白トラ弐7 御菓子司と白へび 続き
お店に行く度、白へびはお店の方にメディアの悪態的な嘘報道について解説するというおせっかいなことをしていた。少しでも多くの人の未来を奪わせまいと思ったからだ。というより、このお店のお団子があまりに美味しかったからご主人がずっと健在であって欲しかったのだ。
今回も、みたらし団子一本と帰りの新幹線で食べたい分と、神棚へのお供えとして和菓子を数個購入。本当は大福を買いたかったのだが、昼前に完成する大福は、夕方には硬くなってしまうので、仕方なく今回は断念した。
白へびは京都に引っ越して以来、上京する際は可能な限り7~8分だけでもこの『ささき』に来ている。
お店の方は毎回こう言う
「京都には沢山美味しいお店があるでしょうに」
「いや~それは多分幻想です。本物の職人の作るモノにはなかなかあり着けません。京都ブランドにかまけてただ高いだけです。居るのかもしれませんが、一般の人の目に触れることは多分ないんだと思います。
そもそも、本物を作ることが出来る洗練された職人は全国にもそうそういないのかもしれません」
お店の人は喜んだ。しかしこれが白へびにとっては事実そのものだった。
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舞妓メイクをしたことがあるという女性二人は更にこう語った
「私たちの勤め先の団子屋さんにしょっちゅう来てたんじゃない?白へびさん。
お~い来たよ~ みたいな感じで(笑」
つづく
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