❅夜凪、揺蕩う思慕を食む taste3



❅キャプション
今回のテーマは猫系モデル×わがまま系アイドルで“思慕を食む”。
途中からのスタートです。中途スタートなんだかエモさ感じません?
バックエピソードは遡りで。続きも構成あります。
シリーズ化したい。気力があれば。笑
あと脚本風も綴ってました。供養するかは未定。
今回も濃く深く描写をしていくって感じで潜っていたので自分で読み返しても随分独特の世界観に仕上がりました。
めっちゃ頑張ったので。
君の好みに突き刺さってくれたら嬉しい。
なんだかキャプションの語彙力低下してる気がするね。
いま、構成と3話まで紡いで既にWord上450分越え…。
続き、シリーズ化してほしいよって思ってくれるならなんでもいいです僕に君の気持ちください。メールでもコメントでも。是非あなたの気力わけてください。

藍堂翔琉。

https://privatter.net/p/10280614

登場人物(設定などは話数が進むごとに明かそうと思ってます。)
✩猫系モデル
柊木維月(ひいらぎいつき) 
✩わがまま系アイドル
橘凛也(たちばなりんや)…横峰凛としてアイドル活動中。通称ℛ。

漸く展開と設定が降って来た。
気になってくれる?
てか、セリフあがってないこの時点で制作時間6319分…なははは…。





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❅夜凪、揺蕩う思慕を食む taste3



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あんたに。魅せてあげますよ。
俺らの物語。
      ___柊木維月



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どーもー。俺様誰だかわかる?
わかんないはずないよねぇ?
え?
は。凛くんでしょうよー。
❅夜凪、揺蕩う思慕を食む。taste3。気になってる頃だよねぇ。ははっ楽しみにしてるって?いいねぇ。みせてあげようじゃねぇの。
あ?
なに?維月?
へぇー、なに喰われてぇの?
維月に目移りしたらコロスヨ?
残念だけど維月は俺のだから。
じゃあね。
     ____R (X凛也X)



❅ーーーーー




――――taste3

「ていうか、なんでいるんだよ。明日、大事な撮影だとか言ってたくせに。」
困ったように焦ったように凛也は告げた。

そうだよ。
大事な用事だったんすよ。
乱れた髪も崩れたメイクも。
こんな姿誰かに見られてたらどうしてくれんの。

――だけど。それよりあんたを想って。


「あんたが呼びつけたんでしょうが。」

―――――俺、あんたが心配で走って来たんすよ。


「べつに呼んでねぇしっ!」

なんだよ。
どれだけ俺があんたのこと心配したと思ってんの。
ほんと。
あんたちっともわかってないじゃないか。

――俺は、ただ…。



「…っ。」
――濁流のように決壊した想いは。

「…っ。」

きっと引き結んだ唇がピリッと傷んで
滑らかに整えられた薄い皮膚が裂けた。

あれだけ気を付けて矯正したこの癖を。

鉄の香りがして
欠かさずした手入れさえ無意味にした。

「…っ。」


もうとっくに押し殺したはずの孤独が襲い掛かる。
もう自分さえもうみえない。
霞み歪んでく視界が。
なまぬるい一線を描いていく。


こんなやつにいつの間にか。
捨てたはずの自分を。過去の孤独を。
引き摺りだされた。
なんで。
あんたのことなんか俺は。
―――好きじゃない。


搔き乱されたくない。
求めたくない。
終わらない苦しみにもう近づきたくない。
あんたもきっと。
俺を置き去りにするくせに。
曖昧にわらって。
捨ててさえくれずに。


なんだよ。
いつもみんなして。
俺のためって顔して。

「…ムカつく。」
苦し紛れに絞り出した悪態の音が届いたのかすらわからない。


困ったように笑うあんたがわからない。


「…嘘つき。」
小さくついた悪態じゃ足りなくて。

「強がりも大概に…」
紡ぎきれなかった言葉がバラバラと音を立てて零れ落ちる。
繕えなかった何もかもがこのまま全てを壊していくのが耐えられなくて。
震えた背中をもう一度無理矢理掻き抱いて凛也の肩口に顔を埋めた。


もう何も見たくなかった。
なにも願いたくない。
叶わない願いは身を滅ぼすにたやすい。
もう一度なんて保てない。


「ああ。そうか。」
呟きと共にもう一度体を離し凛也の濡れた瞳を覗く。

叶うことのない想いを願ってしまった罰か。
苦しみから解放されるために願いを捨てた罰か。


―――それならこの手で壊して終わりにしたい。



「――なぁ。凛也。俺はどうしたらいい。」
音にならなかったそれは。

消えていった。


一度も視線を外さないまま。
外せないまま。
そろそろと背中に回していた手をあげていく俺を
―――凛也はただ見ていた。

ゆっくりと刻をかけて辿り着いた俺より一回り細い傷一つない首元。
首にかかっていたシルバーに触れて小さな十字架を模したシルバートップがシャラと鳴く。
小さく顔をしかめれば凛也はそれを左手で引きちぎった。

なにしてんだよ。
あんた一度たりとも外したことねぇくせに。
神を信じるあんたにとってそれは縋りつく社(やしろ)を捨てること。
一度も外されたことのないそれ。
辿る答えは。

ああ。

――なぁ、あんたも捨ててくれんの。


絶望に。
孤独に。
闇の底のない。
冷たい場所に。



「俺と…
――――――堕ちて」



静かに。
地獄への悪魔の囁きが響いた。

凛也はゾッとするくらい不敵に笑って
――「いいよ。」
と囁き返す。


それは絶望に招かれた甘美に満ちた囁きだった。


首に回した手をめいいっぱい絞める。
苦しい?
そう問いたくなるほど凛也は恍惚な表情を浮かべていた。

それは。


神への。
ーーー冒涜
己への。
―――――背徳


いつの間にか伏せていた瞼をゆっくりと開いて凛也は言った。

「ごめん。維月。
っ…維月。
…維月。
維月を堕としたのは僕だ。」


凛也の左手から滑い堕ちたそれがカンっと音を立てて床に落ちた。
バラバラに散らばった、かつて大事にされてきたお守りは。
月明かりにきらきらと照らされていた。
その慣れ果ては。



―――まるで俺らの様だった。




※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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