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画面越しの〈うみいろノートNo.34〉
外出自粛が続く中、近頃は気の許した友人たちとも会っていなかった。
友人たちと組んでいるLINEグループも最近はめっきり動かなくなっていた。時々、僕は何の用事もないのにグループトークを見返していた。
昨年末までは数ヶ月に一度、地元の飲み屋に行く約束を交わしている。
飲んでいる最中のふざけあった写真や動画なんかがトークに貼られていて、そんなに昔のことでもないのに懐かしい気持ちになる。
「久しぶり。みんな元気か?」
指先は考えるよりも先に動いていた。
既読はすぐにつき、それぞれの近況を知ることになった。
在宅勤務になったやつ。接客業のため中々休めないやつ。みんなそれぞれの場所で懸命に毎日を生きていた。
「久々に飲もうよ」
そうして僕らはその晩、オンラインビデオアプリを使って再会を果たした。
テクノロジーは思った以上に進化していて、こうして会いに行かなくてもアクセスさえできれば顔を見ることができる。
それぞれ好みのお酒を手にして乾杯すると、画面越しで僕らの声は響き合った。
楽しい時間はみるみるうちに進んでいき、もう話すことすらなくなった頃。
「いつか直接顔を合わせて、また飲もうな」
赤らんだ顔で友人は言った。
よく行く飲み屋の店主はどうしているんだろう。
飲んだ後、体を休めた公園のベンチは元気にしてるだろうか。
頭の片隅でささやかな幸せを噛みしめる未来の自分たちを思い描いた。
きっと、戻ってくる。あの頃は当たり前だった日常が。
だから、今はみんなで凌いでいこう。一日一日を着実に。
そう言う風に僕らを励ます声が、どこかから聞こえたような気がした。
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