傑作!2度目のはなればなれ(大阪209日目)
マイケル・ケインの最後の出演作とのことで現在公開中の「2度目のはなればなれ(原題:THE GREAT ESCAPER)」を観てきた。
えーっと。
こんなにの素晴らしい作品なのになぜ全然話題になってないの?
公式サイトを見ても、プロダクションノートすらない雑なつくり。
もったいない!ちゃんと広報して!
ぼくがマイケル・ケインを知ったのは、クリストファー・ノーラン監督作からなので、ほんの最近である。知性と気品のあって頼り甲斐のある、めちゃくちゃかっこいいおじいちゃん俳優という認識。
改めて調べてみると、1933年生まれの91歳。確かに引退するのに十分なお歳だ。いやちょっと待て。ってことはノーラン版のバットマンシリーズで出ていた時は、すでに70代ってことか。若い。
バットマンの執事としてあれほど凛とした佇まいだったマイケル・ケインが、本作では、ハリのない肌をそのまま晒し、歩行器を使っておぼつかなく歩き、人生の最終コーナーにいる90歳の夫・バーニー役を演じている。
でも、この老いに老いたバーニーの姿は、決して悲壮感漂うものではなく、長く険しい人生を丁寧に生き抜いてきた1人と人として、とても美しく、また愛らしく感じられるのだ。しかもマイケル・ケインだからこそ滲み出るユーモラスな人物像が見事。
バーニーの妻・レネ役を演じたグレンダ・ジャクソンも然り。彼女は本作の撮影を終えて間もなく、公開を待たずに亡くなったそう(享年87歳)。
ふたりとも、こんな良い作品で俳優人生の幕を下ろせるなんて最高じゃなかろうか。とても美しい人生の幕の下ろし方(映画としても、2人の俳優のリアル人生としても)を観せてもらった。