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肉パンチ(大阪220日目)
映画「ロッキー」は、1976年製作のボクシング映画で、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞で作品賞や主演男優賞などを受賞し、シルヴェスタ・スタローンを一躍スターダムに押し上げた映画史に残る名作である。
この作品の中にはいくつもの名場面がある一方で、理解が難しい迷場面もあって、その一つが肉パンチシーンである。
これは、貧乏なボクサーである主人公ロッキーが、精肉工場の冷凍庫にぶらさがっている肉をサンドバックに見立てて、肉を殴って練習するというもの。いやあ、いろんな意味でダメだろそれ。
久しぶりにそんなことを思い出したのは、仕事で「牛の競り」に立ち会う機会があったからだ。
宮崎では、いわゆる宮崎牛を育てる肥育経営だけでなく、繁殖経営も盛ん。宮崎で生まれた子牛が全国に買われていき、その後大事に育てられて、松坂牛や近江牛、神戸牛(日本三大和牛)になったりする。今回は、宮崎産の子牛から大きく育った「某ブランド牛」の競りの現場だった。
肉用牛経営は、繁殖雌牛を飼い、子牛を生産して販売する繁殖経営と、子牛を購入し育てて肥育牛として出荷する肥育経営に分かれています。肥育経営は、黒毛和種の場合、9~10か月齢の子牛を18~22か月間肥育して出荷します。また繁殖と肥育を一緒に行う経営は一貫経営といいます。
初めて見た現場では、映画「ロッキー」で見たように、天井から何体もの牛の肉が吊るされていた。あ、いや、違うな。
今思えば、ロッキーで見た「肉のサンドバック」は、既にいくつかの部位にカットされた一部の精肉だったとわかる。牛の体はあんなに小さくない。競りは、体重が500-600kgもある牛の体躯がまんまわかる状態で吊るされて行われるのだ。
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目の前に吊り下げられた肉からは、その大きさ・カタチから生前の姿が容易に想像できて、否応なく「命をいただく」ことを意識させられた。とてもじゃないがサンドバックのように殴るようなものじゃない。
ロッキーめ。
競りの後には、生産者の人たちとも情報交換させてもらい、畜産業への理解が深まる良い機会になった。やはり現場に足を運んで話を聞くことが大事。
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