会食恐怖症のはじまり 3

食べられないのは悪いこと、残すと怒られる。

はじめは単純に怒られることに対する嫌悪や恐怖だったのだと思う。
怒られるから給食の時間が怖い、怒られるのは食べられないから。
怖いという感覚的からはっきりとした体の不調を起こすようになった出来事があった。


漠然とした恐怖感が確信に変わったのは
「美味しいもの食べに行こうよ」と
家族で外食に行くことになった日だ。

〈家以外の食事かぁ…食べられるかな…食べないと怒られるのかな…〉

外食に行くと決まったときからこんなことが頭をぐるぐるし始めた。
当日も出かけるときから何となく調子が悪さを感じていたが、
いざレストラン街に入ってからしばらくすると
突然、口内の水分を一気に失ったかのような
経験した事のない喉の渇きと激しい吐き気に見舞われました。
立っていられなくなり、倒れるようにその場に座り込みました。
呼吸が苦しくなり、発作のように吐気が襲ってきたというのだろうか。

母に今、起きている状況を説明しようにも全く理解されず
何を言ってるの?と不機嫌に返されるだけ。

いよいよ動けなくなり、その日は外食せずに帰ることに。
帰宅すると決まると、先ほどの症状は嘘のように消え去っていた。
母には「あんた美味しいもの食べたくなかったんじゃないの?」と。
私もそうかもしれないと思った。

「美味しいものって何だろう」

これをきっかけに給食のときに異常なほどの緊張を
感じるようになり、先日のレストラン街で起きた
喉の渇きと吐き気が出始めた。


家族との外食も酷い吐き気が常態化するようになり、恐怖でしかなくなった。
どうにもおかしい、私の体はどうしてしまったのだ?

そう思いながらも、幼い私には
この現象が何なのか分からないので必死に耐えるしかなかった。
誰かに相談するなんて考えにはならなかった。

ここから本格的に【食べる】ことに関して私の困難が始まった。


そして小学校5年生で、この症状が悪化した。
日常的に吐き気と体調不良を起こすようになり、
一時期は何も食べられなくなるほどだった。

外出すらままならなくなり、寝込むことも。
親に小児科に連れて行かれて血液検査などを受けたが、
悪いところはなく、医者からは「気持ちの問題でしょう」と…

この状態なので、修学旅行は欠席。
今思えばこの時期にこんなに体調が悪化した理由は、
修学旅行での食事の不安があったためかもしれない。

宿泊行事では3食、慣れない料理を教師や他人の監視下で
食べることになる。
食べられなかったら怒られるという恐怖を感じるのは当然だ。


私は、自分の身に起きている一連の現象が一体何なのか分からないなりにも
〈給食が原因だ〉〈私は食べることが苦手だ〉
〈食べることが怖い〉
という自覚があった。

〈給食恐怖症〉と密かに命名した。

それからもずっと
誰にも相談できずに、1人で悩み続け、
摂食障害なのだろうか?
確実に自分が異常だと感じていました。

会食恐怖という病名を知ったのは高校生になってからのこと。


〈続く〉

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