白トラ弐22 何らかの気配 過去の体験 続き
『まさかとは思うが、いるのか?』すぐさま頭をよぎる。
着替え兼倉庫として使っていた4畳半の部屋の蛍光灯がしょっちゅう点滅したり接触不良を繰り返しているという。
白へびはその部屋と廊下を挟んで向かい側の6畳の部屋をとりあえず間借りしていた。
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ときはあっという間に過ぎ、4人の同居生活は2014年4月上旬には完了した。義理とはいえ、10年以上一人暮らししていた白へびにとって身内との共同生活は大変新鮮で意外と良かった。ひと家族分ぽっかりと抜け出て行った広いリビングがハートに突き刺さる。
そんなある日、ふと思った。
『結局、今部屋の主(あるじ)は自分だ。その主がリビングを空(から)にして端っこの部屋に住み続けるのは‥何か違わないか?』
ということで、生活の中心をリビングに移すことにした。当時出来て間もないIKEA立川店に大人二人用くらいのダイニングテーブルとデザインが揃った椅子二つを買いに行った。
兄が書斎として使っていたリビング隣の小さな部屋を寝室とした。
とはいえ一人暮らし。いくら生活の中心をリビングに移したといえど、一時的に住んでいるに過ぎないこともありドラマで見るような充実した部屋には全くならない。
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仕事で兄が東京に来た。月一、又はひと月半に一度のペースでやって来る。
得体の知れぬ影に遭遇する話としては、決定的な体験はこれが初となる。その相手は兄ではないが、兄に関係してなくもない。
つづく
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