見出し画像

六甲山地獄の道行き・後編(大阪303日目)

六甲山への初登山で、一般道ではなく、中・上級者(知らんけど)が行くような地獄谷〜万物相経由のルートを登って、死ぬような思いをしたものの、なんとか一般道までたどり着いた。

途中、本庄橋跡という地点で、はやめのお昼。
持参したカップヌードルと、Mさんが用意してくれた巻き寿司(美味しかった!)でエネルギーチャージ。ちょっと元気が出てきた。

最高の組み合わせだった!

今回、友人のHそ氏、妻のMさんが、ガイドをしてくれるのだけど、少しずつ経験者と未経験者の受け止めの差に気がついていく。

・経験者:面白いコース   → 未経験者:危険なコース
・経験者:面白くないコース → 未経験者:しんどいコース

ほぼ登山経験のない自分からすれば、勾配が急だったり、段差の大きい階段だったりが多く、一般道ですらなかなかハードだった。それでもまだ登りは良いのだけど、下りの、特に階段状になっていて段差が大きいところは、1段下に足を下ろすごとに70kg近い自分の体重が片足にドンっと乗るため、都度都度の衝撃が大きい。

徐々に疲れがたまってきて、この段差の多い道って好きじゃないわー・・・なんて思っていたタイミングで、1段の落差が大きい階段があって、下の段のところにあった木の根っこを避けようとしたら、身体が向かっている方向と足もとの向きがずれてしまい、思いっきり左足を内側にグネってしまった。

痛!!!

しばらく動けなくなるぐらいの痛み。
でもまだ前半戦。ここはもう、だましだまし登るしかない(涙)。

登りはまだ良いのだ。痛いだけ。

でも下りになると、左足で着地すると70kgの衝撃で激しく痛むし、逆の右足で着地しようとすると、元々痛めていた左足の膝に負荷がかかって、そっちがピキる。下りの階段があるたびに、「はぅ!」「ひゃあ!」と小さな悲鳴を叫ぶのであった。



12:30頃。なんとか六甲山山頂に到着。

写真ではこの絶景が全く伝わらないのがもどかしい

途中の万物相地点よりも高度が倍以上になり、また遮るものも少なくなって、大阪湾の全体像、遠くは生駒山まで見渡せるようになった。振り返れば六甲山の北側の裾野、さらにその奥まで俯瞰できる。360度の全てが素晴らしい眺め。すごいなあ。

ただ、遮るものがない分、冷たい風を直で受けることになり、これがまあ寒い。頂上周辺の木には樹氷までついてる。じゅひょー!

じゅひょー!

さて。登り道はここまで。
頂上付近の休憩所で、Hそ氏の煎れてくれる美味しいコーヒーを飲んだのち、出発。ここから先は山を北側に下っていき、有馬温泉に入って帰るだけだ。

「かいしんさん、甘い物は好きですか?(Hそ氏)」
「もちろん、大好き!」
「有馬温泉に有名なジェラート店があるんですよ。着いたら食べましょう」
「おー。いいですね。ビールも飲みたい」
「じゃあ、ジェラート食べて、温泉入って、ビール飲みましょう」
「最高!」

有馬温泉への道筋にも、いくつも階段があって「はぅ!」「ひゃあ!」と悲鳴をあげつつ、長い長い下り坂を、ジェラートと温泉とビールの力でなんとか踏ん張り、15:40頃になんとか有馬温泉に到着。

日曜の午後ということもあってか、多くの観光客で賑わっている。コロッケ屋とか明石焼きとかに行列が出来ている。わかる。寒いもんね。

でも、ずっと歩いてきた自分たちが求めているのはジェラート!甘くて美味しいものプリーズ!

「あれ?」
「どうしました?」
「閉まってますねー」
「え」

店に近づいてみると、「今、社員研修でイタリア行ってまんねん」との表示が。
マジか。

なんで年に1回しかない社員研修のタイミングになるかなあ。
ま、まあ、しょうがない。
じゃあ温泉行きましょう。

有馬温泉といえば「金の湯」。
鉄分が酸化して赤茶色に濁ったお湯で有名。

「あれ?」
「どうしました?」
「むちゃくちゃ行列ができてますね」
「え」

有馬温泉は「金の湯」だけじゃない。
炭酸泉・ラジウム泉の「銀の湯」がある。
そっちに行ってみよう。

「あれ?」
「どうしました?」
「待ち時間30分って書いてありますね」
「え」

ジェラートに続き、温泉まで。
こちとら疲労困憊なんじゃい。
行列に並ぶ体力なんぞ残っとるかー!。

いろんなことを諦めつつ、近くのパブに入り、ビールで乾杯。
う、美味い。
ビールは最高。
ビールは裏切らない。
ジェラートとか、温泉とか、邪道やねん。
ビールさえあれば良い。

ビール最高!

おうちに帰るまでが登山。
まだこの先は長い。

暖房の効いたパブなので、椅子に座ったまま根が生えそうだったけれど、なんとか意を決して立ち上がり、駅へ向かう。

「あ。かいしんさん、炭酸せんべいって食べたことあります?」
「ないです。なんですかそれ」
「賞味期限5秒っていう面白いせんべいなんですよ。それがこの店で・・・
 あれ?」
「どうしました?」
「本日分完売って書いてありますね」
「え」

最後の最後で、せんべいにも見放された!
・・・っていう六甲山地獄の道行き。

「せっかくなのに残念。全部次回の楽しみにとっときましょう(Mさん)」
「次はもっと面白いルートを案内しますよ!ヘルメットも貸します!(Hそ氏)」
「それって、もっと危険なルート!」



ちなみに、帰り道、近所の居酒屋に立ち寄ったら、いつもなら空いている時間なのになぜかパンパンの満席で入れず(そんなことある?)

やむなく家に帰ってストックしていたレトルトカレーを食べながら、1日の疲れを癒やしていると、なんか今日の出来事の楽しいところだけが思い出されて、不思議と「道具さえあれば(例えばグリップ力の強い登山靴)、楽しいのかも」という気もしてきた。気のせい?

なんだかんだでHそ氏、Mさん夫妻の企画力よって楽しませて貰った。大感謝。左足首が青く腫れたこととか、落下しそうで怖かったこととか、ジェラートやせんべいが食べれなかったこと、温泉に入れなかったこと以外は、全部楽しかった!

次回・・・あるかなあ?


信頼のニシキヤキッチン


いいなと思ったら応援しよう!