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外伝 超私的スキッパーキ2
カイルの子犬時代のことは知りません。
最初の名前も知りません。
なぜ虐待され、ブリーダーさんが再引取りをすることになったのか、その経緯も詳しくは分かりません。子犬はかわいいけど、手がかかります。それを理解せずに飼い始めた結果、持て余したのかもしれません。
などと、エラソーに言っていますが、犬飼い初心者にとって、トラウマあり・ストレスフル状態の成犬は、ホントたいっへん!!でした。(いやもう、持て余しましたとも!)
理想の犬
私の中では、大学時代の馬術部にいた犬たちが理想の犬でした。常時、5~6頭くらい周囲にいましたが、半野良で自由犬。いつでもなんとなくそばに居て、だいたい寝ているけど知らない人が敷地に入ってくるととりあえず警戒する、部室にはなぜか入らない、馬の散歩に勝手についてくる、大学の講義にも勝手についてくるけど講義中は邪魔にならないように足下で寝ている、でも、呼んだらちゃんと来る、などなど・・・。
今だから分かりますが、馬術部の犬たちは、犬にとっての理想の暮らしをしていて、多少部員のいたずらがあるものの、基本的にストレスフリーだったのだと思います。
一度、訳あって馬術部の犬を自宅に連れ帰ったことがあるのですが、玄関でおとなしく寝ている、散歩は喜んで行くし、リードを引っ張ることもない、全く何の問題もありませんでした。なので、犬とはそういうものだと思っていたのです。
ストレスフルの犬
連れ帰った当時のカイルは、彼らとはまったく正反対、まさにストレスフルな状態でした。
狭いケージに入れられたまま、ただ生きているだけという生活だったわけです。このような飼い方をされている動物にストレスがないわけがなく・・・。
カイルのストレス状態で、とくにひどかったのが
・下痢が続く
・常に興奮していてパンティングが多い
・落ち着いて寝ない
(すぐに起きる、起き上がる)
・やせている
・毛並みが悪い、バサバサ、フケが多い
・人が見えなくなると、遠吠えをして呼ぶ
などでした。
5月の連休にしたこと
4月30日に連れ帰ってきて、5月の連休にしたことは、一つが動物病院での健康診断。もう一つがトレーナーさんに来てもらうことでした。
動物病院でしたことは、ボディチェックと外部寄生虫駆除の滴下薬のみで、3週間ぐらいたって落ち着いてから、ワクチンや血液検査などをしましょうということになりました。
トレーナーさんについては、全く考えてはいなかったのですが、あまりにも自分の知っている「犬」とは違う、ずっとピーピー鼻鳴きしているかパンティングしている「イキモノ」を前に、あっさり諸手を挙げて降参しました。
(どれくらいあっさりかというと1~2日くらいですかね?)
トレーナーさん探しはネット検索をかけ、ちょっと他とは違う雰囲気のホームページを見つけ連絡を取りました。結果としてはこれが正解でした。
5月3日、自宅に来てくれたトレーナーさん、経緯をしっかり聞いた上で、開口一番、「この90×60cmの一般的なケージ、これに入れっぱなしは欧米では虐待やね。」 → 連休明けから仕事が始まると日中は入れっぱなしになるので、100均ネットを購入し、倍の広さにしました。
続いて、鞄から何か取り出したかと思ったら、マスタードの空き瓶。そこに数粒フードを入れてカイルに渡し、犬が取り出す様子を見ながら、「宿題。ご飯を入れるお茶碗を、できる限り最低10個は考えて。」 → はい???
初日はこれで終わり。トレーナーさんがカイルと触れ合ったのは、リビングに入ってきたときに匂いを嗅がせたのとフードの入ったマスタードの空き瓶を渡したときだけでした。(それ以降も直接、トレーナーさんがカイルに何かを教えるということはありませんでした。)そして、カイルがフードに使う容器探しを始めたわけですが、これがなかったら、今のカイルと私の関係はなかったかもしれません。もちろん、コングなどもこの時初めて知りました。(ちなみに他には、ティッシュの箱、ホースチューブ、ペットボトル、ダンボール、ハンカチ、その他犬用の知育玩具など、10個はいかなかったかもです)
自分は基本的にツイている人間だと思っていますが、人との縁に関して言えば、本当に運が良いと思っています。
ブリーダーさんから、前の飼い主は吠えてうるさいときに石ころか何かが入った瓶をケージに投げつけていたと聞いていたので、そういう天罰方式?のトレーナーさんだったら、即座にやめていたでしょう。
結局のところ、理想の家庭犬って?
私の思う理想の家庭犬とは、自分がテレビを見たり本を読んだりしているときに横ですやすや眠ってくれている犬かな?いや、横でじゃなくても良いのだけど。テレビを見てるときに何百回もボールを投げてくれと運んできたり、読んでいる本を咥えて逃げてビリビリにする犬ではないということ。
つまりは、落ち着いた犬。常にギラギラ興奮していない犬。
そういう犬と暮らすためには、飼い主が努力し、努力を続けなければいけないということ。
2016年5月。自分の理想の犬に向けた、犬との生活が始まったのでした。
まあ、2023年現在、テーブルで何か作業をしていたら、必ず猫が邪魔しに来て広げているものの上に寝そべったり、横のものを前足で落とそうとして落としたりするのですが。