自家中毒になったとき

 幼稚園の年長組のときと、小学校1年生のときに、自家中毒(周期性嘔吐症)になったことがある。
 元気に遊んでいたのに、乗り物酔いでもないのに、熱があるわけでもないのに、急に気持ちが悪くなって、吐いてしまう。
 そのとき、母に「(自家中毒は、)神経質な子がかかる病気なのに、なんであんたがかかるのか」というように言われた。いかにも私が無神経な子のような感じで皮肉っぽく言われた。しかし私は、気持ちが悪くて反論する元気もなかった。
 そして、私は、精一杯気を遣っていて、しかも気を遣っていることすら悟られないようにしていたのに、親はちっとも分かってない、と思って悲しかった。

 1週間ぐらい(?)、毎日(?)、牛乳瓶(当時はペットボトルはなかった)に尿を採って、電車に乗って病院に持って行った。病院のトイレでは出なかったからだ。鈍感どころか、それくらい敏感な子だったのだ。病院には母が連れて行ってくれたけれど、いかにも、「このクソ忙しいときに手をかけやがって」という感じで不機嫌だった。
 私が悪いわけでもないのに、しかも病気でつらいのに、よけいつらかった。
 また、「鬼の霍(かく)乱(らん)」とか「いつもはお転婆なくせに」とかも言われた。こっちが弱っているのをいいことに、言いたい放題だ。
 小さい子にとって、親は絶対権力者だ。見捨てられたら、一人で生きていくことはできない。弱みにつけ込むなんて、理不尽だと思う。

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