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暮らしの道具(大阪262日目)
「丁寧な暮らし」をしたいと思う。本当は。
昔は大橋歩さんのエッセイが大好きで、彼女が個人的につくっていた季刊誌「アルネ」も全号揃えるくらいに熱心な読者だった。大橋さんのマネして道具と暮らしを見つめ直したりしていた。
だからぼくの宮崎の家には、柳宗理のやかんやボウル、ル・クルーゼの鋳物ホーロー鍋など、台所まわりを中心に「良い道具」を揃えている。
ところが、単身赴任の宿舎暮らしというのは中途半端なところがあって。
ありがたいことに先輩たちが必要な道具は一通り揃え、後任に残してくれている。入居した日から不便なく暮らせたのでとても有難い話なのだが、当然自分の趣味嗜好に合わない道具もあって、それを買い替えるかどうかが悩ましい。最長でも2年の任期だとすると、それなりの値がする「良い道具」を買う気力がわかない。
*
ちょうど今、フライパンがぐだぐだなのだ。
うちの宿舎には、中華鍋を兼ねるような深く大きいものと、目玉焼きを焼くぐらいの浅く小さいものと2つあって、本来、欲しいのはその中間(苦笑)。大は小を兼ねるので普段はもっぱら大を使うのだが、先輩たちもそうだったようで、ヘビーユーズされたフライパンは、テフロン加工がぐだぐだで毎回がっつりと焦げる。
さすがにこれは限界、と毎回思いつつ「あと数ヶ月で宮崎に帰るのかも知れない」と思うと、数千円のフライパンを買うのも惜しくなる。
ほかにも
・ビールグラスはケース買いした時におまけでついてきたもの
・スーツやYシャツをかけるハンガーは、クリーニング屋のプラ製品
・壁の時計は秒針が外れていて、時間が遅れがち
みたいな、微妙に気になるアイテムに囲まれている。
どうせなら
・口当たりのいいビールグラス
・肩の部分が幅広になっててシワがつかないハンガー
・常に標準時を示す電波時計
にしたいのだけど、一応使えるモノがあるからわざわざ買い替える気にならない。
・・・って書きながら、冷静に考えれば全部買っても数千円じゃねーかって気がしたので、使う期間の長い短いに関係なく、今の自分が気持ちいいようにやっぱり買い替えよう。
日々の道具は大事。
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