言うと、彼女はおもむろに席から立った。リリーは長話が嫌いなことでも有名。その琴線に触れるまで言葉を投げかければいいというものでもないのだ。
「魔女裁判みたいなんだよ、今回の放火事件」
そして、相棒は軽い調子で言った。恐らく頭の中ではかなりのスピードで物事を考えているんだろうが、そんな様子は微塵も感じさせない。まるで親しい友人に他愛のない話をするかのような声色だった。
「と、いうと?」
「一見すると、かつての遺恨を晴らそうとするクルド人が弾圧者家族に対して行った放火。しかし、現時点でわかっているのはその弾圧者家族すらも同じクルド人で、つまりは魔女に仕立て上げられた被害者だった。本当の魔女はまだ姿を現していない」
そして、「俺も一本いいか」と相棒はマルボロと携帯灰皿を取り出し、彼女のライターを借りて煙草を吸い出した。なんなんだ、この余裕。まだ彼女の心を捉えた確証はないのに。コイツはもし探偵を廃業することになっても、絶対に舞台役者になれる素質がある。
「その、『本当の魔女』とやらが元高官ってことか?」
彼女はゆっくりと席に戻り、相棒と対面した。徐々に彼女が関心を持ち始めている。僕は今のところ何もしていないが、フィクションでもないのにこんなにもヒリヒリした空気を間近で見れるのは、もしかしたら貴重な経験なのかもしれないと呑気に思った。
その問いかけに軽く頷くと、「魔女には人間にはない能力がある。そう、魔法だよ」と言う。
「それは例え話の導入かなにかか?」リリーがすかさず勘ぐる。
「間違いないな。とりあえず聞けよ」
相棒は手元の灰皿に灰を落としながら呟いた。僕はその一言一言に固唾を呑むことしかできない。
「俺たちが追っているのは想像以上にデカい組織だ。恐らく、この国の要人たち。それは同じ人間とはいえど、社会的には大きな違いがある。魔女と凡人ほどの差といってもいい」
気づけば、彼女は喫煙をやめ相棒の目をじっと見ていた。情報を提供する価値があるのか見極めようと最終局面に入っている。
「でも、魔女といえど元は同じ人間なんだ。悪魔と契りを交わした成れの果てが魔女ってだけでな」
そうして、相棒は彼女の目をまっすぐ見返す。その瞳は犯人と対峙するかのような、本気が宿っている。
「つまり、俺たちの最終目的はこの国に巣くう悪魔の正体を暴き叩き潰すこと。相手が魔法を使おうが俺たちは人間らしく、平凡に、しかし着実に奴らを追い詰めるほかないんだよ」
そう言うと、相棒は煙草の先を潰し、彼女を真っ直ぐ見た。まさに才奨は彼女に訴えかけるように、その心に向かってド直球のストレートを投げ込んでみせた。
「そのためにも情報をくれ。『元高官』ただ一人が悪魔なわけがない。でも、可能性は全部知っておきたいんだ」
相棒が最後まで言い切ると、彼女は考えるように目を閉じ、やがて少しだけ顔を上げた。その瞳を見て、僕は彼女がようやく情報を手渡してくれることを確信した。
「アフメット・カヤ。そもそも彼を調べること自体、危険なことだが」
「なぜ危険なんだ?」
その名前を瞬時にメモする。僕は観客でもあり、正確な書記の役割も担っている。
「カヤはかつて軍の高官で、今は政治家をしている。戦争時には数多くのクルド人を弾圧した。しかし、終戦後は国内で平和ムードが漂ったことで、カヤの考え方は軟化したんだ。奴にも『国民には嫌われたくない』という想いがあったのだろうと推測できる。政界に転身してからは、彼らとの『和解』も訴えている。だが、裏ではかつてのカヤの意志に従いクルド人を狙っている者が大勢いるとの噂だ」
彼女はひとつずつ、言葉を噛みしめるように話す。
「そのカヤが、あの家族を狙う理由は何だ?」僕はようやく初めて口を開いた。
「単純明快だよ。部下に指示して、クルド人を使ってクルド人を迫害させた過去の罪を消し去ろうとしているんだ。政治家として、過去はとことんクリーンにしたいんだろう」
彼女は静かに言い放った。過去をクリーンにする必要があるということは、と僕が考えていると相棒も同じ考えに行き着いたようで、
「カヤは今、政府の内務大臣をしているな。来年の大統領選当選を見据えて、すでに身辺整理に躍起になっているわけか」
スマートフォンで検索した結果を見ながら才奨が言う。まるで彼女との話を膨らませていくことを心から楽しんでいる様子だ。
「年齢的にも次の選挙が最後だ。自らの悲願のためにも手段は選べないといった雰囲気すらあるからな」
