救急対応〜38℃の熱が下がった〜
90歳女性。独居でADLは自立している。
15時頃、蒸し暑い部屋で意識レベルが下がっていたところをヘルパーさんが見つけた。体温が38℃であった。
ヘルパーさんは、女性を涼しいところで落ち着かせたところ、体温が36.2℃に下がって、意識レベルは改善した。
19:00 救急外来へ、娘さんが車椅子に乗せて連れてきた。
この時、体温は36.6℃。
既往歴:高血圧に対して内服している。
この状況でどのように対応するか?
鑑別診断は?
<対応>
まず、ABCの確保だが、見た目からは必要なさそうである。
同時にバイタルの測定とルート確保を行う。
BP 70/30、HR 80、RR 16、 SPO2 96% であった。
ショックバイタルである。
手先は冷たくはなく、呼吸も苦しそうではない。外傷もない。
熱があったことを考えると敗血症性ショックであると考えられる。
(熱があったが、現在は下がっている。これは敗血症が悪化したため、体温を上げる力もなくなっていることを示している。)
まず、バイタルの安定のため、輸液を前回で行う。
血液検査と血液培養を同時に行う。
(バイタル安定したら、画像検査へ回すことができる)
ノルアドレナリンの投与も考えるが、輸液で血圧が保てるなら問題ない。
また、循環量が少ない場合、ノルアドレナリンを投与しても循環しないので効果が出ない。
敗血症性ショックである場合、抗菌薬をいち早く投与したい。
→ 感染源が何かを同定する必要がある。
女性、高齢で一番最初に上がる鑑別は、腎盂腎炎。
→ CVA叩打痛をチェック
→ 左で陽性であった。
腎盂腎炎であれば、尿検査、尿培養を行い、大腸菌を想定してセフェム系を投与した。(広域のものでも良かったと反省。)
30分後、血圧 100/50と落ち着いてきたため、画像検査を行った。
腎盂腎炎の場合、尿路閉塞などで発症していれば、そこを解除しないと改善しないため、腹部エコーにて結石の有無を確認した。
(頭部CTを行っても損はない。頭部疾患の可能性を否定できる。)
2時間後、血圧130/80、体温40℃となり、意識レベルは完全に回復した。
(熱が出てきたということは、熱がない状態から回復しているということ)
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