異次元世界への旅ー私の‘’村‘’体験2
2 いつも悩んでばかりいた
‘’村‘’には、いろいろなスローガンがあった。
なかでも一番印象に残ったのは、「腹の立たない人間になる」ということだった。なぜなら、当時の私は、毎日イライラして、腹が立ちまくっていて、そんな自分をもてあましていたからである。
当時、私は小さな会社に勤めていた。
仕事を覚え、流れがわかってくると、手応えがあり、おもしろい仕事だったが、社内の人間関係に疲れ果てていた。
社員が5、6人しかいない小さな会社だったので、入社して1、2年もたつと、上司は即社長、部下は新入社員という、「立派な」中間管理職となった。
そして、新入社員に仕事を教えなくてはならない。でも、新人は思うように動いてくれない。一方、社長からは、「ちゃんと指導しろ」と言われる。助けてほしくて相談すると、かえって責められる。毎日悩んでばかりいた。
それでも、他に代わりの人もいないし、途中で放り投げるのは気がかりだし、簡単には辞められなかった。
一人ではもちこたえられなくて、友達や、そこの会社に以前いた人などにも相談したりした。でも、ある人からは「悩むのが好きなんでしょ」と言われ、悩みをわかってもらえないことで、かえってよけいに落ち込んだりもした。
悩んでばかりいると、体調もよくなかった。特に医者にかかるような病気はしなかったし、仕事を休むほどではなかったが、いつもお腹の調子が悪く、「胃がある」と気になっていた。調子がよければ、胃のことなんて忘れているのに。
しょっちゅう下痢をしたり、お腹が張ったりしていたので、いつも正露丸とビオフェルミンとワカマツを持ち歩いていた。会社まで、電車に乗っているのは正味20分くらいなのに、それでもよく途中下車をしてトイレに立ち寄っていた。
ダイエットをしていたわけでもないのに体重が減り、一時は40kgを切ったこともあった。体重は軽いのに、体は重く、駅の階段を上るのがしんどかった。
そして、水飴の中を歩いているようにだるかった。濃厚な空気の中を、ただ歩いていくのだけで疲れていた。朝早く起きてごはんを食べなくては、と思っても、起きる気力が出ない。でも朝食を食べないと、よけい気力がなくなる。悪循環である。
どうしたらその悪循環から抜け出せるのか。やろうと思ってもできない自分を「実行力がなくてダメだ」と思っていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?