「さん付け」でいこう
宮崎県には「かえるのタマゴ」という職員提案制度がある。ぼくは過去に3回知事賞を受賞していて、そして一つも実現していない(笑)。それってこの制度の課題を突いているんじゃないかと思ったりもしつつ、今日はその「かえるのタマゴ」への提案の一つ「さん付け」について。
この提案をしたのは、東国原知事時代。当時は、書類選考で残った提案は知事の前でプレゼンをすることになっていた。ぼくは東国原さんや県の幹部がずらりと並んでいる前でショートコント風のプレゼンを行った。
「知事!七曲署の法則ってご存知ですか?ご存知ない?そうですよね。ぼくが考えた法則です。七曲署と言えば、太陽にほえろ!の舞台となったところです。あの警察署ではなぜか毎週事件が起き、毎週約50分で事件が解決するんです。すごいチームなんです。そのチーム力のベースにあるのが「さん付け」です。みんな「さん付け」か「あだ名」で呼び合っているからなんです。」
(ここからショートコント風に)
「(何かを拾い上げ、首を傾げるそぶり)(モノマネしながら)ヤマさん、現場にこんなものが落ちてたんですが・・・、なんなんですかねえ」
「(しばらく考えるそぶり)・・・・!!!(モノマネしながら)ジーパンッ!でかした!それだ!犯人はそれをトリックに使ったんだ!」
*ちなみに、モノマネは1mmも似ていない
*繰り返しになるが、知事、副知事、総務部長、教育長、財政課長、人事課長などがずらりと並んで、シーンと静まりかえった緊迫感溢れる知事応接室でこれをやった。我ながらちょっと頭おかしい。もちろん、知事や副知事、知ってる幹部らはニヤニヤしてたけど。
「つまり、さん付け・ニックネームという個人的な関係性を大事にする職場の雰囲気の中、若手が現場を走り回りながら気軽に思ったことを上司に伝える、上司は豊富な経験を元に部下から大量に流れてくる情報から課題解決につなげていく。これが七曲署の法則です!」
「県庁では役職が重い。係長、という役職がついたらあたりから、下のものは身構えてしまう。もっと風通しをよくしたらきっと県庁も変われる。化学系メーカーが母体でありながら柔軟に多業態へと進出する旭化成、あるいは製薬会社の中でも異彩を放つ小林製薬では、社長もさん付けで呼んでいます。ぜひ県庁でも導入しましょう」
*
実はこの提案自体は知事賞には選ばれなかった。後日、選考会に同席したスタッフから聞いたところによると、現知事である河野副知事(当時)は、前向きだったと聞く。むしろ東国原さんが「公務員の方にとって役職こそが評価なので呼んで欲しいのでは」と皮肉まじりの?配慮をされ、実際に某幹部が「私は役職で呼んで欲しい」と発言されたことで選考されなかったそうだ。
役職で呼んで欲しい人はそれで良いと思う。ただ、ぼく自身は役職名で呼ばれると、相手との間に「壁」があるように感じられてなんとも居心地が悪い。
そこで強制こそしないが、できるだけ「さん付けで呼んで欲しい」とお願いしている。そうすることでチーム内の情報共有が進み、課題解決能力は格段にあがると思っている。ちなみに、昨年度、初めて「さん付け」を強制してみた。体感でしかないが、すごく効果があった。
なので、ぼくがどんなに偉くなっても(なれないか 笑)、是非かいしんさんと呼んでくれたまえ>後輩たち