虎に翼・最終回(大阪180日目)
ついに最終回を迎えたNHK朝ドラ「虎に翼」。
これほどまでに登場人物の一人ひとりを深く掘り下げたドラマってなかなかないのではないか。主人公の佐田(猪爪)寅子はもちろん、猪爪家の家族、明律大学の同級生たち、法曹界の先輩・後輩・同僚たち、寅ちゃんの裁判に関わる人などなど。
登場人物が、単に寅ちゃんの人生に影響を与えたり、与えられたりする「脇役」ではなく、そこで必死で生きていこうとしている1人の人として、その苦悩や闘い、そして喜びが短い時間の中でもしっかり描かれる。なんなら、彼ら彼女ら全員のスピンオフドラマを見てみたいくらい。
例えば、「虎に翼」ではちょっとしか触れられないような
・猪爪はる(石田ゆり子)と猪爪花江(森田望智)の嫁姑人情話
・ヒャンスク(ハ・ヨンス)の祖国への想いと苦悩物語
・ライアン(沢村一樹)の超ポジティブ留学ストーリー
・道男(和田庵)の戦災孤児からの人生譚(未亡人への初恋物語含む)
とかw
ああでも、自分がもう少し見たいと思ったのは、恩師・穂高先生(小林薫)が歩んできた道。どういうきっかけで女性の社会進出を応援しようと思ったのか、法曹界に身を置いて具体的にどう戦ってきたか、そして少しずつその成果が積み重なりつつある時に、弟子(寅ちゃん)から自らの中にも敵(強い偏見・加害者性)があることに気づかされるという絶望。あれは見てて辛かったなあ。穂高先生は最後、自分の人生をどう総括しながら老いていったのだろう。厳しい。
ドラマとしては終盤、広げた風呂敷が大き過ぎて、やや急ぎ足で畳んでいった印象はありつつ、それはひょっとしたら全部織り込み済で、できるだけ多様な偏見や生きづらさを取り上げ、それぞれにどう向き合っていくのか、ということを登場人物の言葉・姿勢を通して、提示し続けたのかもしれない。制作に携わった人たちの覚悟たるや。
脚本家の吉田恵里香さんやスタッフの皆さん、言わずもがなの寅ちゃんこと伊藤沙莉さんたち出演者の皆さんの強い意志が結実した本当に良いドラマだった。
半年間ありがとうございました。
さよーなら、またいつか!