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正直者の行く末〈うみいろノートNo.40〉
知ったかぶりの皮が剥け始めたのか、「よく知りません」が口癖の仲間入りを果たそうとしている。
それはとても簡単なことなのだが、生活の中で普段接しない人と話をすると、相手が何を言っているのか分からない時がある。
そういった場面で愛想のいい人は絶妙なバランスの笑みを湛え、相手が心地のいいように話を引き出している。要は人に好かれるタイプだ。
どうにも僕はそれが下手なのかもしれない。
それは目を離しているうちに知的好奇心が高まっていたのか。はたまた人から何と思われようが自らの肥やしにしてやろうと躍起になっているのか。
最近はもっぱら「よく知らないので教えてください!」のスタンスなのである。
そして僕は悪いことに、そう返した際の相手側の表情は二つに分類されることを覚えてしまった。
一つは「そんなことも分からないのか。しょうがないな。イチから話してやるよ」と一肌脱いでくれる人。世話好きな人といってもいいかもしれない。
そしてもう一つは、といってもこちらはそんなに遭遇する機会はないのだが、「話にならないな」と話題をストップしてしまう人だ。
「他人に甘く、自分にもっと甘く」を地で行くと決心して久しいが、僕はそんな"イチから話してくれる人"とこれからも末永くお付き合いしたいと思っている。
相手の寛大さにつけこもうとしている魂胆を見透かされても、ひたすら頭を下げて学び続けたい。と格好だけいいことを言ってみたりする。
ただ、散々教えてもらった後に「勉強が足りないな」とだけは言われないように、それは自らのちっぽけなプライドのためでもあるけど、学び続ける姿勢だけは保っておきたい。
そして、いつか運悪く僕なんかの後輩になってしまった人がいたら、飲みの席で「正直者が馬鹿を見る」といったことよりも、「正直者は救われる」の精神論をグダグダと話してみたい。我ながら嫌な先輩だ。
翌朝、その後輩が「先輩の話、何一つ覚えてないです」と寝癖のひどい頭で報告してきても、結局僕は「まったく。仕方ないな」とか何とか言って心地よく同じ話をしてしまうのだろう。
正直者には、つい話し込んでしまう魔法でもかかっているのだろうか。
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