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吉田大八監督ティーチイン(大阪292日目)
公開日が近づいた映画「敵」。
週末にでも観に行こうと上映時間をチェックしたらまさかの先行上映があって、吉田大八監督を招いたティーチイン(上映後に質疑応答ができるイベント)だという。即、席をおさえて観に行った。
映画は、骨格として筒井康隆の原作の通りだけれど、細部の設定や行動は結構脚色していてとても面白かった。バキバキの白黒映像であることもまた作品に深みを与えている。
なかでも印象的だったのは、主演・長塚京三の色っぽさ。実年齢である70代後半の高齢者感はしっかりありつつ、名作CM「恋は、遠い日の花火ではない」の頃の素敵な上司感がある。まあ、本作ではその色気を底意地悪く使っているとも言えるのだが。
高齢者の丁寧な暮らしぶりがとてもリアルで(家ご飯のなんと美味そうなことか)、その分、後半の狂気へ繋がっていく様が恐ろしい。60代を間近に控える自分としては、ほとんどホラーである(褒めてる)。良かった。
ティーチインは「ナミビアの砂漠」山中遙子監督に次いで2回目。監督本人から演出の意図などをお聞きすると作品への理解が進むし、なにより作品を一層好きになる。吉田監督自身もチャーミングな人だった。監督作を見直そうかしらん。
平日の仕事帰りに、サクッと知的興奮のあるイベント。都会ならではの愉しみ。