白トラ1『夜な夜なジャンプ』
さて本編、一体どこから書くか‥
何となく思い出した幼少期のこと。正確には幼少期だけでなく特に小1~中2くらいまで、またその前後も含め夜な夜な屋根から屋根にジャンプしていた‥、そんな話。
近所の家の屋根から別の家の屋根へジャンプしていた。
そんな話を次元上昇気味の知り合いが多く参加する飲み会で話したことがある。
みんなが寝静まった夜、窓から空を見ていると、とっても凄いものを見たんだ‥
じゃない! それは機動戦士ZZガンダムのOPの歌詞だ。
そうじゃなくて、
みんなが寝静まった夜、何故か僕は実家の屋根の上に寝巻のまま立っている。『みんなが』というより『自分が』だろうか。
そういえばこの話は、今健在の父や兄、姉には一度も話したことが無い。彼等に話してもどうせ信じない。今は、父だけは少しは僕の話を認めるようになったが、何処まで信じているかはさっぱり分からない。僕の話すことをいつも『お前の言う不思議な話なぁ‥』という感じで話始めるからだ。
僕が夜な夜なジャンプする日は決まって快晴。快晴という表現でいいはずだ、昼間じゃなくても放射冷却が進む夜空は快晴と表現していいと思う。
夜に寝巻で誰にも見つからずにジャンプする日は大抵、『快晴・無風・満月か新月・街の音も雰囲気も穏やか~な日』だったと思う。気温は特に関係ない。季節問わずジャンプしていたからだ。
ジャンプして放物運動の落下に移行するころ着地を意識する。眼下の屋根という屋根を見る。すると、月の光に照らされた民家の瓦が家屋ごとに、あるいは瓦ごとに順にキラリと反射するのが見える。じっくり見たことないはずの民家の上からの形・屋上の様子も特に満月の日は鮮明に見える。
ジャンプすると、風を切る。風を肌で受けなら目的の屋根に音もなくちゃんと着地できる。
自分ちの屋根から、すぐ近くの占部(うらべ)さんちの屋根へ、そこから川原さんちの屋根へ、そこから宇田さんちの屋根へ。
何かわかんないけど何度もジャンプを繰り返す。ジャンプすること自体『?』と思わない。そんなことより、「今いる屋根から向こうのあの屋根までジャンプ出来るか」そいうことが気になっていた。
「距離があるなぁ~、ちょっと無理かなぁ~」
思い切って飛んでみる
「セ~フ!飛べたぁ~」
多少距離があっても平気でジャンプ出来た。
その時いる地点から最も遠くへジャンプした時の飛距離はおよそ100mから150mだろうか。無論ゲームみたいに空中で2段ジャンプするわけじゃない。その時いる屋根を一度蹴るだけ。
ジャンプ中空気の匂いも、着地の時の屋根の感触も、風の温度も、湿度まで超リアルだった。リアルというか、いつも通りの感覚で感じ取れた。風を受けるし寝巻もフルフル風になびく。
というようなことを次元上昇系の人達に話すと
「完全に幽体離脱だね、それ」
という反応。
幽体離脱といえば、ザ・タッチの一発芸よりも、モモクロの紫のコの夜な夜な都会の空を飛び続けた話を語ったTV番組の一節が思い出される。
彼女も幽体離脱体験のことを語っていた。彼女の場合、布団に入って眠りにつくころ意識的に「今日も空を飛ぼう」と思っているといつの間にか寝巻のまま空を縦横無尽に飛び回っているという。やや能動的に行きたい方向へ飛んでいける。行ったことないところにも行ける。
しかし、宇宙へ向けて飛び上がろうとすると、『ある高度より高くは上がれない』ということになるのだそうだ。
因みに、行ったことないところへ行ったときの周辺の地理も覚えていて、後日ライブ出演のため幽体離脱で行った周辺へ他のモモクロメンバーと車で移動した時、本当にその風景がまんま広がっていて、紫のコ以外のモモクロメンバーが『なんだか認めたくなった』という感想を持っている‥という。
白へび
「何?あれって幽体離脱なの?」
友達
「そうだよ。間違いないでしょ?」
同席する他の人も満場一致の様子だった。
そんな神業を子供の頃やっていたとは・・
つづく
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