それでだ。彼女は言葉を続ける。
「もしお前たちが本当にその真相を追いたいのなら、彼に近づく方法をひとつ教えてやろう」
「そんな代物が簡単に見つかるものか?」才奨が眉をひそめる。
「カヤは一部の特権階級と強い繋がりを持っている。その中でも、特に信頼している者がいるから、その人物を利用することだね」
そして、彼女は僕たちに一枚の写真を手渡した。
「この名を覚えておけ。彼の名はケマル・バイラル」
その名前を目にした瞬間、僕は背中に冷たいものを感じた。
ケマル・バイラル――トルコにおける大企業のオーナーで、世界の大資産家の一人として国内外で高い知名度を誇る男。彼とアフメット・カヤの関係は、恐らく外部に漏れたことがない。もし本当にカヤと蜜月関係があるのなら、この国における闇権力の王座に近いともいえる。
「ケマル・バイラルが、カヤとつながりがあると?」僕は信じられない思いで言った。
「可能性は高い」彼女が頷く。
「あくまで噂だが、彼には隠れ家があるらしい。そこに行けば、何かしらの証拠を掴むことができるかもしれない」
「隠れ家?」才奨が興奮気味に言った。
「いい響きだ。それなら、まずその場所を突き止めろってことだな」
「せいぜい気をつけるんだね。カヤとケマルには、引き返せない何かがある」
彼女は、僕たちに警告の意味を込めて、そう言った。
◆
いくらかの提供料を支払った僕たちは店を後にし、再び町の暗い路地を歩きながら次の一手を考えていた。
ケマル・バイラルの隠れ家――その情報がどこにあるのか、まだ見当はつかなかった。しかし、今までとは明らかに違う匂いがする。と同時に、この国の深層に潜む真実に一歩ずつ近づいている感覚もあった。
さらにもう一歩踏み込んだ情報を集める必要があったが、ここまでくるとその道筋すらも曖昧だった。大企業のオーナーであり、かつ政界にまで影響力を持っているとなると、その隠れ家に辿り着くのは容易ではない。
「まるで映画の中みたいだな」僕は道すがら言う。
「映画か」才奨は苦笑いしながら答える。
「でも、現実はもっと厳しい。あんな大物を相手にするとなると、その情報が俺たちの手の届く範囲にすぐに落ちてくれるとは思えない」
才奨は自身の言葉を心に刻みながら、次のステップを考えている。
彼の隠れ家を見つけるためには、まずその行動範囲を突き止める必要がある。だが、彼がどこに隠れているのか、何をしているのか、全く予測がつかない。
そこで、僕たちはもしかしたら捜査にプラスに働くことがあるかもしれないと、電話番号を交換していたオマールに連絡を取ることにした。
「情報を頼む」
僕が電話をかけると、一瞬の間が空いた後、彼の低い声が電話越しに響いた。
「どうした? 何か進展があったのか?」
「まだだ。ただ、ケマル・バイラルのことがわかってきた」僕は簡単に状況を説明した。
「彼の隠れ家を見つけるために、少し手助けしてもらいたい」
オマールは少し黙って考えた後、答えた。
「ケマルか。彼は確かに一筋縄ではいかない人物だ。しかし、その動向を追っていれば、何かしらの手がかりが見つかるかもしれない。君たちは、彼がどこで頻繁に顔を出すかを探るんだ。それさえわかれば、彼を追い詰められる」
「それがわからないから、君に頼んでいるんだよ」
僕は少しイライラしたが、なるたけ冷静を保つように努める。
「君にしかわからないこともあるだろ?」
「そうだな……」
オマールの声にわずかな冷ややかさが混じる。これから伝える内容を果たして口にしていいものなのか。そんな逡巡すら感じたが、ついにオマールは口を開いた。
「ケマルが顔を出す場所……俺が思い至るのは、彼が定期的に訪れるといわれるイスタンブールの『アトラス・ホテル』。そこには、彼のビジネスパートナーや政治的な繋がりが集まると聞いたことがある」
「アトラス・ホテルか」僕はその情報をメモに書き留めた。
「ありがとう。行ってみるよ」
「でも気をつけろ、冬野。ケマルは簡単に捕まらない相手だ。どんな手を使ってでも、慎重に動け」オマールは警告を忘れなかった。
電話を切った後、僕は才奨に向かって言った。「アトラス・ホテルだ。ケマルがどんな人物か、実際に確かめに行くぞ」
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