会食恐怖症の大学生活
会食・外食を恐怖に思うあまり、人付き合いを放棄した私の大学生活についてもう少し詳しく書きたいと思う。
周囲にすすめられ、なんとなく進学した大学。漠然と思い描いていたのは、これまでとは違う自由な世界。
入学早々オリエンテーションなるものがあった。
1泊2日の移動教室のような宿泊行事だ。
大学生になってもこんな行事があるのか…と
突然のイベントに動揺した。
当然、泊りと聞いた時から宿泊中の食事の不安で頭がいっぱいになる。
しかし、悩む暇もなく宿泊行事当時に。
小中学校の移動教室と特段、変わらない行事。
その場の空気を読んで固まったグループでそれぞれ美術館を回ったり、公園を歩いたり。
初対面らしく遠慮がちに当たり障りのない手探りの会話をするあたりは、少し大人になったのかもしれないが。
そんなときも食事の不安が常に頭の中にあるのだ。
食べられなかったらどうしようー
せっかく新しい世界で、新たに知り合ったこれから良い友人になれるかもしれない同級生たちに、私はどう思われるのだろう。
いざ食事の時間になろうというときに、それとなく
「小食で、けっこう好き嫌いが多くて…」等とあらかじめの言い訳をしておいた。打ち明けた際の周囲の反応はそれは薄いもので特に気にしてはいないようであった。
それはそうだろう。私が逆の立場でも、取り留めのない会話として流すだろう。
昼食は、出来たばかりのグループでバタバタしており、食べたか食べないか分からないうちに終わった。
幸いにも、激しい吐き気はなかった。あるのは緊張感。
お決まりのように空腹感も食欲も全くなく、目の前の会席料理のような大量の食事に手を付ける気にはならなかった。
食べられそうなものを選んで、少量ずつ箸にとり、飲み込もうにも、喉に異物があるようなあの感覚に邪魔をされる。
出された食事をほとんど食べることが出来なかった。
それでも無事に帰宅した私は、難は去ったと言わんばかりに翌日から直面する新生活への不安や障害について全く考えていなかった。