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再会

貴方に再会したい人はいるだろうか。

昨年の暮れの昼下がり、都心を外れたレトロな喫茶店で僕たちは顔を合わせた。
実に数年ぶりの再会だった。かつて心を許した友の表情は全く変わっていない。

東京を離れて以降、ほとんど会う機会を失っていた。
新型ウイルスは物理的な距離だけでなく、心理的距離にも自然と介入していたのかもしれない。

コーヒーの湯気が天井に向かって昇っていく。
いつしかカフェインの味すら忘れて、出会いたての15の頃のようにひたすら喋っている。

彼とは高校で初めて出会った。
仲良くなり始めた頃に地元が一緒だと知り、気づけば近所の公園のベンチで色々と話した。
春には目の前で咲き誇る桜を見上げながら。冬には缶コーヒーを握りしめながら夜になるまで語り合った。

お互いの好きな人を告白して、顔を赤らめながら冗談を飛ばし合う。
思い返せば、もう二度と経験できない、青春の1ページ。

お互い創作がライフワークだと知るのに、当然時間はかからなかった。僕が文章を書いている間、彼は絵を描いていた。
そして、今でも絵を続けているという。あの頃と変わっていないように感じて、僕は内心嬉しかった。

彼には以前絵をもらったことがあり、今でも大切に飾っている。
30年近く生きてきて、僕は彼以外の絵を一つも知らない。
世間知らずかもしれないが、僕はそれで十分だ。

生きている限り、人は人と会い、話し合い、笑い合うことができる。
心の片隅に味方がいると思うだけで、心強く生きていける。

出会いと同時に約束された別れ。
その瞬間が訪れるまで、友情の灯を燃やし続けていきたい。

皆さんから大事な大事なサポートをいただけた日にゃ、夜通し踊り狂ってしまいます🕺(冗談です。大切に文筆業に活かしたいと思います)