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白トラ弐23 何らかの気配 過去の体験 続き2

 珍しい‥。ひと月の間に2度も来るなんて。

 聞くと、東京の仕事関連の人のお葬式の手伝いに駆り出された(かりだされた)という。いつもは車で長時間運転して来るのだが、喪服(もふく)を持って新幹線で来たのだそうだ。

 お葬式が終わり、疲れた様子で兄が部屋に戻って来た。
 世間話もそこそこにその日はお互いに早く就寝した。

 その深夜、なんか出た!

 金縛りだろうか?これが、金縛りだろうか?

 よく分からない感覚だったが、正直全身が動かなくなったような感覚というより、動かさない方が良いような感覚だった。じゃぁ、金縛りって‥、現象によって雁字搦め(がんじがらめ)に動かなくされてるのではなく、自分で『動かない』と設定しているに過ぎないのではないか?とも思う。

 とにかく、『動けるけど下手に動かない方がよさそうだ。目も開けられるんだけど、開けない方がよさそうだ』という冷静な思考から、動かないで目も開けなかった。あるいは、単純にその状況にビビったとも言える。

 しかし、気配だけは動かぬ証拠として白へびのあお向けに横になった体の上方にあった。しかも、『いたたっ!なんかお腹掴んでないか?これ』な なんと 攻撃を仕掛けて来た!

 こんな状況にもかかわらず『これかぁ。これが霊現象というやつなのか。どうやら本当にあるようだなぁ~』と又も冷静に思った。

 こんな時どうするか?知ってる限りの、出来る限りの行動に出た。知ってる限りの御経(おきょう)を唱(とな)えてみた。

 そのころ知っていた御経といえば、先祖のお墓が納まるお寺さんが法華経ということもあり「なむみょうほうれんげーきょー」というフレーズしか知らず、ただそれを繰り返すだけであった。

 用心して「な~むあ~みだぁ~ぁあん~ぶぅ~」とか違うやつも言ってみた。100回は繰り返しただろうか。ほどなくして気配は消えた。

 とっさにして冷静に対処出来たけども、まともな霊現象を体験したのはこれが初めてくらいだったので、やはり興奮して明け方の光りがカーテンの隙間に確認できるまでは再びは寝付けなかった。

 つづく

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