会食恐怖症の大学生活②
会食恐怖症をはじめ、新しい生活には不安はあったもののオリエンテーションでそのまま固まったグループに所属できたことにとりあえずほっとしていた。
大学生活1年目は必修科目が多いため、授業も移動も休み時間もそのグループで一緒にいることになった。
気が合いそうなメンバーはいなかった。けれど、義務教育時代と違うか自由な大学生活といっても、人に合わせずに一人だけ集団から外れることが許されないのは小中学校のときと変わらない。
大学生活は思ったよりも窮屈なものだった。
私は大学に入って何がやりたいのだろう?
入学した学部は当初の希望ではない。サークル活動や飲み会、イベントにも興味がない。元来、人とつるんだり騒いだりはもちろん、友人をつくることさえも上手くできない自分がここで何をするというのか。
大学生になれば、もっとみんな個人として自立し、個性にも寛容になるかと期待していた。しかし、現実はこれまでの学校生活と変わらない。
グループは、私を含め4人。
ギャルでも地味でもない平凡な女の子達。しいて言うなら、外見も性格も子供ぽい。
趣味も特徴もこれと言ってないようで、何を話したら良いのか全くわからなかった。
一方、当時の私の趣味といったらアニメ、声優、ロリィタファッション。そんな趣味は案の定、オタク呼ばわりされるだけで話のネタにもならず。
とにかく毎日がつまらなかった。
無理をしてサークルにでも入ったほうがいいのだろうか。そんなことを考えても、人と付き合ううえで食事が必要になるであろうことへの不安が常に頭の大部分を占めていた。
入学して何週間かは、昼食はグループの子たちも弁当やコンビニ飯で済ませていた。私は持参した弁当なら何とか食べることが出来たため、こうして昼休みを過ごすぶんには大きな苦労はなかった。
皆がだんだんと大学生活に慣れ、グループの一人が
「ごはん、外のお店で食べようよ」との提案。
ついに恐れていた事が起きたのだ。
「私はやめとく」
私はこれまでに積もり積もった会食への恐怖心から、考える間もなく、それはもう瞬時に断ってしまった。
今、あの時に戻れるのなら断ることなんかせずに、吐いてでも一緒にごはんに行くべきだったのだろう。
ここから回避行動のループの始まった。