❅夜凪、揺蕩う思慕を食む。taste2
❅キャプション
今回のテーマは猫系モデル×わがまま系アイドルで“思慕を食む”
途中からのスタートです。中途スタートなんだかエモさ感じません?
バックエピソードは遡りで。続きも構成あります。
シリーズ化したい。気力があれば。笑
あと脚本風も綴ってました。供養するかは未定。
今回も濃く深く描写をしていくって感じで潜っていたので自分で読み返しても随分独特の世界観に仕上がりました。
めっちゃ頑張ったので。
君の好みに突き刺さってくれたら嬉しい。
なんだかキャプションの語彙力低下してる気がするね。
いま、構成と3話まで紡いで既にWord上450分越え…。
続き、シリーズ化してほしいよって思ってくれるならなんでもいいです僕に君の気持ちください。メールでもコメントでも。是非あなたの気力わけてください。
藍堂翔琉。
➩https://privatter.net/p/10280614
登場人物(設定などは話数が進むごとに明かそうと思ってます。)
✩猫系モデル
柊木維月(ひいらぎいつき)
✩わがまま系アイドル
橘凛也(たちばなりんや)…横峰凛としてアイドル活動中。通称ℛ。
まずは3話まで投稿予定。
❅夜凪、揺蕩う思慕を食む。taste2
❅―――❅ーーー
❅夜凪、揺蕩う思慕を食む。taste2。
このこの後投稿されるらしいんで
知らせに来ましたよ。
聞いてくださいよ。
また横暴リクエストコールきたんすよ。
で俺いまブログ書けって言われて書いてんですけど一切ネタバレすんなとか横暴すぎません?あの横暴トップアイドルさまはなに考えてんですかね。
__ 柊木維月
❅―――❅――――
―――――taste2
近くのコインパーキングに駐車してあいつの家までをひたすら進む。
はやくはやくと突き立てる焦燥を持て余しながら夜道を全力で走れば少しだけ痛む頭や関節に、いつか凛也がおまえはもう少し体力つけるべきだとの賜った声が聞こえた気がした。
段々とねをあげ軋む肺を叱咤する。
吐き出す息が白さを帯びて寒さをうつす。
ひっつかんできた上着は右手にまとまったままだ。
ほんとあの横暴トップアイドル様のために俺が走るとかつい先日までの自分に見せてやりたいくらいだ。
漸く辿り着いたこじんまりとした一軒家。
はじめて招かれた…というか無理矢理連れてこられたときみたこの家は
アイドルのイメージがいけ好かない豪華絢爛タワマンだった俺に衝撃を与えた。
素直にみなおしたなんて言えない俺は。
“トップアイドルのくせに地味だな”なんて言ったっけ。
んで、そんな俺に橘凛也は苦笑いをした。
乱れて仕方ない呼吸を整えるためにほんの少し思考に混じった回想をして。
そのままインターフォンに触れた。
酸素の足りないからだは持ち上げた指先でさえ痺れていた。
ピンポーン
ガチャ
「っ…はやっ。玄関で待ってたんすか?」
チャイムの音と同時に開かれた扉。
いや、鍵くれぇかけてくれ。
仮にも世間を騒がすトップアイドルさまなんだろ…。
電気すらついてない玄関。
それでも。
ーーー月明かりが淡く照らし出した橘凛也はいけ好かないトップアイドルな
んかじゃなかった。
「ほら、やっぱり泣いてる。」
痺れた指先でぬぐってもとめどなく流れる雫は。
優しい月明かりにきらきらとしていて。
不覚にも
――綺麗だと思った。
まるで月から来た天女かのようなその美しさに。
――一生分かりたくなかった感情を自覚した気がした。
「誰。誰っすか。」
「誰って何。」
「誰って何って…あんたを泣かせてんのはどこの誰だって聞いてんですよ。」
「そんなことどううでもいい。維月。」
「そんなことどうでもいい?そんなわけないでしょう。それに、その名前で呼ぶなって言ってんですよ。」
「大丈夫だから。」
「大丈夫ってなんすか。」
「…」
「大丈夫なわけない。そうでしょう。」
相変わらずきらきらと雫を零しながらなにも明かそうとはしない。
どうすることもできない苛立ちにじりじりと、ひいた一線を焼き尽くされる。
重苦しい空気だけがそこに横たわっていた。
固まったままの時を壊したのは橘凛也だった。
「あーほら、泣いていいですから泣くなら抱きしめてからにしてください。」
たとえ仕事でも。
プライベートなら尚更。
いつもなら絶対に言わない、胸焼けしそうなセリフを吐いてから気付く。
「維月。」
収まったそんなに体格差のないからだはこんなに小さかっただろうか。
横暴でわがままなこいつはこんなに寂しかっただろうか。
辞めろと言ってんのに辞めないその呼び名で。
不意に呼ばれた俺の名は
ーーーーー震えていた。
「はい。」
「維月」
「はい。」
「維月」
「はい。」
ひたすらに涙を流しながら時折俺の名を呼ぶ凛也に。
この天女紛いのアイドルを思う俺の思考の合間に。
曖昧に返事をしながらいまにも壊れてしまいそうな凛也を俺は。
帰るべき月に返さぬよう縫い留めるかのように。
――ただどこにもいかない様にと抱きしめていた。
誰も聞いているはずもないそこで。
どれだけ抱きしめても凛也はなきごえひとつあげなかった。
ただ。
月だけが淡く照らし出していた。
「…維月。」
どれくらいたったのか身じろぎした凛也にゆっくりと腕を緩めて開放してやれば
詰めていた息を吐き出しそのままぽつりと俺の名を呼んだ。
じっと瞳の奥を覗くように
「はい、あんたのいとしの俺ですよ。」
そう零した。
――それは淡くて幼くて。
――――ぬるま湯みたいな。
――――――不確かな色をしていた。
指先で目元を拭えばもうきらきらとしたそれは零れなかった。
※この作品の初稿はぷらいべったーにて投稿しています。
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